「心が曇ることは絶対にしてはいけない」というミルクボーイ内海氏が自室の壁に掲げていた言葉にグッときた
社会の嘘や闇を暴く系のYouTubeは視聴回数を稼ぎやすい王道のジャンルとして確立されているようで、いろいろなYouTuberが同じ構造の動画を撮っている。
今までに観たもので印象に残っているのは、喫煙所からはみ出てタバコを吸っている人を「ここ喫煙所じゃないので」と注意し、たまに従わない人や言い返してくる人がいると「頭おかしいんじゃねえの」「ダメだこいつ、話通じねえ」などと煽りを入れ、ケンカを誘発する動画。
あと、GPSの入った荷物を置いたまま路傍で寝たふりをして、計算どおり置き引きに遭ったあとで犯人を追跡し、住所を突き止めて警察に突き出す動画など。
動画の中で批判されている対象は確かに悪いのだが、わざわざ自分からトラブルに巻き込まれに行き社会的な正義を味方につけた上で悪を晒し上げ、ボコボコにして気持ちよくなっているYouTuberに憤りを感じる。彼らが頭の悪いキッズから大変な人気を博し、数千の応援コメントを集めているのを見ると暗澹たる気持ちになる。
ただし、そういう私自身の中にも悪を懲らしめてスカッとしたいという感情があるのは否定できない。
YouTuberと弁護士が客としてぼったくりバーに入店し、法外な値段を請求する店側に対し法律の知識で論破する動画を観て思わず「いいぞ、もっとやれ」と思ってしまった。そこからぼったくりバー関連のYouTubeを貪るように観た。私も過去に大した額ではないがぼったくりバーの被害に遭い、すべてのぼったくり店が滅びるべきだ、と憎悪の念を抱いたことがある。
今でもぼったくり店は必要悪とすら思えないが、そんなものを観て気持ちよくなっているようでは、マナーの悪い喫煙者を晒し上げるYouTuberの取り巻きキッズと大して変わらない。正義で悪を殴る気持ちよさに酔ったら頭が悪くなる。その一念で自分に歯止めをかけようとしていても、たまに危ないときがある。
というか私はなぜ、嫌いなタイプのYouTubeをそんなに熱心に観ているのだろう。嫌だったら観なければいい。そもそもああいうYouTubeのメインターゲットは分別のついていない10〜20代で、30を越えて同級生が所帯を持ったりしているなかで、未だ悪趣味なYouTubeを見つけてどうこう言っている自分が悲しいとは思う。
そういえば、私は『Yahoo!ニュース』で下劣なコメントがつきそうなニュースを見つけたらついコメント欄をチェックしにいってしまう悪癖もある。見ているだけでストレスが溜まり、頭が悪くなり、運気が下がっている実感があるがやめられない。
去年の『M-1』の背景を追った番組の中で、ミルクボーイの内海氏が自室の壁に掲げていた「心が曇ることは絶対にしてはいけない」という言葉にグッときて、今年はその言葉を実践していこうと決めたはずだった。2020年もいつの間にか終わりに近づいている。せめて最後だけでも、心の曇る動画を観るのをやめ、自分のやるべき仕事をまっとうしたい。
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