ツッコミを取られ「恋リアに出てくる嫉妬してる男の子の顔」になっていたウエストランド井口(てれびのスキマ)


テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。

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『チャンスの時間』

ボケに対し、ほかのツッコミ芸人が先にツッコむことで嫉妬をさせてコンビ愛を取り戻していこう、という企画「ツッコミで相方を嫉妬させよう!」。この企画に「やらしいとこ見てるなあ。現役のツッコミが考えた?」とノブ。大悟がボケたときに自分より早くツッコむ人がいてもそれほど嫉妬しないが「それで大悟が俺のときよりうれしそうな顔をしてたら、キィー―!ってなる」と。

最初は三四郎。小宮より先にツッコむのは、とろサーモン村田。相田は「最近、小宮は俺のボケにツッコんでくれないときがある。昔はしゃかりきにツッコんでくれた」と。偽番組の収録が始まると、相田の小ボケにも反応して的確にツッコんでいく村田。明らかに表情が変わった小宮の反応速度も次第に上がっていくのがおもしろい。やがて、対抗心を燃やし過ぎてボケではないただのミスに対してもフルパワーでツッコんでしまうように。

ウエストランドにも村田が先にツッコミ。とにかく目立つのは村田のツッコミのスゴさ。いくら先にツッコむというふうになっていても、相手がどんなボケをするかもわからないのに、実際の相方よりも早く適切なツッコミをするのが驚異的。井口も圧倒されていた。

ネタバラシされ井口は「楽でした。村田さんがツッコむんだと思った」と言うが、「わしは井口、嫉妬してたと思う」と強がっていたんじゃないかと大悟は言う。アシスタントの西澤アナも「恋愛リアリティーショーに出てくる嫉妬してる男の子の顔をしてた」と。ツッコミの生態がよくわかるいい企画だった。

『思考ガチャ!』

まったく異なる分野で活躍する研究者たちが、身近な疑問をガチで討論する番組。司会にIVANと宇宙物理学者の小林晋平。心理学者の森田泰介、日本近世文学者の畑中千晶、海洋生物学者の佐藤克文の3人が、「なぜ推しにすべてを捧げてしまうのか」について討論。

森田は「手が届かないから」と解答。推しには恋愛感情が含まれており、心理学で恋愛感情は6種類に分けられる。その中でも「アガペー」が直結しているのではないかと。畑中は逆に「距離を縮めたいから」。佐藤は「命懸けだから」。それぞれ自分の専門分野から例を挙げ考察していくからおもしろい。

司会の小林は、「電子が見えるようになるのと同じ」と解答。「わかってくると興味が湧く→調べる→詳しくわかる→もっと興味が湧く」というループの繰り返しだと。しかも「時々、予想が裏切られる」。それを含めて好きになる、と。この小林先生、見た目も含めて学者っぽくなくて司会者としても逸材という感じがした。


『はなつまみ』

「ホントに愚かな男」「ワイドショーのコメンテーターでも炎上してツイッターでも炎上する」「志らく師匠が言ってましたよ。好きと嫌いが5:5のヤツが本物。志らく師匠は9:1で嫌われてる」などと、番組で事あるごとに伯山が毒を吐いていた立川志らくがゲスト。

「偉そう」というSNSでの意見に、「実際に私は偉いのです」と返した件について「偉いわりに、コチョコチョコチョと偉い人の動き方じゃない」とウイカが感想を述べると、「本質を突いてる」と志らく。

性格的に小物でテレビでケンカしたことがないという志らくは「見た目は怖い、ケンカっ早いイメージがあるけど、中身は蛭子(能収)さんとあんまり変わらない」と自嘲し、「日本人の感覚ではこういうことを言わないのが立派な人。それを言うってことは、俺はダメな人間でしょってさらけ出してる。こんな情けない奴が落語をやってるからおもしろい」と語る。コメンテーターの仕事は「感情論」で話すということを梅沢富美男に教わったという志らく。「思想じゃない。『弱きを助け、強きにはヨイショ』っていうのが芸人の生き方」だと。

伯山の講談について、みんなが「うまい」と評価するのが問題だという志らく。まだまだ過去の名人に比べて「うまい」はずはないと。これに「知らねぇくせによく言うよ!」と伯山は反論。「講談なんてだーれも知らなかった。それを知られるように……」と言いかけると、「その業績は認めるって言ってんじゃん」と太田も参戦。「うまくはないって言ってるの」と言われ、即座に「うまい!」と返す伯山。「自分の画面観て『うーん、うまい』って(笑)」と言いつつ、「下手でいいけど、芸は届くかどうか」だと持論を展開していく伯山「届いてるの、俺は。だからスゴいの!」。

「自己採点が厳しいから」未だに自分の落語を観ると「下手」だと感じるという志らくに、「過去の名人の落語と自分の落語を本気で比べようと思わないですよね?」と伯山が問うと、「なぜ? 比べる」と当然のように答える志らく。「それは逆に自己評価が高い」と伯山。それに対し「芸は芸だろ!」と太田。

「やたら『講談界のために』って言ってるんだけど、本当に芸術家であるならば、『講談界のために』なんてどうでもいい。自分がどうなるか」と志らくが言えば、太田も「つまりお前は講談界を背負ってるっていう影に隠れてるんだよ。お前は自分の看板で戦ってないんだよ!」「お前は講談って世界に甘えてるんだ。よくわかった、今日それが」「お前は届かせようとし過ぎなんだよ!」とふたりで責め立てる。とても刺激的でおもしろい、それぞれの立場の芸論の戦いだった。

明日観たい番組:千原ジュニア×ミキ亜生×中川家・礼二の『ボクらの時代』

『週刊さんまとマツコ』(TBS)、「都市伝説VSおしゃべり怪獣」。

『シンパイ賞!!』(テレ朝)、「金遣い調査!」四千頭身・マヂラブ・吉住・錦鯉。

『テレビ千鳥』(テレ朝)、「海外の雑ドッキリをしたいんじゃ!!」。

『ガキの使いやあらへんで!』(日テレ)、「遠藤VS陣内智則!!大根役者頂上決戦」。

『ボクらの時代』(フジ)、千原ジュニア×ミキ亜生×中川家・礼二。

『おかべろ』(フジ)、大久保佳代子&黒沢かずこ。

鈴木亮平・主演『TOKYO MER』(TBS)、中川大志・主演『ボクの殺意が恋をした』(日テレ)スタート。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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