直前『M-1グランプリ2020』審査員よりベテランもいるファイナリストを全組徹底解説



返り咲きの2組/アキナ・マヂカルラブリー 

人間心理に切り込むエッジの効いたネタが賛否両論を巻き起こすことも少なくないアキナは、16年大会以来の決勝進出です。すでに関西では一定の評価を獲得している彼らですが、その認知度はまだまだ全国区とはいきません。現状を打破するためにも、影響力の大きい『M-1』という大会で結果を残したい。

マヂカルラブリーは17年大会以来の決勝進出。その間に、ボケ担当の野田クリスタルが『R-1グランプリ2020』王者に君臨し、ネタ中に披露したオリジナルのゲーム“野田ゲー”が一部で話題となりました。トリッキーな芸風のコンビなので、一回こっきりの決勝進出で終わってしまうのだろうと勝手に思い込んでいたのですが、まさか再びファイナリストになろうとは……いやはやお見それしました。今度こそ上沼恵美子氏のお眼鏡にかないたい。

初の決勝進出組/東京ホテイソン・おいでやすこが・錦鯉・ウエストランド

初めての決勝進出……という言い回しは、読者の皆さんにフレッシュな印象を与えるかもしれません。しかし、実情を見てみると、大半がアラフォー同士によるコンビという、なんともベテラン感強めなラインナップとなっております。

そんな中、唯一の20代同士によるコンビが東京ホテイソン。予測不能なショーゴのボケに、備中神楽仕込みの独特な言い回しで食らいつくたけるのツッコミが、観客に激しい衝撃を与えます。以前から準決勝で高い評価を得ており、いずれ決勝の舞台に上がってくるだろうと注目されていたコンビが、ついに待望の決勝進出です。一部からは霜降り明星と芸風が類似していると囁かれておりますが、そんな風評など跳ね除けるような活躍に期待しております。ちなみに、所属事務所はグレープカンパニー。2007年王者・サンドウィッチマンの後輩に当たります。

ダブルメガネのサラリーマン風佇まいが味わい深いおいでやすこがは、『R-1ぐらんぷり』での決勝進出経験があるピン芸人「おいでやす小田」と「こがけん」で結成されたコンビです。通常はコンビではない者同士によるスペシャルユニットが『M-1』に出場した例としては、過去に、石田靖と山田花子による“石田・花子”、小籔千豊と川畑泰史による“座長座長”、カンニング竹山と山崎邦正(現・月亭方正)による“竹山崎”などが話題に上がったことがあります。しかし、そんなスペシャルユニットが決勝進出を決めるのは史上初の快挙。よほどの爆発力を秘めているだろうことが予想されます。

ところで、ふたりは『R-1ぐらんぷり2021』にも出場する予定でしたが、突然のルール変更に伴い、出場資格を剥奪されてしまいました。そんな行き場を見失った状態での『M-1』決勝戦、気合いの入れようはほかのコンビに負けず劣らず強いことでしょう。

黒と白のスーツのコントラストが眩しい錦鯉は、バイきんぐやハリウッドザコシショウ、アキラ100%といった、数多くのチャンピオンたちが籍を置くソニー・ミュージックアーティスツに所属している漫才師です。2012年結成とコンビ歴はさほど長くはありませんが、それぞれの芸歴はすでに中堅の域。

ツッコミの渡辺(隆)は東京NSC5期生で、同期に平成ノブシコブシやピースなどがいます。一方、ボケの長谷川(雅紀)は札幌吉本の1期生で、タカアンドトシと同期。「3組がアラフォー同士によるコンビ」と前述しましたが、実は長谷川だけは現在49歳ですでにアラフィフ。歴代M-1ファイナリストの中でも最高齢となる……どころか、一部の決勝審査員よりも年上になります。そのあたりも加味した上でネタ後の審査コメントを見ると、ちょっとおもしろいかもしれません。

そして最後はウエストランド。爆笑問題を筆頭とした芸能事務所・タイタンに所属する漫才師です。売れない芸人としての卑屈を爆発させる漫才は一部に人気を博していましたが、『M-1』での評価はさほど高くなく、厳しい状況がつづいていました。このまま評価されることなくラストイヤーを迎えるのではないか……とすら思われていましたが、ついに決勝の舞台へと駆け上がって参りました。なんとも感慨深いものがあります。売れない芸人の悲哀をゴールデンタイムでブチかませ!

敗者復活戦の見どころ/学天即


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すが家しのぶ

(すがや・しのぶ)1985年生まれ、香川県出身。お笑い評論家。フリーペーパー『SHOW COM』誌上でお笑い芸人DVDレビュー『神宮前四丁目視聴覚室』連載(Vol.1~Vol.28)。『立川談志落語集成 1964-2004』土橋亭里う馬、『東宝名人会 立川談志大全集』毒蝮三太夫・野末陳平、各インタビ..

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