俳優・古舘寛治 日本はなぜ文化芸術にここまで無頓着になってしまったのか?

2020.3.11
クイックジャーナル_古舘寛治_top

文=古舘寛治 編集=森田真規


名バイプレーヤーとして映画やドラマに欠かせない、今もっとも引く手あまたな俳優と言っても過言ではない古舘寛治。そんな彼は、ツイッターなどで積極的に政治的な主張を発信していることでも知られている。

劇作家・演出家の野田秀樹氏が2020年3月1日に自身のホームページで発表した声明「意見書 公演中止で本当に良いのか」が批判されていることについて、文化芸術に関わる当事者として抱いた危機感とは――。

※本記事の内容は執筆時点(2020年3月8日)の情勢に基づいております。


野田秀樹の声明はなぜ批判されるのか?

やっぱり多種の社会問題について定期的に書くのは難しい。俺は俳優だ。毎回必死に書いているが専門的な知識のなさに困っている。そもそも何を期待されていたのか? ちょっとメールを遡って調べてみよう。

なるほど「カルチャーからニュースを読む」か。

ふむふむ、カルチャーからニュースを読めばいいのか。

カルチャーから……読む……むむむ、むずかしい……。

ちょっと文体を変えてみるか……柔らかくなるかどうか……。

さてさて、記事を書くたびになんだか世の中に次々と新たな不穏な事態が起こっているのはどうしたものかとも思うけど、今現在、世間の関心の中心は新型コロナウイルスだよね。その影響は甚大になってきている。報道を見ていて国の対策が後手後手だったことが大きいのではないかと思っている。厚労副大臣がツイートしたダイヤモンド・プリンセス号の中のゾーニングの写真にも本当なら「これが現実なのか? 夢でも見ているのか?」とあきれ果てるはずが、こういうのに慣れてきている自分がいることも末期的な状態だと思うよ。

しかし今回は国のリーダーシップがいかに社会全体を左右するかが皆に実感できる事態となっている。そこは今までと違う段階に社会が動いているのかもしれないね。特に台湾政府の迅速で正確な行動が報道され、比較されているけども、やはり政治の優劣は国民一人ひとりにとってとても大きいということを実感している。

日本ではその対応の遅さと不正確さによってか全国的に感染が広がるところまできちゃった。どう抑え込めばいいのかわからないなか、政府はイベントなどの中止を要請した。それに対して劇作家で演出家の野田秀樹氏が声明を出した。

「感染症の専門家と協議して考えられる対策を十全に施し、観客の理解を得ることを前提とした上で、予定される公演は実施されるべき」(「意見書 公演中止で本当に良いのか」)という内容だ。

それには賛同意見が演劇界を中心に出されていると同時に、批判にもさらされている。

正直俺にはどうするのがベストがわからない。相手は目に見えないし確実な対処法があるわけではない今、できるだけ人のいる場所を避けたい気持ちはある。なるべくウイルスに感染しない行動をしたい、と俺も思う。

しかし、その個人的な判断とは別に野田氏の発言が批判される文脈が気になるのだ。なぜこの声明が批判されるのか?

何がベストかわからないときは静観したほうがいい。下手に何か発言すると後々問題になったりもする。黙っていたほうがいい。安全だ。しかしだからといって考えることを放棄してはいけないよね。わからないことを考えて、問うてみることは大事だ。では問うてみる。

文化芸術というものがいかに重要なものか?という「問い」が成立してしまう日本社会

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古舘寛治

(ふるたち・かんじ)大阪府生まれ。舞台出身で、近年では数々の映画やTVドラマに出演し、名バイプレーヤーとして印象を強く残す。2016年には舞台 『高き彼物』で演出を手掛けた。近年の主な出演作に映画『淵に立つ』(16)、『海よりもまだ深く』(16)、『勝手にふるえてろ』(17)、『教誨師』(18)、ド..

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