好奇心を奪われる前に観たい、有事を描く映画3選(川田十夢)

2020.3.9

復活の日』(1980年)

復活の日

製作国:日本
ウイルス名:MM88(細菌兵器)
ウイルス発生源:アメリカ
ワクチン:生きたウイルスに強い放射能
潜伏期間:不明
被害者数:ほぼ全滅(生存者は863人うち女性は8人)
正常化までにかかった期間:不明
利用した配信サービス:Amazon プライム・ビデオ

スケールの大きさでは、日本だって負けていない。世界中の有名キャストが勢ぞろい、各国のイントネーションによる演技合戦がはじまって、それがまずおもしろい。チリ出身の役者は弾き語りまで披露している。日本のキャストも豪華、緒形拳、多岐川裕美、渡瀬恒彦など。主演は若き日の草刈正雄。英語がわりと堪能で、それがおそらく抜擢の理由となっている。やがて布施明と結婚して離婚するオリビア・ハッセーは、このときすでに薔薇よりも美しい。原作は小松左京、ここで調べたことが、やがて『日本沈没』へとつながってゆく。

ディスコで踊っていた女性が急に感染して服を脱ぎ出したりする謎のサービスショットがあったり、恋人を追って簡易ボートで南極を目指すシーンがあったり、863人の生存者のうち女性が8人しかいなくて好きでもない人と子どもを作らなくちゃいけない場面があったり。本当にめちゃくちゃ。80年代の大雑把だった社会通念が全編にわたりつつ、2020年3月現在、南極大陸だけはコロナウイルスが伝播していないところを見ると、大胆かつ正確な予測も内包している。あははと笑いながら、架空と現実の差分を切り分けて愉しむことができる人におすすめ。

文字数いっぱいで紹介し切れなかったが、『28日後…』はいかにもイギリスらしい風景とタイム感。フレームレートの寒暖差、詩的でエキセントリック。『アウトブレイク』はウイルスの派生と抗体の作り方、そして夫婦再生の可能性について同時に描いている。『ワールド・ウォーZ』はブラッド・ピットが終始いい表情。私見だが、ブラピが痛みに耐えながらも生き抜く姿勢を顔で見せているときは、大体いい映画。 有事になってから、深刻な顔で作られた映画にはないユーモアが、ここに紹介した作品群にはある。遊びがある。フィクションの中にある現実を持ち帰って、生き抜きましょう。息抜きもしましょう。


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