長瀬智也への餞を節々で感じた『俺の家の話』最終回(てれびのスキマ)


昨日観た番組、そこで得た気づきを綴る連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日更新中の“てれびのスキマ”によるテレビ鑑賞記録です。


『俺の家の話』※最終回のネタバレを含みます

最終回。まさか寿一(長瀬智也)が死んでしまっているという話になるとは。長瀬の退所・表舞台からの引退を思わずにはいられない。けれどこれは、磯山Pのインタビューによると、退所が決まる前からすでに決まっていたそうでさらに驚く。

いい作品は思わぬところで現実とリンクする。いなくなったけど、いつづける、長瀬智也が描かれていく。

ドラマ自体、長瀬の集大成で彼への餞という感じがあったけど、最終回では西田敏行の口を借りて「お前は大したもんだよ。よくやったよ、寿一。みんなのことを笑顔にしてくれてさ、奮い立たせてくれてさ、人様の分まで戦って、舞って、怪我して、笑って、そんなやついないよ」「これからは寿一、みんながお前の代わりに、笑ったり泣いたりしていくからな」とほとんど直接的に餞の言葉が贈られる。

けれど一方で「ホントにこれでいいの?」とさくらが問いかけたように、得難い俳優・長瀬智也が表舞台から去ることを、ドラマ全体で全力で引き留めようとしているようにも見える。長州力も言っていた。「引退しても何度でもカムバックすればいい」と。

『タモリ倶楽部』

あまり知られていない「オブ・ザ・イヤー」を紹介する「オブザイヤー・オブザイヤー」というこれぞ『タモリ倶楽部』な企画。

最初に紹介されたのは「玉・オブ・ザ・イヤー」。ボウリングの玉の賞。かつてボウリング場の支配人をやっていたタモリは「俺たちのころとは全然材質が違うみたい」と言うが、ボールの特徴を少し聞いただけで、投げるたびレーンのオイルはボールに取られ、曲がり具合が激しくなっていく、と補足解説した上で「それを一定方向にしつつ直進する破壊力もつけようってことですよね?」と解説者いらずでその玉のスゴさを分析。

ほかにも「マニュアル・オブ・ザ・イヤー」「インターホン・オブ・ザ・イヤー」など興味深いものばかり。

個人的にスゴいと思ったのは「錯視・オブ・ザ・イヤー」。アメリカの学会が主催する世界最大規模のコンテストで、2020年で16回目だそう。2020年は「立体版シュレーダー階段図形」という日本人の作品が受賞。実際に見ると本当に不思議でおもしろい。

今回、番組の「オブザイヤー・オブザイヤー」に輝いたのは「ワイパー・オブ・ザ・イヤー」。こちらも2020年で16回目となるそうだが、なんと個人が主催。その年発売された販売台数5000台以上の車両を対象に、吹き残しの少ないワイパーを表彰するというのだが、これまで計測した車は449台でレンタカー代は当然自腹で129万1541円かかっているとのこと。

計測できるのは「雨天時のみ」のため、突然の雨天では「急いで有給」を取ったり、「梅雨時は稼ぎ時」だと言ったり、その語り口もとても愉快。審査基準もしっかりしていて、文句なしの「オブザイヤー・オブザイヤー」だった。


『志村友達』

1年間つづいた前代未聞の「追悼レギュラー番組」がついに最終回。

最後に大悟は「この番組は終わりますけど、志村さんのコントはまだまだあるし、たぶん観る機会もいっぱいある。僕もここで観ようが家で観ようが一緒なんで」とコメント。

まさに、志村けんはいなくなったけど、いつづける存在。最後にポツリと大悟が言う。「よかったですね、一緒にコントできて」。

今日観たい番組:2年ぶりの生放送『オールスター後夜祭』など

『オールスター感謝祭』(TBS)阿部寛、北川景子、川口春奈、田中圭ら。

『オールスター後夜祭』(TBS)阿佐ヶ谷姉妹、アルコ&ピース、おいでやすこが、岡野陽一、鬼越トマホーク、きつね、サンシャイン池崎、タイムマシーン3号、トム・ブラウン、ニューヨーク、ハリウッドザコシショウ、FUJIWARA、フワちゃん、ぺこぱ、見取り図、宮下草薙、マヂラブ村上、ラランド、レイザーラモンRGら。

『勇者ああああ』(テレ東)最終回。

『そろそろ にちようチャップリン』(テレ東)ザブングルのラストコント。

『ゴッドタン』(テレ東)劇団ひとりによる新企画「俺はこれでも泣けるんだ!」。

『マツコ会議』(日テレ)にYOASOBI。

『有吉反省会』(日テレ)に井上あずみ。

『SWITCHインタビュー 達人達』(Eテレ)は佐野元春×吉増剛造。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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