昭恵夫人「花見」スクープの内幕と「パーナさん」(中川淳一郎)

2020.4.1
nakagawajunichiro

文=中川淳一郎 編集=谷地森 創


3月26日、自粛ムードのなか報じられた「安倍昭恵氏、花見自粛要請の中で私的「桜を見る会」していた」という記事が大きな話題となった。

このニュースを報じた『NEWSポストセブン』(小学館)で編集者を務め、記事の内幕も知る中川淳一郎さん。安倍首相擁護派、そしてNEWSファンからも多数寄せられた批判の声を読み解く。


非常識で自由すぎる行動

安倍晋三首相の妻・昭恵氏が桜の下で撮影した写真が3月26日に『NEWSポストセブン』で報じられ、以後「昭恵」の文字がネット上に多数書き込まれた。怒り、呆れの声、はたまたこの件を報じた同サイト、翌日国会で安倍首相を追及した 野党に対する批判も書き込まれた。
なお、この記事は3月30日売りの週刊ポストに掲載された「安倍昭恵夫人『森友疑惑渦中』に『桜を見る会』で芸能人とバカ騒ぎ」という記事の抜粋を先出ししたものである。

私も同サイトの編集者のひとりのため、今回は編集部に多数の声が寄せられたことも含めて感じたことを書いてみよう。今回の件については以下が問題だったと私は捉えている。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、自粛が相次いでいるなか、国の舵取りをしなくてはならない安倍首相に近い存在である妻が大勢(13人)の集まる会合へ行き、濃厚接触をするのは非常識である。率先して自粛をする立場であり、国民に規範を見せるべきだろうに……。首相にうつったらどうするんだよ……。また、昭恵氏は森友問題でも自由奔放すぎる迂闊(うかつ)な動きをした。

前週には近畿財務局職員が森友問題での文書改ざんを苦に自殺した際の遺書が公開されている。森友問題では昭恵氏の関与も取り沙汰されている。そんな時期に、昭恵氏は楽しいことをしている場合ではない。まずは自殺した職員へ追悼の言葉を出すべきだろう。
それなのに、よりによって「桜を見る会」を連想させる桜の前で笑顔で記念撮影をするとは……。なんでこの人はここまで自由奔放でバカなの? 

これにはさすがに安倍首相支持派でも昭恵氏を擁護し切れず「頼むから夫の足を引っ張らないでくれ。今は国難なんだよ!」といった気持ちを抱いたことだろう。

安倍首相支持派の苦しい擁護

27日に安倍首相は国会答弁で「都が自粛を求める公園のような場所での花見ではなく、プライベートなレストランの敷地の桜の前で撮影したもの」といった趣旨を述べた。

これに一部の「安倍親衛隊」とも言える人びとがネットで「我が意を得たり!」とばかりに、『NEWSポストセブン』をフェイクニュース扱いするなど意気軒昂となった。だが、我々は一切「公園で花見をした」などとは書いていない。「3月下旬の都内某所、ライトアップされた桜をバックに肩を寄せ合う13人。その中心に写っているのが昭恵夫人だ」としか書いていない。
この事実を知った人々がこれを問題視したからこそ、ここまでの話題となった。何らかの違反をしたとかそういうことではなく、感情的に許し難いと感じた人が多かったのである。

安倍親衛隊は「自粛勧告が出た場所じゃないから問題ないだろ!」「レストランで集まることさえダメなのかよ!」といった形の反論をしたが、そうではないのである。「首相夫人という立場の人間が今こんなことをやってる場合じゃないんだよ」ということだけだ。
もう苦しい擁護なのでおやめなさい。安倍首相を支持するのであれば、安倍首相の足を引っ張る昭恵氏にお灸を据えるぐらいのことをしたほうが国のためになるのでは。

意外な方向から押し寄せた批判


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Written by

中川淳一郎

(なかがわ・じゅんいちろう)ネットニュース編集者。1973年東京都出身。1997年博報堂入社、CC局(現PR戦略局)配属。2001年退社。以後無職、ライター、雑誌編集者などを経て現在はウェブメディア中心の編集者に。ひたすらネット上の珍騒動や事件を毎日テキストファイルに記録する生活を長年つづけている。

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