SWシリーズ『マンダロリアン』とMCU『ワンダヴィジョン』
重要なのは、Netflixが世界で事業を展開させるにあたり、多様性を重視して多彩なオリジナルコンテンツを量産していること、それらがHBOなど全米ケーブルテレビ界の大人向けドラマを参考にしてか、刺激的な内容の作品が多いことに対し、ディズニープラスはあくまでファミリー向けの“安心して観られる”プラットフォーム作りに徹し、差別化を図った。これは “+1”の座を狙うにあたって有効であり、快進撃につながっている。
しかし、すでに世界中で観られた作品も多く、ほかの動画配信サービスと同様、この“動画配信・戦国時代”ではオリジナル作品が重視されるが、ディズニープラスも周到に準備している。
まず、おそらくディズニープラス最大のヒットオリジナル作品は『マンダロリアン』。映画『スター・ウォーズ』シリーズから生まれた初のスピンオフ実写ドラマだが、映画『アイアンマン』第1、2作のジョン・ファブロー監督が、企画に加えて多くのエピソードで脚本を担当。うるさい『スター・ウォーズ』ファンもうならせる高いクオリティで、シーズン3の製作が決まっている上に、3本のスピンオフの企画まで進行している。

そして、残念ながら映画『ブラック・ウィドウ』が1年もの公開延期を余儀なくされた「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」だが、ドラマ『ワンダヴィジョン』が世界中のマーベル好きを熱狂させている。
MCUのキャラふたり、ワンダ(エリザベス・オルセン)とヴィジョン(ポール・ベタニー)を主人公にしたコメディという意表を突いた導入部で幕を開けたが、まさしくMCUの1本だと次第に明らかになっていく。当初は『ブラック・ウィドウ』がMCUの“フェーズ4(第4期)”の第1作となる予定だったが、その公開延期でぽっかりと空いた穴を見事に埋めた。最近、ある調査によれば“世界中で最も視聴されているドラマシリーズ”になったとか。
オリジナル&アニメーション映画も配信で即アップ
つづいてオリジナル映画に関してだが、ディズニープラスはNetflixほど力を入れていないように見える。そもそもディズニーは映画賞レースにおいてアニメーション以外の部門を重視しているように思えず、映画は世界の劇場で拡大公開してがっちり稼ぐコンテンツという位置づけである。しかしコロナ禍がそれを変えた。
2020年春から全世界で公開するはずだった実写版『ムーラン』は公開延期を経て、当初は追加料金を払わないと観られなかったが、現在は会員なら誰でも観られるコンテンツに。これには映画界(多くの劇場が予告編を上映した)から非難する声が出たが、ディズニーランドなどのテーマパーク事業が大打撃を受けたディズニーにとって、必要な救済策だったと肯定する声も少なくない。
同時に、ディズニーが得意とするアニメーション映画の分野においても昨年末、大きな花火が打ち上がった。『ソウルフル・ワールド』は『モンスターズ・インク』『カールじいさんの空飛ぶ家』などで知られるピート・ドクターが監督。これも当初は劇場公開が予定されたが、『ムーラン』のようなプレミア視聴料なしに、いきなりディズニープラスで配信。だが傑作で、例年より遅れている映画賞レースでも高い評価を受け始め、ディズニープラスの勢いを後押ししているはずだ。
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