【迷ったらコレ!】2022年8月のオススメ映画情報

2022.8.19

映画ファン必見の8月公開予定作をラインナップ! 映画評論家・映画ライターのバフィー吉川がセレクト&推薦する、注目の映画作品をお届けします。


どんな手を使っても、選挙に勝つ。『キングメーカー 大統領を作った男』

(c)2021 MegaboxJoongAng PLUS M & SEE AT FILM CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

監督・脚本:ビョン・ソンヒョン
出演:ソル・ギョング、イ・ソンギュン、ユ・ジェミョン、チョ・ウジンほか
8月12日(金)シネマート新宿ほか全国順次ロードショー

ストーリー

現職大統領率いる与党と比べてカネもなければ人脈もない、野党のウンボム陣営のために、チャンデは誰も思いつかなかった大胆な戦略に打って出る。それはネガティブキャンペーンから詐欺まがいの贈賄工作まで、勝つためにはどんな手段も辞さない汚いやり口。強大過ぎる敵を倒すためには毒をもって毒を制するしかない。チャンデの覚悟はある爆破事件を引き起こし、ウンボムとチャンデの共闘関係にも最大のピンチが訪れる。

おすすめポイント

韓国の第15代目大統領キム・デジュンと選挙参謀オム・チャンノクの黒い関係をモデルとした、実話ベースのポリティカル・フィクション。

票が伸び悩むウンボムの前に現れた、チャンデ。彼の唱える「1票を得るよりも、相手の10票をなくしてしまえ」という考えのもと、徹底的に共和党の印象を悪化させるネガティブキャンペーンと裏工作が繰り広げられる。チャンデは、ウンボムの理念に心を打たれた男であるが、それを実現するために危険な一線を越えてしまう。そこにはもはや、倫理などない。

新キャラ参戦でソニック・ユニバースが大拡張! 『ソニック・ザ・ムービー /ソニックVSナックルズ』

(c)2022 PARAMOUNT PICTURES AND SEGA OF AMERICA, INC.

監督:ジェフ・ファウラー
脚本:パット・ケイシー、ジョシュ・ミラー、ジョン・ウィッティントン
出演: ジェームズ・マースデン、ベン・シュワルツ、ティカ・サンプター、イドリス・エルバ、ジム・キャリーほか
8月19日(金)全国公開

ストーリー

平穏な生活が戻ったグリーンヒルズ。夜ごと勝手に街を守りつづけているソニックの願いは、ただひとつ「本当のヒーローになりたい!」。そんな折、再び世界に暗雲が立ち込める。ドクター・ロボトニックが銀河系で最も危険な戦士ナックルズを引き連れて帰ってきたのだった。彼らは、史上最強の破壊力を持つマスターエメラルドのありかを探しており、なぜかソニックを執拗に狙うのだった。自慢のスピードで立ち向かうソニックだが、ナックルズの圧倒的パワーでねじ伏せられ、まるで歯が立たない。間一髪のところで味方のテイルスに救出されたソニックは、悪の手に落ちる前にマスターエメラルドを探す旅に出ることを決意する。ソニック史上最大の危機を前に、世界の未来がソニックとテイルスに託された!

おすすめポイント

ゲームの映画化、コミックの映画化の1作目は、どうか温かい目で観てほしい。というのも、キャラクターの誕生エピソードや設定の紹介に尺が必要になってしまうことで、展開としてはこぢんまりとしてしまうことが多いからだ。しかし、それなりに次も観たいと思わせる要素を詰め込んでおかなければ、そこで終了。これからというところで出端をくじかれてしまう。

前作『ソニック・ザ・ムービー』(2020)の場合も同様。前作だけでは人気キャラクター「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の映画化が成功だったかは判断できない。肝心なのは、今作である。今作にはソニックに加え、ゲームでおなじみのテイルスとナックルズが登場し、一気に世界観が拡張された。ソニックの醍醐味はなんと言っても、仲間たちとの会話シーン。シリーズ2弾目ではそれが実現可能となり、さらに圧倒的にアクション要素も増したことで、ファン垂涎のシーンが展開される。

すでに続編映画とナックルズのドラマシリーズの製作が決定しており、また新たなキャラクターの存在も明らかになるなど、『ソニック』シリーズの今後の展開にも期待してもらいたい。

動物ヒーローたちの活躍に注目『DC がんばれ!スーパーペット』

 (c)2022 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

監督:ジャレッド・スターン
脚本:ジョン・ウィッティントン、ジャレッド・スターン
声の出演:ドウェイン・ジョンソン、ケビン・ハート、ケイト・マッキノン、ジョン・クランシンスキー、バネッサ・ベイアー、ナターシャ・リオン、ディエゴ・ルナ、キアヌ・リーブスほか
日本語吹き替え 声の出演:楠大典、高木渉、魏涼子、松岡茉優、松尾駿(チョコレートプラネット)、市川ぼたん、梶裕貴ほか
8月26日(金)全国ロードショー

ストーリー

人間がいない間に突然スーパーパワーを手に入れてしまったペットたち、空飛ぶ犬のクリプト、無敵バリア犬のエース、体の大きさ変幻自在なブタのPB、超高速移動カメのマートン、電流ビームを出すリスのチップ。ある日、クリプトの飼い主で親友スーパーマンが、世界征服を狙うあざとかわいい子猫のウィスカーズやモルモット軍団にさらわれてしまう! 上手にパワーを使いこなせず猛特訓中のちょいドジな彼らは、みんなで力を合わせて大好きなご主人様や仲間たちを救うことができるのか。

おすすめポイント

スーパーマンやバットマン、ワンダーウーマンといった、DCコミックスのスーパーヒーローたちのペットを主人公としたオリジナル長編アニメ。

DCコミックが設立されたのは1934年だが、スーパーヒーローが多く誕生するのは、30年代の終わりから40年代前半にかけてのこと。スーパーペッツの誕生も1940年代まで遡り、長い歴史がある。

スーパーマンのペット、クリプトの声優には、12月に公開予定の同じくDC映画『ブラックアダム』でも主演を務めるドウェイン・ジョンソン、キアヌ・リーブス、ケイト・マッキノンといった有名俳優たちが参加している。

泣きどころ満載! 池井戸潤節が炸裂のお仕事映画『アキラとあきら』

(c)2022「アキラとあきら」製作委員会

監督:三木孝浩
脚本:池田奈津子
出演:竹内涼真、横浜流星、高橋海人、上白石萌歌、児嶋一哉、満島真之介、塚地武雅、宇野祥平、戸田菜穂、野間口徹、杉本哲太、酒井美紀ほか
8月26日(金)全国東宝系にてロードショー

ストーリー

父親の経営する町工場が倒産し、幼くして過酷な運命に翻弄されてきた山崎瑛。大企業の御曹司ながら次期社長の椅子を拒絶し、血縁のしがらみに抗いつづける階堂彬。偶然同じ名前を持ったふたりは、運命に導かれるかのごとく、日本有数のメガバンクに同期入社する。だが、人を救うバンカーになりたいという熱き理想を持つ山崎と、情を排除して冷静沈着に仕事をこなす階堂は、銀行員としての信念が真っ向から対立する。ライバルとしてしのぎを削るふたりだったが、山崎は立ちはだかる現実という壁を前に、自らの信念を押し通した結果、左遷される。一方、順調に出世していた階堂の前にも、親族同士の骨肉の争いという試練が再び立ちはだかる。階堂は現実から眼を背けつづけ、ついに階堂家のグループは倒産危機に陥る。グループの全社員とその家族4800人の人生がかかった危機的状況のなか、山崎と階堂の人生が再び交差する。

おすすめポイント

『半沢直樹』シリーズや『七つの会議』(2019)、『空飛ぶタイヤ』(2018)など、元銀行員、ビジネス書著者といった、自身の経験を活かしたリアリティ抜群な作風のお仕事作品を生み出している池井戸潤原作の同名小説を、2017年のドラマ化につづき映画化。

父の工場が倒産したことから銀行員を憎むのではなく、自分が銀行員となって、同じ状況に苦しむ人を助けたいという熱い思いから銀行員になった山崎瑛。そしてドライな視点で物事を判断する階堂彬という、同じ名前でありながらも両極端なふたりの男の絆と友情、そしてロマンが交差する。

作中、「晴れた日に傘を貸して、雨の日に返せというのが銀行」という印象的なセリフがある。これは不条理な社会システムのあり方をひと言で表したような言葉だが、そんな状況でも顧客に寄り添える銀行員がいたとしたら、体制の内側から変わっていけるかもしれない。そんな理想論が具体化していくのではないかという希望も見えてくる作品だ。

狂っているのは世界か俺か。『激怒』

(c)映画『激怒』製作委員会

監督・脚本:高橋ヨシキ
出演:川瀬陽太、小林竜樹、奥野瑛太、彩木あや、水澤紳吾、松㟢翔平、松浦祐也、中原翔子、森羅万象ほか
8月26日より全国順次公開

ストーリー

中年の刑事・深間は、いったん激怒すると見境なく暴力を振るってしまうという悪癖があった。かつてはその強引な手法により街から暴力団を一掃した功労者と讃えられた深間だったが、たび重なる不祥事に加え、大立ち回りで死者まで出してしまったことの責任を問われ、治療のため海外の医療機関へと送られることになる。数年後、治療半ばにして日本に呼び戻された深間は、見知った街の雰囲気が一変してしまったことに気づく。行きつけだった猥雑な店はなくなり、親しい飲み仲間や、面倒を見ていた不良たちの姿もない。さらに、町内会のメンバーで結成された自警団が高圧的な「パトロール」を繰り返しているのだ。いったい、この街に何が起きているのか? 「安全・安心なまち」の裏に隠された真実に気づいたとき、深間の中に久しく忘れていた怒りの炎がゆらめき始める……。

おすすめポイント

アートディレクター、映画評論家の高橋ヨシキの長編監督デビュー作品。

アングラ臭漂う作品ではあるが、それもまたスパイスとして機能しており、独特の雰囲気を生み出している。その中で描かれるのは、暴力とはなんなのかということ。「暴力はいけない」とはよくいわれるが、マンガやアニメのヒーローもいってしまえば暴力で問題解決していたりもする。つまり暴力は、事態や環境によって意味が変化する。そしてそれを知りながら、あやふやに放置している現代社会。本作で表現されるのは誇張された世界観ではあるものの、社会に隠れた闇が表に出たら、実はこんなものなのかもしれない、とも思わせる。

悪夢の48時間! 『Zola ゾラ』

(c)2021 Bird of Paradise. All Rights Reserved

監督:ジャニクサ・ブラヴォー
脚本:ジャニクサ・ブラヴォー、ジェレミー・O・ハリス
出演:テイラー・ペイジ、ライリー・キーオ、コールマン・ドミンゴ、ニコラス・ブラウン、ネルシー・スフラン、Tsマディソンほか
8月26日(金)より全国ロードショー

ストーリー

ウェイトレス兼ストリッパーのゾラはレストランで働いていたところ、客としてやってきたステファニと「ダンスができる」という共通点があることで意気投合し、連絡先を交換する。すると翌日、ステファニから「ダンスで大金を稼ぐ旅に出よう」と誘われ、あまりに急なことで困惑するも結局行くことに。これが48時間の悪夢の始まりだとは露知らず……。

おすすめポイント

2015年、実際にあったツイッタースレッドを元に、ノンフィクションライター兼ドキュメンタリー作家のデイヴィッド・カシュナーが『ローリングストーン』誌に寄稿したゾラの記事がベースとなっている作品。ちなみにゾラ本人もプロデューサーとして参加している。

とにかく「知らない人にはついて行くな!」のひと言に尽きるような、ゾラの悪夢体験を女優テイラー・ペイジが体現。結果的に無事だったからよかったものの、ひとつ間違えば殺されてしまったり、体や心に傷を負ってしまう極限の状況下でも、警察に通報するよりツイートをしていたというのは、現代人の危機感のなさを痛感させる。


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