「権力を持ってる人たちって見下してる人間に対して想像力ないよね」切れ味鋭いセリフ満載の渡辺あや脚本の連ドラがスタート(てれびのスキマ)


テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。

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『今ここにある危機とぼくの好感度について』

待ちに待った渡辺あやオリジナル脚本の連ドラ。「意味のあることは言わない。なーんか言ってるけど何も言ってないっていうのが一番いいんです。僕の好感度だって上がりゃしませんけど、落ちもしませんから」「好感度だけでやってる」と、「スポーツってことは体を動かすことだと思います」みたいなことしか言わないアナウンサーから国立大学の広報に転職した主人公の中身が空っぽ具合を抜群に演じる松坂桃李。

大学上層部のおじさんたちは小劇場オールスターともいえる陣容。スター教授の論文改ざんの内部告発をもみ消そうとしている。その内部告発をした非正規雇用のポスドクに鈴木杏。彼女が唯一「実」のある人物を演じている。日本の基礎研究や研究者たちの置かれている窮状は、ここ数年、多くのドキュメンタリーなどでも伝えられてきたけど、こうしたドラマで描かれるのはとても意義深い。

「この場にいる全員が望んでいることは、会議がとっとと終わることであり、本質的な問題を議論することなど、誰も望んでいない」「正論にだけは気をつけろ! 正しさなんぞなんの腹の足しになる? 正論ダメ、絶対!」「ホント、権力を持ってる人たちって見下してる人間に対して想像力ないよね。見下すのは勝手だけど、見くびるのはやめたほうがいいよ」など、渡辺あやらしい切れ味鋭いセリフが満載。

「複雑なことが嫌いな彼は世界が単純であってほしかった。簡単でシンプルで自分に易々とわかるものであってほしかった。しかし、残念ながら世界はそう単純であるはずもないのであった」

『さまぁ~ず論』

「持論発表会」で「世界で一番さまぁ~ずのライブDVDをレンタルしてる」というゾフィー上田が「ここがスゴい!!さまぁ~ずライブ論」をプレゼン。上田は2002年の『さまぁ~ずライブ3』の『バケーション』を解説。

ハワイ旅行に来ているのに外で遊ばずにずっと将棋をしながら「のんびりしたいなあ」「バナナボート疲れるからめんどくさいよなあ」などと言っている。なんなんだと思ったら、4日間連続で雨が降っていて遊びに行けない状況の中でずーっと強がっているというコント、と概要を説明すると、「最初に雨降ってるって言わないのがいい説明」と三村。さらに上田は「ボケもツッコミもない。強がるという空気感だけで爆笑を生んでいる」「普通だったら『なんで雨降ってるんだよ!』と本音を言うことで笑いを取る。それをしない」と解説をつづける。

2000年に「さまぁ~ず」に改名して、“三村ツッコミ”で飛ぶ鳥を落とす勢いだったころで三村ツッコミを期待する空気だった、と当時の状況を語った上で「こんな攻めたコントで爆笑を取っている! 天才ですよ!」と絶賛。これを受け、三村が「俺のツッコミじゃなくてコントで笑いを取りたい」と主張してできたコントであることが本人たちの口から引き出される。

三村「コントがブレる。『~かよ!』を待ってるお客さんのためにライブの冒頭に固めて使って、あと(のコント)はやめた」と。「このあたりから、そんなにツッコまない、空気感とかリアリティが重視されてるコントが増えてきた」と分析する上田に、「いいとこ見てるねえ。上田とひと晩飲めるかもしれない」とご満悦の三村。「ボケの人は怖いからツッコミを入れたがるの。だけど俺はこのボケがおもしろいから、これツッコミなくていいよって、いつもそこでモメるの。会話ってツッコミってほぼないじゃない? それに近づけたいんだよね」。

具体的かつ深いコント談義で痺れた。


『お願い!ランキング』

2.5次元俳優にかもめんたる・う大が演技指導を行う「う大2.5」。佐藤流司、田中涼星、糸川耀士郎、安里勇哉、星元裕月、阿久津仁愛が参加。第1ラウンドこそ、「即興で胸キュンセリフ」というユルめのキャラ紹介的内容だったけど、第2ラウンドになると雰囲気が一変。う大が書いてきたオリジナル台本「親友を好きになった俺の妹」をふたりひと組で演じてもらうガチの指導に。

まずは兄役に田中、親友役に糸川。ふたりの演技を見たう大は100点満点で55点と厳しい評価。「兄の気持ちが変化していくというのがおもしろいんだけど、今のだと返されたものをコミカルに返すだけのラリーになっちゃってる」「感情のバリエーションがあると見世物として成立する」と静かに論理的に諭していく。

つづいて兄に星元、親友も阿久津。採点はまさかの13点。「何がしたくてしゃべっているのかわからない」と酷評。トーンが低い入り方に、台本の意図として一番避けたい「致命的な入り方」だと説明。最後の兄・佐藤、親友・安里のペアにも42点と低評価。「登場人物の生理的反応があんまりない。何がいい、何が嫌だって部分が見えてきてない」「リアルじゃない感じが違和感として生まれてくる」と。ヒリヒリした雰囲気だけど、ちゃんと理にかなったことを丁寧に言っているのでわかりやすいし、納得感があっておもしろかった。

明日観たい番組:『ファミリーヒストリー』に福山雅治

『激レアさん』(テレ朝)、「実力は足りないけれどプロ野球選手になりたすぎて、海外のプロ球団にあの手この手で入り込もうとして世界中でブチギレられてきた人」。

『マヂカルクリエイターズ』(テレ東)、「謎解き界のすごい人達と仲良くなりたいよ~!」。

『賞金奪い合いネタバトル~ソウドリ~』(TBS)スタート。錦鯉vs滝音vsZAZY。

『トゲアリトゲナシトゲトゲ』(テレ朝)、「福田のツッコミの可能性を広げる夜」。

『しゃべくり007』(日テレ)に米倉涼子。

『ファミリーヒストリー』(NHK)は福山雅治。

『徹子の部屋』(テレ朝)に北村総一朗。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。