無理やり過ぎる杉田水脈擁護 ネット負の遺産として永久保存(小川たまか)

2020.10.27


身内だけに通じる「慰安婦」説明

擁護の最終案が「当該発言をされた場にいた議員の秘書の方から伝聞で聞いた話」から始まるツイートである。

あの発言は『(10歳で慰安婦にされたなど)明らかに嘘だと客観的に証明できる嘘をついた女性たちについて、“こうした女性はいくらでも嘘をつける”』という発言の『こうした』をトリミングしたという。許せないね

杉田水脈を擁護するアカウントによるツイート

このツイートも瞬く間に拡散され、現在ではこのツイートを根拠にして、杉田水脈議員を引きずり下ろしたい勢力による切り取りであったかのように言われている。ネットの一部の、杉田支持層の間で。

その「トリミング」が事実であり、発言に正当性があるというのなら、なぜ杉田議員は公にそれを説明しないのか。こんなことを説明すればさらに批判を招くことがわかっているから、ブログではほのめかすに留め、自分の支持者が勝手な解釈を拡散することに任せているのだろう。

そもそも上記ツイートの内容は、性暴力の民間相談窓口について話し合われている場で、「女性はうそをつく」という「例」を持ち出すこと自体が偏見であるという批判への説明になっていない。つまり杉田支持層以外が納得する説明ではないのだが、彼女の支持層はそんなことを気にする人たちではない。気にせずに「悪意ある切り抜き」と連呼してくれる人たちに杉田議員は守られている。

「こっちはだんまりですか?」の愚

冒頭に書いたように、杉田議員の辞職を求める署名は10月13日の時点で13万6000筆(26日時点では約13万8000筆)が集まっている。

杉田水脈議員の発言撤回、謝罪、辞職を求める署名ページ(Change.org)より

署名を集めたのはフラワーデモの主催者らで、現在までに全国の約70団体(主に被害者当事者・支援団体など)が署名に賛同・連帯している。フラワーデモは杉田議員を叩くために始まったデモではなく、2019年4月から性犯罪刑法の見直しや性暴力の根絶を目指して始まったものだ。それすら調べようとせずに、「なぜこの短期間で人を集められるのか」といったイチャモンをつけているツイートも見た。

女性と見られるあるアカウントは、わいせつ教員に関するニュースリンクを貼り、「フラワーデモの人たちはこっちのほうはだんまりですか?」と揶揄。複数の人から、その件に関して対策を求める署名を行っているのはフラワーデモ参加者であることを指摘されると「だんまり」を通した。

そして、この女性アカウントに対して、「(わいせつ教員についての)法改正が実現したら自動的にフラワーデモの手柄になってしまうんですよ」と注意喚起しているアカウントもいた。


ファンネルが 必死になるほど 馬脚だよ

ネットが人々の悪意や無知や妬みといったものをあらわにしてしまうツールとはいえ、あまりにも。ここはあえて杉田議員の言葉を借りて言いたい。「生産性のない」悪意の表出を止めよ、と。

辞職を求める署名数に比べて、「杉田水脈議員を守ろう」という署名の賛同は4000筆に満たない数である。それを鑑みれば、ツイッター上の「杉田支持者」の傍若無人な振る舞いは、単に無視すればいいのかもしれない。

けれども、フジテレビの平井文夫解説委員のように、匿名ではなく実名で杉田議員を「非常にちゃんとした保守政治家」と評してしまう人がいるのも2020年の現実である。人類の、インターネットの負の歴史として、この騒動の次第をネットの海に記しておきたい。

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小川たまか

(おがわ・たまか)1980年、東京都品川区生まれ。文系大学院卒業後→フリーライター(2年)→編集プロダクション取締役(10年)→再びフリーライター(←イマココ)。2015年ごろから性暴力、被害者支援の取材に注力。著書に『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(タバブックス)。自称フ..

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