「タブー」だった著名人の政治的発言はなぜ増えた?芸能界に起こった地殻変動(中川淳一郎)

2020.12.22

タブーとされる政治的発言が増えていったワケ

そんな状況ながら、なぜ芸能人をはじめとした著名人の政治的発言が今年は目立ったのか──。

ひとつは前述のとおり、別に地上波テレビに出ないでもいいし、CMを獲得しないでもネットやライブでキチンと稼げることがわかったからだろう。もうひとつは、これと関連するが、事務所に所属しないでも構わない、というコンセンサスが芸能人の間に生まれたからだ。

今年、政治的発言の目立った小泉今日子に関しては「キョンキョン、突然どうした!」みたいな声はあったものの、彼女はかなり前から名うてのエッセイストとしての地位は確立していたのだ。だから意見を言うことには慣れていた。実際、彼女は個人事務所を設立し、自由に発言をつづけている。

小泉今日子が自身で代表取締役を務める株式会社明後日(@asatte2015)のツイッターより

事務所とタレントのパワーバランスが変化しつつある

近年「新しい地図」をはじめ、錦戸亮、手越祐也などジャニーズ事務所からの退所が相次ぎ、オスカープロモーションからも米倉涼子や剛力彩芽、岡田結実らが脱退している。これも自分個人の才覚で食っていける、という自信とインフラ(インターネット)があるからだろう。これから芸能事務所は単なる「人気者養成機関」に成り下がってしまう可能性はある。ある程度売れたら芸能人からポイッと捨てられてしまう。

芸能人個人はSNSやYouTubeで膨大なファンと直接つながっている。だからこそ事務所は彼らの自由な活動を阻害する邪魔物的な扱いをされる。かつては「ウチの事務所を辞めたら芸能界から干すぞ! すべてのテレビ局・出版社に出禁通告をするからな!」と流出を阻止できたものの、今や「どうぞどうぞ。むしろ私、さっさと辞めて自由になりたいんです。テレビと出版社がなくても大丈夫ですし、古臭いメディア以外からは私、仕事もらえますんで」状態。

ネットが発達した今、こうした恫喝は「パワハラ」と糾弾され、しかも「個人の自由を阻害する害悪」とも扱われる。コロナでテレビや映画の仕事が激減した芸能人はYouTubeに収益の可能性を求めた。そして「案外できるじゃん♪」となった。2020年は、「芸能人の事務所離れ元年」であるとともに、「著名人の政治的発言がタブーでなくなる(かも)元年」と言えるかもしれない。

この記事の画像(全0枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

関連記事

無理やり過ぎる杉田水脈擁護 ネット負の遺産として永久保存(小川たまか)

コロナ感染のヤラセ疑惑も浮上!?米大統領選挙を前に激化する“トランプ劇場”の行方

「政治に対して声を上げない若者」を作ったのは誰か――都知事選と出てこないキッズ(古田大輔)

エバース

「ウケるからやるは『M-1』では失敗する」。3位だったエバースは2026年、自分の感覚を信じる【よしもと漫才劇場10周年企画】

豪快キャプテン×ダイタク

ダイタク×豪快キャプテン、認め合うお互いの漫才の魅力「簡単そうに笑いを取る」【よしもと漫才劇場10周年企画】

三遊間×ゼロカラン

三遊間×ゼロカラン、人気投票との向き合い方の正解は?「やっぱり有名にならなあかんな」【よしもと漫才劇場10周年企画】

Furui Rihoが『Letters』で綴った“最後の希望”「どんなにつらい日々であっても、愛は忘れたくない」

Furui Rihoが『Letters』で綴った“最後の希望”「どんなにつらい日々であっても、愛は忘れたくない」

EXILE NAOTOが語る、「勝負する身体」がステージと水面で魅せる“攻めの0.1秒”。大きな影響を与えるオーディエンスのパワーとは【『SG第40回グランプリ』特別企画】

4年目の今、重荷だった「王子様」を堂々と名乗れる。Last Princeが語る、プリンスを背負う勇気と楽しさ

甲斐田晴/ローレン・イロアス/3SKMの撮り下ろし表紙を公開! VTuberのトップランナーたちを徹底解剖【春のQJ×にじさんじ祭り!】

ニューヨーク『Quick Japan』vol.181

ニューヨーク、60ページ総力特集「普通は勝てない?」を考える。バックカバーにはSHUNTO×MANATO×RYUHEI(BE:FIRST)が登場【Quick Japan vol.182コンテンツ紹介】