アフターコロナの核心を突いた、フワちゃんの言葉(てれびのスキマ)


昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、てれびのスキマによる2020年のテレビ鑑賞記録。


最高クラスの座組みでも際立った「毎日誰かに寄り添う」フワちゃん

『ボクらの時代』しずちゃん&バービー&安藤なつ。「(山里は)全部自分を正当化してしゃべることができる人。口では絶対勝たれへんかったから、黙って泣きながら拳を握ってるっていう。お互いが憎くて憎くて殺してやりたい」という状態から「こんなに仲よくなれるとは思ってなかった」と「家族」のような関係になれたというしずちゃん。

ボクシングで五輪を目指していたころ、山崎邦正(月亭方正)にかけられた言葉に救われたというしずちゃんのエピソードに、普段の山崎邦正とのあまりのギャップに「どこの山崎?」と聞き返すバービー。

久々の『ワイドナショー』通常放送。「妄想席替え」自分でもやりたくなる。

『ザ・ノンフィクション』、「花子と先生の18年」前編。「獣医師が動物保護の先頭に立つべき」と考え、保護団体が保護した犬や猫の治療を無料、もしくは実費のみで行う獣医師・太田快作。すごく穏やかで優しげだけど、ボランティア団体に頼まれ不妊治療をしていた際、約束した時間に終わってないとボランティア団体に文句を言う飼い主には言葉を荒らげて激昂する一面も。問題となっている多頭飼育についても「もちろん飼い主さんも悪いけど」と前置きしつつ「獣医師と行政の責任」と言い切って、自ら休日に何十匹も手術する。

「動物病院が『これで飯食ってるからたまにはやるか』ってひとり1匹ずつやれば今日1日で終わってたんですよ」と。「動物愛護は本来、プロ(獣医師)と行政が責任を持つべき。社会的弱者の問題だから。それをボランティアに押しつけるのはあまりにもカッコ悪いよね」。

『あたらしいテレビ』、テレ東・佐久間宣行、日テレ・土屋敏男、野木亜紀子、疋田万理、ヒャダイン、フワちゃんという考え得る最高クラスな座組みで行われた『新春TV放談』のコロナ禍スピンオフ的な番組。『有吉の壁』の紹介でとにかく明るい安村のシーンのイラストを使っている時点で、番組スタッフのテレビ好きが伝わってくる。

「テレビっていうのは語りがいのある祭りを作ること」(佐久間)、「テレビの利点は膨大なアーカイブ」(ヒャダイン)などうなずくことしきり。「自分がドラマ作るときは、実況する暇がないドラマを作ろうとしてる」という野木の宣言も心強かったし「3.11もまだ終わってないから、震災のことを今のドラマでもなるべく入れたい」という思いにも胸が熱くなる。そんな中でとにかく素晴らしかったのはフワちゃん。彼女をこの番組にキャスティングした人は本当に慧眼だった。

話している途中で「ああ! わかんなくなってきちゃった!」となってしまったり「ホントにみんな自分の意見があってスゴい!って思った」と言うのだけど、「凝って作り上げたものを出すというよりも、毎日誰かに寄り添うっていうのが、あたしの肌感では今求められてるのかなって」などとしっかり自分の意見を表明しつつ、「パワースポットみたい」と形容されていたように、みんながフワちゃんの言動によって柔らかくなり、議論を進める際の潤滑油にもなっていた。

「ねぇ、ヤダ、ホントに! あたし、上島竜兵のキスこれからも見たいよー!」というフワちゃんのひと言。爆笑を誘いつつも、「心の引っかかり」ができてこれまで素直に楽しめたものが楽しみにくくなってしまうという、アフターコロナの課題の核心を突いていた。

『TVチャンピオン』「リクエストSP」、まさに「テレビの利点は膨大なアーカイブ」を実感する総集編。

今日観たい番組:「テレワーク漫才GP」、「ファンキージェネレーション」傑作選など

『かみひとえ』(テレ朝)は第2回「テレワーク漫才GP」。すゑひろがりず、納言、コロチキ、どぶろっく、トータルテンボス、エイトブリッジ。

『お願い!ランキング』(テレ朝)かが屋・加賀主催で第7世代飲み会を開催。

『有田ジェネレーション』(TBS)は「ファンキージェネレーション」の傑作選。あのダイアンのやつがまた観られる!

『しゃべくり007』(日テレ)は寺田心。

【毎日更新】きのうのテレビ(てれびのスキマ)
5月10日 『M 愛すべき人がいて』相性抜群だった伊集院光&古市憲寿の解説
5月9日 不条理にこそリアリティがある。風刺的で希望に満ちた「転・コウ・生」
5月8日 第7世代レディースぼる塾「体張ること」「大食い」「水着」がNGな理由
5月7日 「僕は演劇を観ている!」と涙した『12人の優しい日本人』


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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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