「企画」が光る番組の、一風変わったラジオパーソナリティたち
ここまでは芸能人がパーソナリティを務める番組に注目してきたが、ここからは「企画」が話題となった番組を紹介する。ラジオ沖縄で2020年7月に始まった『ROK技術倶楽部』は、ラジオ沖縄技術管理部の若手3人(塩川拓弥さん、西原正太郎さん、金城信秀さん)が、放送技術の観点からラジオの裏側を語る番組だ。
注目のポイントは、従来のラジオ番組にあまりなかった展開をしているところにある。放送は日曜深夜24時。深い時間だというのに、radikoのタイムフリーでは聴けないようにしてある。今や、番組によってはオンタイムよりもタイムフリーで聴く人の割合が多いというのに、世の流れに逆らっている。これはラジオの受信機で聴いてほしいという思いからだそうだ。実際にラジオで聴いている人からの受診報告のメールも届いており、遠くは東北、関東、はたまた台湾、韓国のリスナーからも届いた。
マニアックなテーマであることが功を奏しており、同業者や技術が好きなリスナーの参加が日に日に増えている。「AMとFMの電波の違い」「送信所に自立式鉄塔を採用した理由」「入社試験に実技はある?」といったテーマの話に「#はんだ864」をつけて補足情報をツイートする人が多い。ツイートを眺めていると、部活のサークル内のやりとりを見ているようで勉強になる。
もともと、ラジオ沖縄の社長が3人の楽しそうな会話を聞いて「ラジオをやってみないか」と発案したのがきっかけだった。しゃべりのプロではないのでワチャワチャした雰囲気はあるが、その裏方感が微笑ましい。あえてスタジオで収録せずに会議室で収録しているところにもセンスを感じる。
さらに10月からはIBC岩手放送で『おしゃべり技術くん』(日曜 9時40分〜9時55分 ※毎月第3日曜は休止)がスタートした。岩手放送はラジオ・テレビ兼営なので、「なぜテレビの時報は流れなくなったの?」といったテレビに関する素朴な質問にも答える。
両番組とも交流が生まれており、両方を聴いて雰囲気の違いを楽しむのもおすすめだ。ちなみに『おしゃべり技術くん』はアナウンサーと技術担当者という組み合わせで放送している。どことなく古きよき“NHK教育テレビ”の香りが漂うが、ところどころにコントを彷彿させるようなやりとりがあるので、聴くと心をくすぐられる。マニアックな企画の番組に鉱脈があるように思われる。2021年はどのような番組が誕生するのか、はたまたどのような既存の番組にスポットが当たるのか、実に楽しみである。
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