ウイルスより宇宙人を警戒していたトランプの意外な素顔(粉川哲夫)

2020.4.16

ウイルスよりも宇宙人を警戒していたトランプ

地球の終わりを予感する具体的な動きは、だいぶ前から始まっている。往復ひとり1億5000万ドルの月ツアーをぶち上げたスペース・アドベンチャーズのようなスタートアップは、ただの観光だけを考えてはいまい。ドナルド・トランプは2019年12月20日、「合衆国宇宙軍(USSF)」を創立した。

これは、ロナルド・レーガンの戦略防衛構想(SDI)、通称「スターウォーズ計画」の焼き直しを思わせるが、決定的に違うのは、レーガンのは、あくまでもソ連の核兵器を宇宙から迎撃するためのものであるのに対して、トランプのは宇宙人の攻撃をも射程に入れている点である。その意味では、トランプは迂闊にも、ウイルスという身近な「敵」よりも宇宙人のほうを警戒していたのである。

トランプは、レーガンのような映画的想像力よりもカジノやホテルの経営者、そしてプロレス・格闘技のプロモーターとしての投資家感覚で動く。Covid-19の危機は、彼にとっては感染者の死者数よりも株価にどう響くかが気がかりのようである。4月6日、このコロナ騒ぎの真っ只中で、彼は「月の鉱物資源の開発に関する米国の政策を確立するための執行命令」に調印した。またもや開発である。それも地球外(off-Earth)の資源である。この開発のプランの中には、月に設置した鏡から地球に強烈な太陽光を送り、エネルギー源にしようという案も含まれている。生体へのその影響は二の次らしい。

トランプ信奉者が唱えるCovid-19にまつわる疑惑

トランプの投資家的感覚は、感染者へのきめ細かな具体策よりも、ワクチンの開発や、経済を「イースターサンデー」(4月4日――もう終わっちゃった)までに上向かせるとか、一発屋的な感覚に走るので、感染者や医療現場からは批判が高まっている。が、その一発屋的感覚に惚れているトランプ信奉者のほうは、逆にコロナ危機自体がトランプを貶めるための陰謀だと考える。

トランプから「大統領自由勲章」をもらったラジオホストのラッシュ・リンボーなどは、主催する『NowThis』の放送で、Covid-19は感染者のうちの「2%の死亡率」しかなく、反トランプの中国と米国のフェイクメディアが企んだ陰謀だと熱弁を振るい、その映像がYouTubeに残されている。

Covid-19に関する疑惑を熱弁するラッシュ・リンボー

この危機を「世界改革」のチャンスと考える起業家たち

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粉川哲夫

(こがわ・てつお)メディア批評家、ラジオアートパフォーマー。著書に『メディアの臨界』『アキバと手の思考』(共にせりか書房)、『RADIO-ART』(UV Éditions, Paris)など。https://anarchy.translocal.jp/

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