『くれなずめ』成田凌論──底辺に怯えと震えが潜んでいる。だから成田凌は愛らしい。

2021.5.15

『くれなずめ』に不可欠だった成田凌の表現

映画『くれなずめ』予告編

成田凌は、最新主演作『くれなずめ』において、またもや高校生(と、その後)を演じている。

成田凌は、群像劇とも、青春とも、相性がいい。複数のキャラクターに揉まれたほうが、成田凌の独自性は活きるし、青春はそもそも怯えや震えと無関係ではないからだ。

『くれなずめ』は、高校生の文化祭で、ウルフルズの「それが答えだ!」を半裸で踊り歌った6人の男子が、数年後、ある披露宴の余興で、それを再演することを中軸に置いた物語だ。

6人を演じるのは成田凌のほか、高良健吾、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹

成田凌が演じている主人公の詳細は、映画の根幹に関わることなので、未見の方のために、伏せるしかないが、観終わった未来のあなたに、こう告げることはできると思う。

あの主人公は、高校生のときから、微かに怯えていたよね。微かに震えていたよね。

そして、このことが、この、笑いもあれば、涙もある、青春群像劇に、オリジナルな情緒を付加していたよね。

高校生時代の同級生として、四千頭身の都築拓紀(左)も登場する

6人の中で、一番物静かで、落ち着いていて、穏やかで、社会性があって、従順で、優しくて、きょとんとしていて、思いやりがあって、押しつけがましさのまったくない主人公の底辺には、怯えと震えがあった。

そして、それは、この映画にとって、必然だった。

成田凌は、濡れた捨て仔犬に似ている。

私たちには、怯えや震えを目の当たりにしたとき、それを抱きしめたくなる習性がある。

成田凌の表現は、人間の情に、届くものである。


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  • 映画『くれなずめ』

    2021年5月12日(水)テアトル新宿ほか全国公開
    監督・脚本:松居大悟
    出演:成田凌、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹、飯豊まりえ、内田理央、小林喜日、都築拓紀(四千頭身)、城田優、前田敦子、滝藤賢一、近藤芳正、岩松了、高良健吾
    主題歌:ウルフルズ「ゾウはネズミ色」(Getting Better / Victor Entertainment)
    配給・宣伝:東京テアトル
    (c)2020「くれなずめ」製作委員会

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