「現実」の風圧に立ち向かう、新型コロナ時代の演芸
いまだ全世界に猛威をふるう新型コロナウイルスは、現在もあらゆる分野に大きな影響を及ぼし続けている。そんなコロナ後の世界が始まった昨年、2020年の演芸界で特筆すべき話題とは? 2020年12月の視点で、放送作家・文筆家の和田尚久が回顧する。
新型コロナの流行に対峙した、2020年の演芸界
昨年、最初の緊急事態宣言の解除を受けて、都内にある寄席のひとつ、浅草演芸ホールは収容人数50%までの定員数で営業を再開した。また新宿末廣亭は秋から100%の収容人数に戻し、10月には新真打披露興行も実施。
その末廣亭から歩いて5分ほどの場所にある吉本興業の「ルミネtheよしもと」は客席を「80%以下の使用」に制限し、前2列は潰す、という「よしもと」らしい現実的な刻み方で観客を迎え入れた。
ことほど左様に、演芸の世界は新型コロナの影響をもろに受け、かつ、対応もケース・バイ・ケースという混乱がつづいています。
かつて川柳川柳という噺家が「歌は世につれ、世は歌につれ……なんてことを言うけど、世の中が歌につられるなんてことはない。現実のほうが圧倒的に強いよ」なんてことを言っていましたが、マッカーサーが帰国して以降、昨年くらい演芸の世界が「現実」の風圧を受けたことはないでしょう。
そんななか、昨年2020年に演芸の世界にはどんなことが起きたのか。順不同で振り返ってみたいと思います。
<2020年>
・神田伯山の活躍
・寄席の逆襲
・高田文夫の回転数
・女性芸人の時代
・最後の名人、野村萬