原作者逮捕で連載が打ち切り『アクタージュ』報道で思うこと(小川たまか)

2020.8.17

著名人が性犯罪で逮捕されるたびに思うこと

『週刊少年ジャンプ』編集部が公式サイトで発表したお知らせ

有名人の性犯罪での逮捕が報道されるたびに思うことがふたつあります。

ひとつは、過去に同様の被害にあった人のケアについて。過熱する報道に接して、以前の被害を思い出す人は少なくありません。実際、似た被害にあったことがあるという声がツイッターで散見されました。

弁護士ドットコムニュースの記事(人気漫画「アクタージュ」原作者の逮捕、わいせつ事件起こす人にありがちな「両面性」)にも解説があるように、最近は防犯カメラが増えましたが、昔はこのような被害は捕まらないことも多く、被害者も「どうせ無理だろう」と通報を諦めることもありました。

加害者がわからない悔しさや、被害時の恐怖を思い出してしまう人たちが、気軽にカウンセリングを受けたり、思いを吐露できる場所が増えてほしいと思います。現状ではまだサポートやケアはじゅうぶんではなく、カウンセリングや相談先で二次被害に遭うこともある状況です。

もうひとつは、「復帰」についてです。芸能人や少年漫画の原作者など、子供にも影響力の大きい職業の人が性犯罪を犯した場合、罪を償ったあとであれば同じ仕事に戻ってもいいとは私は思いません。

長らく軽視されてきたのが性被害。性犯罪者のエンタメ分野への「復帰」については、社会がもう少し性被害を理解し、大人たちが性暴力の被害対応を知る世の中になってから検討するのでよいように思います。

とはいえ、これは私の考えなので、「罪を償ったあとであれば何をしても自由」「優れた表現者には作品を残させるべき」と考える人もいるでしょう。

これも個人的な考えですが、たとえば薬物やアルコール依存の有名人たちの場合、復帰に当たって依存からの回復や治療の過程を語ることがあります。そうであるならば、性犯罪を行ってしまった著名人も、復帰するのであれば加害者臨床や再犯防止プログラムを受け、その過程を語ってほしいと思います。

自身の歪みについて語ってほしい

性犯罪の場合、特に加害者が男性のときは「男の本能だからしょうがない」と説明責任が免除されることがあります。児童が相手であっても「男は若い子が好きだから」とか。

性的な好奇心や好意を抱くことと、性暴力を行うことはまったく別次元の話ですが、性的な好奇心を持つことの延長線上に性暴力があると理解され、加害者自身もそのように認識している場合があります。

自分がなぜ性暴力を行ってしまったのかを語り、どのような再犯防止プログラムを受けたのかを著名人が語ることが、犯罪抑止につながることを期待します。

性犯罪の加害者の中には、「いい人だった」「礼儀正しい人だった」と評される人もいます。実際、性犯罪の裁判を見ていても、粗暴に見える人ばかりではなく、むしろ大人しく礼儀正しく見える人のほうが多い印象です。

ただ、男性や目上に対しては礼儀正しく、女性や子供に対しては無意識に態度を変える……という人もいて、それは蔑まれた人にしかわかりません。

最後になりますが、『週刊少年ジャンプ』について。連載していた漫画家が児童買春禁止法違反で逮捕・書類送検されたこと(2002年)や、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の容疑で書類送検(2017年)、編集部も女子トイレに卑猥なロゴマークを掲示してネタにしたやらかし(2017年)があります。

【参考】集英社ジャンプ+α編集部、性的イラストを女子トイレ入口に掲示

どうなのかな……と思うことはあるのですが、あえてよいことを挙げると、私は『少年ジャンプ+』に連載されていた『生者の行進』(みつちよ丸)という作品が好きです。これまで少年漫画ではあまり見なかった視点で性被害が描かれていると思うからです。これについては、また稿を改めたいと思います。

もしも性被害に遭ってしまった場合、警察庁では「#8103」という性犯罪被害の専門ダイヤルを設けています(全国共通)。警察にひとりで行くのは不安があるという人は、すべての都道府県に設置されている性被害者のためのワンストップ支援センターで同行支援を得られる場合があります。

また、警察に行く気になれないという場合でも、緊急避妊や感染症検査が必要な場合は必ず医療機関を受診してください。ただ、すべての医療機関が性被害者の対応に長けているわけではないので、これもワンストップ支援センターや、各地の犯罪被害者支援センターで相談するのがよいかと思います。


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