Wヲタク漫才で知られるお笑いコンビ・カラタチの前田壮太。推しへの思いだけを原動力に、ネタを作り、舞台に立っている前田だが、先日、推しである櫻坂46の武元唯衣がグループからの卒業を発表した。失意の中にいる彼は、これからどのように前に進んでいくのだろうか。卒業に対する心情から、これからの前田の芸人人生についてまで。短期連載「推しメンの卒業に寄せて」として、綴っていく。
ついに迎えた、推しに会える最後の機会。出会ってからの感謝を伝えるために向かったリアルミーグリと、卒業セレモニー当日の心境を推しへのラブレターとしてここに残す。
これまでのすべてを肯定してくれた言葉
第1回そして第2回のコラムを読んでくださりありがとうございました。櫻坂46・武元唯衣ちゃん推しのカラタチ前田です。
第3回となる今回は唯衣ちゃんとの最後のリアルミーグリ、そして5月13日に行われた唯衣ちゃんの卒業セレモニーについて書いていきたいと思います。
唯衣ちゃんとの最後のリアルミーグリは5月4日、幕張メッセで行われました。日程が決まった時点でマネージャーさんにすぐ連絡をして「5月4日、夜まで何もスケジュールを入れないでください」とお願いしました。
ちなみにリアルミーグリとはアクリルシート越しにメンバーと会話できるイベントです。
抽選なので当たるか不安でした。いつもは行かないけど最後だからと申し込む人がたくさんいるからです。もちろんそれは喜ばしいこと。
CDに封入されている応募券にあるシリアルコードを入力して申し込むのですが、今回は2,000円のCDを60枚ほど購入しました。これが今の僕の経済力のマックスでした。
サブスク全盛の今、タワレコでCDを60枚も買う人はなかなかいないからかレジに時間がかかり、僕のうしろに並んでた人がイライラしてるのがわかりました。申し訳ない。でも推しに直接会える最後のチャンスなんです。許してください。
見たことないようなデカいタワレコの袋に入った60枚のCDを持って家に帰り、シリアルコードを入力。
数日後、抽選結果が出て僕は無事リアルミーグリ1部から4部の全部の部で数枚ずつ当たり、幕張メッセへ推しに会いに行けることになりました。
そして当日。その日はものすごい強風で京葉線が遅延してる上にいつもよりかなりスピードを遅くして運行していました。
最後の最後で天気までが俺と唯衣ちゃんにジャマをしてきやがった。
焦る気持ちを抑え、京葉線の中で唯衣ちゃんと何を話すかのシミュレーション。人生もリアルミーグリも、思うようにはいかないのは痛いほどわかってはいるのだけど。
いつもよりだいぶ時間はかかりましたが、なんとか無事に海浜幕張駅に着き、急いで幕張メッセへ。
1部から3部は目の前の唯衣ちゃんのかわいさに動揺しつつも、シミュレーションどおり他愛もない会話をするように努めました。
寂しい気持ちになりたくなかったから。寂しい気持ちにさせたくなかったから。
そしていよいよ4部。ヲタクたちの様子もさっきまでとは違います。オンラインではなく、目の前の推しに直接気持ちを伝えられるのはこれが本当の最後。
みんなラストサムライと同じ顔つきをしていました。
僕は頭の中でどうしても伝えたかった「7年半、唯衣ちゃんを推せて本当に本当に幸せでした」というひと言を反芻しながらレーンに並びました。
ついに僕の番になり、目の前に立った唯衣ちゃんに「7年半.…….」と言いかけたそのとき、唯衣ちゃんが僕の目を見て「私、前田さんに推してもらえて幸せでした」と言ったのです。
予想もしてなかった唯衣ちゃんからのひと言に、あれだけ頭の中で反芻してたセリフも吹っ飛びました。
いや、吹っ飛んだのはセリフだけじゃありません。
この7年半にあった仕事やプライベートや人間関係の嫌だったこと、そして今抱えている悩み。
それらが全部吹っ飛んでいきました。
僕の心の中の嫌な部分や汚い部分も唯衣ちゃんが全部肯定してくれたような気がしました。
「私、前田さんに推してもらえて幸せでした」
なんて優しくて寂しくてうれしい言葉なんだろう。
その日の夜は、その言葉が頭からなかなか離れず、寝れませんでした。
目に焼きつけた最後のパフォーマンス
リアルミーグリから数日後、5月12日に幕張メッセで『14th Single BACKS LIVE!!』というライブ、そして翌5月13日は『BACKS LIVE!!』のあとに、唯衣ちゃんの卒業セレモニーが行われました。
初日の5月12日は現地に行けずに配信を観ました。
ただ、「明日行くからセットリストを知りたくない」という気持ちと「少しでも唯衣ちゃんのアイドルとしての姿を焼きつけたい」って気持ちが混ざり合い、スマホの画面をチラチラ観るという落ち着かない状態で過ごしていました。
そして翌日13日。とうとう唯衣ちゃんの卒業セレモニーが行われる日がやってきました。
ソワソワして開演の4時間前くらいに幕張メッセに着き、グッズを買ったりいろんな写真を撮ったりしていました。

そうこうしていると、あっという間に開演1時間前。
すると急に幕張の空が曇り始めて、雨がポツリポツリと降り始めました。
泣くの早いよ、空!
泣くなって言うのは無理だけど、心は寂しくても笑顔で行こうよ!
そんなことを思いながら幕張メッセ・イベントホールに入場。
まずは『BACKS LIVE!!』から始まりました。僕は肉眼でメンバーが見える距離のアリーナ席だったので、今回ばかりは自分の眼球を「武元唯衣専用カメラ」にして唯衣ちゃんだけを見ていました。
アイドル・武元唯衣を一瞬たりとも見逃したくなかったです。
唯衣ちゃん自身も「櫻坂46としてパフォーマンスするのはこれが最後だ」という気持ちがあるはずなのに、ライブではほとんどそれを出していませんでした。
「主役は自分ではなくBACKSメンバー全員だ」そんな唯衣ちゃんの気持ちが伝わってきました。
『BACKS LIVE!!』が終わり、いつもなら「櫻坂46! 櫻坂46!」となるコールが「唯衣ちゃん! 唯衣ちゃん!」というコールに変わりました。
この瞬間、主役が唯衣ちゃんに変わりました。
でも僕はどこか寂しい気持ちもあり小声で「唯衣ちゃん! 唯衣ちゃん!」とコールをしてしまいました。
卒業セレモニーが始まってほしくない。そんな気持ちもありました。
すると大好きな曲のイントロが流れました。
唯衣ちゃんと森田ひかるちゃん、山﨑天ちゃん、守屋麗奈ちゃんの4人による楽曲「制服の人魚」。
唯衣ちゃん以外の3人は『BACKS LIVE!!』には出演していなかったのに、唯衣ちゃんのために駆けつけてくれたのです。
会場も大盛り上がりでした。
僕が大好きな「制服の人魚」が、唯衣ちゃんにとっても大切な曲だったんだってわかってうれしくなりました。
曲が終わりスクリーンに過去の唯衣ちゃんの映像が流れ卒業セレモニーが始まりました。
映像が終わると白を基調にサイリウムカラーの青とピンクを取り入れたドレス姿の唯衣ちゃんが現れました。
その姿を見た瞬間に胸がいっぱいになって苦しくなって。僕は隣の席のヲタクにも聞こえないような小さな声でつぶやきました。
「きれいだ……」
すぐに目頭が熱くなり、「マズい!」と思って目をこすったらコンタクトがズレてしまい、慌てて瞬きをしました。唯衣ちゃんのアイドルとしての最後の姿をボヤけた視界で終わらせるわけにはいかない。
コンタクトは元に戻ってくれました。
ドレスを着た唯衣ちゃんはプリンセスでした。「アリエルが好き」ってよく言ってたけど、本当にアリエルみたいでした。
そのあとの唯衣ちゃんの卒業スピーチは本当に素晴らしかったです。同期、後輩、先輩、スタッフ、家族、ヲタク、みんなに愛される理由がわかりました。
変に寂しくならずに何度も笑いが起きていたのも唯衣ちゃんらしいなと。
そして櫻坂46のメンバーがひとりずつ唯衣ちゃんに花を渡しながら言葉をかけていきます。
僕たちヲタクはステージ上の唯衣ちゃんには直接声をかけることはできないので、各々に与えられた座席で各々の心の中で唯衣ちゃんへの感謝を述べていたでしょう。
「唯衣ちゃん、7年半ありがとう」
「唯衣ちゃん、僕の推しと仲よくしてくれてありがとう」
「唯衣ちゃん、私の推しが悩んでたとき相談に乗ってくれてありがとう」
「唯衣ちゃん、いろんなバラエティ番組に出てグループの名前を広めてくれてありがとう」
あのとき、会場のみんなが唯衣ちゃんに感謝しました。
いよいよセレモニー終盤。すると唯衣ちゃんがドレスの一部を脱ぎ捨て自身のセンター曲「油を注せ!」をパフォーマンスしたのです!
まさかドレス姿で踊るなんて!
ここに僕は武元唯衣という人間の覚悟を感じた気がしました。これが自分の表現なんだと。これが私なんだと。
きっとまたいつか唯衣ちゃんのダンスを見られるはず。笑顔で踊る唯衣ちゃんを見てそう思いました。
会場を出ると雨はやんでました。
人混みの中ひとりで、何度も何度も唯衣ちゃんのドレス姿を思い出しながら電車で帰りました。
心にはポッカリ穴が空いてました。
あれから数日、まだ心にはポッカリと穴が空いています。
でも最後の唯衣ちゃんのダンスと笑顔を見て、この心の穴を埋めてくれるのも唯衣ちゃんなんだろうなと確信しました。
いろんな人に「唯衣ちゃんが卒業したら櫻坂46を応援するのやめるんですか?」と聞かれますが、やめるわけありません。
唯衣ちゃんが青春時代、いや人生をかけた櫻坂46の応援をやめられるわけないじゃないですか。
これからは、武元唯衣というひとりの女性と櫻坂46というグループをずっとずっと応援していこうと思ってます。
唯衣ちゃん、7年半の櫻坂46としての活動お疲れ様でした。
今はゆっくり休んでください。そしてまたいつか僕の心に空いた穴を埋めに来てください。
唯衣ちゃんが卒業セレモニーのスピーチでグループの先輩方に対して言った言葉をそのまま僕からも唯衣ちゃんに伝えたいです。
「人生を変えてくれてありがとうございました」
そしてもうひとつ。
「僕、武元唯衣を推しにできて幸せでした」
前田壮太
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