【『THE FIRST -BMSG Audition 2021-』レポート#3】SKY-HIが順位を決めた30名の審査がスタート

文=坂井彩花 編集=森田真規


SKY-HI(スカイハイ)が率いる会社「BMSG」が仕かけるオーディション『THE FIRST』。その模様を追いかける番組『THE FIRST -BMSG Audition 2021-』の第2回では、東京2日目・札幌・名古屋・大阪の2次審査や選考会議の様子、過去の痛みを追憶するSKY-HIの姿が放送&配信された。

そして4月16日に公開された第3回では、2日間にわたって行われた3次審査1日目の様子が届けられた。会場には緊張感が漂うなか、現時点の順位発表、自己紹介を兼ねた歌唱審査とオーディションは進んでいく。

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ソロでもグループでも輝ける“アーティシズム”

東京にて行われる3次審査には、2次審査を通過した30名が日本全国から集結。回を重ねるたび、次第に審査はシビアさを増していく。3次審査は“アーティシズム審査”である。

「ステージに立ったときに自分がどういう人間かっていうのを証明できる表現力・個性・オリジナリティ。声色や身体の可動域すべてを通しての音楽性をトータルで“アーティシズム”と呼んでおりますが、それを今回は見ます」とSKY-HIは語った。

審査基準を語るSKY-HI

どんなに実力を持っていても、ステージ上で発揮できなければアーティシズムがあるとは言えないということを、長い活動を経て彼は知っているのだろう。3次審査では、30人が半分の15人へと一気に絞られる。ここで行われる審査について、SKY-HIは次のように話した。

「30人が初めてそろうので、まずは音楽を通して自己紹介をしてもらいたいと思っています。それを歌唱審査として行いたい。ステージでの歌唱力とかパフォーマンス力はもちろん、(歌唱する曲の)元のアーティストの顔を忘れるくらい自分の曲としてパフォーマンスできるのか。そういった表現力を一番見たいと思っています。
2日目は30人を、こちらで6グループに振り分けたかたちでのグループでのパフォーマンス審査になります。最終的にはボーイズグループとしてのデビューを目指してるので、自分の才能を殺さずにグループに活かせるか。自分の才能を100%、エゴイズムを出しても、グループを殺さないでいられるか。そういったところを見たいです」

“ソロでもグループのひとりでも自分らしく輝ける才能があるのか”を3次審査では見ていくということなのだろう。「AAA日高光啓」と「ラッパーSKY-HI」というふたりの自分に挟まれてきた彼だからこそ、持ち得た視点であることは言うまでもない。

誰かに迎合して輝く人を、このオーディションで集めても意味がないのだ。“才能が才能のまま”輝ける組み合わせを、丁寧に探していくのである。

SKY-HIの“独断と偏見”で決まった暫定順位

いよいよ始まった3次審査。緊張の糸をほぐしたのはSKY-HIだった。会場に登場するやいなや「緊張してる方もいらっしゃるかもしれませんが、安心してほしいです。なぜなら僕もスタッフみんなも緊張してるから。リラックスしてください」と、参加者たちに優しく声をかけた。

そして、こうつづけた。
「蓋を開けてみたら本当に素晴らしい才能が集まってくれた、と心からうれしく思っています。改めて、応募してくれて、今日来てくれて、ありがとうございます」

彼の中には「俺が選んでやる」という傲慢さは存在しない。自分を信じて手を挙げてくれた存在がいることを心底喜ばしく思い、シーンを作っていく仲間として対等な視点で向き合っていく。

3次審査のパフォーマンスは、暫定順位の30位から順に行われた。審査前の突然の順位発表に動揺する参加者を見据え、SKY-HIは現在の順位を告げる理由を明かした。

「世の中に出る以上、不条理であるけれど順番はつけられるし、今日と明日で2日間しかない。だから今の自分がどのくらいの位置だと見られているのかっていう指標は絶対にあったほうがいいと思った。“今このくらいの順位だからがんばらないと”という意識は持っていてほしい」

では、この順位がどのように決まったのか。それは、完全にSKY-HIの“独断と偏見”だという。

「歌とラップ、ダンスだけで順位づけをした状態です。歌がうまくてもダンスをやったことがないという子は下のほうに行く可能性が高いですし、両方がそつなくできる子が順位は上に行きやすいような評価基準になっています」

ということは、実技の経験年数が高い応募者で30名が埋め尽くされているのかと思いきや、蓋を開けてみると初心者の姿もちらほら。なんなら経験者よりも高い順位を与えられている未経験者だっている。要するに、やったことがないから、習ったことがないから下手なわけではない。その人が備え持ったセンスも見抜いた上で、順位へと反映しているのだろう。

それぞれが“個性”で勝負していく


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坂井彩花

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