ヒット中『全国鉄道地図帳』の緻密さに驚く。路線図と見比べると新たな発見が!歪んだファンタジーが止まらない
2020年11月発行の鉄道地図帳『レールウェイ マップル 全国鉄道地図帳』が売れている。日本を走るすべての路線、駅(JR、私鉄、地下鉄、新幹線、路面電車、貨物線、リニアモーターカーの山梨実験線も)を採録した画期的な鉄道地図帳の見どころを、路線図エバンジェリスト・井上マサキが、路線図サイドから解説する。
十字に交わる路線を「X」に描いたっていい世界
「路線図はファンタジーの世界だ」と言いつづけてきた。
いや、路線図で魔物を召喚するとか、そういう話ではなく。
鉄道は現実世界を走るものであり、その経路は地図に正確にプロットされている。でも路線図はそうじゃない。さまざまな制約やデザイン上の都合から、路線図は現実をそのまま映しているとは限らない。言うなれば、そこに描かれているのは「異世界」だ。
たとえば、仙台には「東西線」と「南北線」の2本の地下鉄が走っている。ふたつの路線は仙台駅を中心とした十字を作っているのだが、路線図では上下のスペースの都合上から、南北線が「ポキリ」と折れ曲がりがちである。
もっと言うと、東西線の左端にある八木山動物公園駅は、本当はひとつ前の青葉山駅より東(右)に位置している。端っこでちょっとUターンしている。でも路線図では直線で描く。
つまり、現実と違う位置関係に駅がある。ほら「異世界」でしょう?
路線図は「駅と路線がどうつながっているか」が重要であり、デザインによっていかようにも姿が変わる。なんなら仙台市地下鉄には、「X」の形に路線が交わる路線図だってあるくらいである。
こうした路線図の多様性を「時空の歪み」と名づけて長らく愛でてきた。……のだけど、徐々に自分の中に「ある悩み」が生まれていた。
現実を知らないと、歪みに気づけないのだ。
型を知らなければ「型破り」ができないように、鉄道路線がどこを走っているか知らなければ、路線図の歪みを認識することができない。
僕は地元が宮城県で、今は関東在住だから、そのあたりの鉄道はわかるのだけど、お恥ずかしいことに西日本は細かいところが曖昧なまま。本当は旅に出たい。でもこのコロナ禍だ。
そんなときはやっぱり地図が役に立つ。そこで最近、強い味方を手に入れた。『レールウェイ マップル 全国鉄道地図帳』である。
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