政治を考え、語り、参加する。“関わる”ということ以外に道はない
自由資本主義の無批判な遂行、その信仰による世界の歪み。
自然破壊、気象変動、温暖化――持続可能性(サステナブル)の声が高まって久しい。
しかしなぜ我々はそちらに舵を切れないのか?
今はなんとなく持続可能性を企業に委ねている状態だ。本来経済効率のためにのみ動く企業が、そのシステムを変えないままそんなことが可能なのだろうか?
我々人間はどんな未来に生きたいのか? どういう社会にしたいのか? どういう社会が理想なのか? そこから考えた新しいルール、システムの構築が必要ではないのか? 自由資本主義の不自由に気づき、立ち止まり、軌道修正する時が来た!?
ピケティはその再分配の方法としてまずは簡単に行えるのが、所得の累進課税だと述べている。それは金持ちが嫌う方法だ。
金持ちと政治家が利益を共有している限りその実現は不可能だ。だから政治家を定期的に入れ替える必要がある。権力を定期的に洗い流す必要がある。倫理と道徳のある真っ当な政治家を選ぶ。その重要性は増している。でき上がったシステムに抗うことを市民がやめるのは、既得権益を持った高層の地位にいる人たちにとって最も好都合なことなのだ。
これまでは戦争によって格差是正が起きてきた。もしかしたら今戦争を待望する人の中には、そういうことを望んでいる人もいるのかもしれない。しかし、そんな巨大な暴力によって膨大な犠牲を払うことをしなければ、俺たちは平等を勝ち取れないのか? いや頭を使えばもっと平和に格差を是正する方法があるのだ。政治を常に監視し、考えて、真っ当な政治家を選び、応援する。その地道な方法によって、戦争ではなく、社会の公平性を保つことは可能だ、と俺じゃなく専門家が言っているのだ。
公平性を保つメリットは何か? 格差の是正は権力の是正にもなるだろう。格差が小さい社会は既得権益の硬直化がされていないということだ。つまり権力の移動が可能であり、その濫用が抑えられるということだろう。権力がどこかに集中しなければ、その暴走も難しい。
権力の暴走ができないシステムが作られることが、最も民主的な社会を作ることにつながるのではないか。
社会の平等性、公平性は、安定した平和な社会に不可欠なのだ。そのためには真っ当な政治を作るしかない。つまりは俺ら有権者が政治を考え、語り、参加する。関わる。それ以外に道はないのだ。一部の既得権受益者だけが政治に関わっている限り、格差社会はつづくのである。
ご清聴、ありがとうございました。またどこかで。
映画『21世紀の資本』
2020年3月20日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
原題:Capital in the Twenty-First Century
監督:ジャスティン・ペンバートン
監修・原作・出演:トマ・ピケティ
製作:マシュー・メトカルフ 編集:サンディ・ボンパー
撮影:ダリル・ワード 音楽:ジャン=ブノワ・ダンケル
配給:アンプラグド