リアル鬼越ドッキリ「FINAL」に相応しい人選とヒリヒリ感『水曜日のダウンタウン』(てれびのスキマ)


テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。

【関連】『水曜日のダウンタウン』でも扱えなかった。水島新司作品の露出が少ない現状を悲しむ


『水曜日のダウンタウン』

「芸人が今までで一番スゴいと思ったコメント調査」。

向井は『くりぃむナンチャラ』での天龍源一郎の滑舌に対する麒麟・川島のたとえツッコミ「エスプレッソマシンのモノマネ?」を挙げ「『ラヴィット』やるのはもう3年ぐらい前から見えてた」と語る。

その川島は、ケンコバが『アメトーーク』「40歳過ぎてバイトやめられない芸人」でのTAIGAの感動的なVTR明けのコメントを推薦。TAIGAが「世界一おもしろい」という奥さんに対し「ビンタして『目覚ませ!』」。

バカリズムは浜田雅功が『水曜日』のクイズ企画でYOUに言い放った「お前殺すからな!」「いつでも入ってええんやからな」を選出。VTRを改めて見ると、その浜田のコメントもスゴいけど、それに対し即座に「『収容』と書いて『入る』という」と補足解説を添える川島のコメントも光っていた。

「リアル鬼越ドッキリFINAL」。

ケンカを止めない長州力とか、女性に対し男性が手をあげていることで我を失って「うるせぇな」以降のコメントがまったく頭に入ってこない具志堅用高とか、それぞれの反応がおもしろい中、最後につまみ枝豆が登場。

ダウンタウンがふたりで無言で顔を見合わせ、伊集院が「ダメだよ……」とマジトーンでつぶやく。それだけで、いかにヤバいかが如実にわかる武闘派中の武闘派の枝豆。

「うるせえな! たけしの話じゃなくて自分の話で笑い取れよ!」と言われると、「うるせえな!」の時点で表情が一変し、詰め寄る。ヤバいとわかっている本物のマネージャーはすぐに身体を抑えるもその隙間から胸ぐらをつかみ「おい、小僧、もういっぺん言ってみろ!」とすごむ枝豆。

ついにはマネージャーを払い除け「殺すぞ、この野郎!」と叫ぶ。少し前に聞いた浜田の「殺す」がちゃんとコメディのものなんだという、当たり前の事実がよくわかるガチの「殺すぞ」の迫力。

おそらくマネージャーが時間をかけてなだめたのであろう、枝豆が一度椅子に座ると「オメェよ、百歩譲って許してやるよ」というも「でもよ、俺の前でよ、『たけし』って言うな! 『たけしさん』だろ、コラァ!」と再びヒートアップ。

この「うるせえな」のあとのコメント、きっと「たけしさん」にする案もあったんじゃないかと思うけど、あえて「たけし」にしたんじゃないか、なんて想像して、番組側の思惑どおり、そこにキレた枝豆とそれを誘った番組に痺れる。

ネタバラシされ「イメージ悪くなっちゃったかな」と心配する枝豆に、坂井「イメージ、元々悪いです(笑)」。

この企画の「FINAL」に相応しい人選とヒリヒリ感だった。

『あちこちオードリー』

ゲストは平成ノブシコブシとみちょぱ。

「天下獲り」を標榜するも、視聴率の評価の仕方など「急にルールが変わった」とプランの変更を余儀なくされたと嘆く吉村に「『天下』って何?」と疑問を投げかけるみちょぱ。

『吉村崇の~』という冠が欲しいという吉村に「当たり前のように(『平成ノブシコブシの』ではなく)『吉村崇の~』って言ってる人間性が視聴者に伝わってる」と徳井。みちょぱの発言に重みがあって、吉村の発言に説得力がないのは、「吉村が嘘ついてるから」と徳井。番組によってキャラや発言を平気で変える吉村。それは「傭兵」としては長所だけど、「天下を獲る」ためにはマイナスになってしまうのだろう。

2年前までライバルは小峠、澤部、麒麟・川島だったが「神様のドラフト」で川島が抜け、そこにパンサー向井やかまいたちが入ってきたと分析する吉村。関ジャニの村上がリアルなライバルだというと、それには徳井も同意。

一番近いのは澤部で「澤部がなんで冠番組を持ってないかを考えれば」自ずと自分に何が足りないかがわかる、と徳井は言う。吉村の発言を聞いていたみちょぱは「考えが昭和。憧れが昔で止まってるから今の時代と合わなすぎる」と酷評。「天下狙いキャラ」ではないかと看破する。

話を盛る際、「0→1はやらないけど、1→100はやる」という春日の発言を受け、「次の現場は100からスタートするから結果200になってる」と笑う吉村。

そんな彼は素の自分は「お笑いに向いてない」人間だという。けれど「人格すらも盛っちゃってるから」自分がわからないと打ち明ける。自分を「200」に盛って「傭兵」として戦いながら「天下」を目指す。吉村という芸人像が浮き彫りになった回だった。

あと、若林がみちょぱに対して言った「占いの番組に出ててスピリチュアルにならないんだよね、みちょぱがしゃべると。人間の話になる」という評は、みちょぱのスゴさを端的に表していると思った。


明日観たい番組:『ザ・ベストワン』4時間SPなど

『ザ・ベストワン』(TBS)4時間SP。

『ジロジロ有吉』(TBS)「追悼・米山ババ子」。

『タモリ倶楽部』(テレ朝)「ローカル芸人グランプリ」。

『ももクロちゃんと!』(テレ朝)「怪談」吉田悠軌。

『A-Studio+』(TBS)に上白石萌歌。

『徹子の部屋』(テレ朝)に加藤茶&綾菜夫妻。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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