ヨネダ2000「最初はオリジナル曲でやってた」『M-1』決勝進出のカギは同期のアドバイス【大舞台で響かせたい】

ヨネダ2000

文・編集=梅山織愛 撮影=晴知花


神保町よしもと漫才劇場に所属するお笑い芸人に自身の“出囃子”について聞く連載「大舞台で響かせたい」。今回はヨネダ2000が登場。

ネタでもよく曲を使うヨネダ2000だが、普段聴く曲の好みは全然違うという。そんなふたりに出囃子だけでなく、『M-1グランプリ』でネタ中に歌っていたあの曲の選曲理由を聞いた。

ヨネダ2000
誠(まこと/1999年3月25日生まれ、東京都出身)と愛(あい/1996年9月19日生まれ、神奈川県出身)によるコンビ。トリオ時代や解散を経て、2020年4月にヨネダ2000として再結成。2022年には『女芸人No.1決定戦 THE W』で準優勝、『M-1グランプリ』で決勝進出を果たした。


ヨネダ2000の出囃子 Johnny and the Hurricanes「Red River Rock」

ヨネダ2000

──出囃子はどのように決められたんですか。

 私がいくつか候補を選曲して、その中でどれが一番我々っぽいかふたりで話し合って決めました。

──ほかにはどんな候補がありましたか。

 Y.M.O.(イエロー・マジック・オーケストラ)の曲とかだったと思います。歌詞がないやつがよくて。

──「Red River Rock」を選曲した理由は?

 子供のころから父親がよく車でハリケーンズの曲をかけていたので、いいなと思っていて。その中でこの曲は出囃子にいいかなと思い選びました

──愛さんはもともとこの曲を知っていましたか。

 知らなかったです。誠が案として持ってきてくれたときに初めて聴きました。最後に残った候補の中で、この曲が一番かわいらしかったのでいいなと。

──誠さんは普段からバンド曲とかを聴くことが多いんですか。

 そうですね。フジファブリック、THE BLUE HEARTS、ザ・クロマニヨンズ、THE HIGH-LOWSとか好きです。あとテクノも好きで、電気グルーヴとかY.M.O.とかも聴きます。兄と父がかなり音楽とお笑いが好きだったので、ふたりが好きなものを見聞きしてきました。お父さんは趣味で曲を作るくらい音楽が好きで。

──お父さんの曲を聴いたことは?

 一回、聴いたことがあるんですけど、めちゃくちゃaikoさんパクってました(笑)。

 バンド好きなのにそっちの路線なの(笑)?

 「少し背の高い人」が平気で出てきて、普通にダメだろって思いました。今でも実家に帰ると、曲を作ってることとかたまにあります。お父さんがギター、お母さんがキーボードやってたりとか。

──愛さんは普段、どんな音楽を聴くことが多いですか。

 最初に好きになったのがSMAPさんなんですけど、そこからずっと好きなので、ほかの方の曲も聴きますけど、やっぱり今でも一番聴いてると思います。

──好きになったきっかけは覚えていますか。

 2003年の『(NHK)紅白歌合戦』で「世界に一つだけの花」を歌っているのを観たときです。この曲の2番の歌い出しが香取(慎吾)さんなんですけど、そこです。その瞬間は、今でもはっきり覚えてます。

──特に好きな曲は?

 挙げ出したらキリがないんですけどね……。やっぱり「世界に一つだけの花」。ほかにも「前に!」「STAY」「TAKE OFF」とかも好きです。

実はふたりそろってシティガール

ヨネダ2000

──音楽に関しては正反対の好みなんですね。

 音楽だけじゃなくて、それ以外のこともあんまり好きなモノが合うことはないですね。趣味とか服とか、あと映画とかも好きなジャンルは全然違います。

 確かにそういう部分では全然合わないので、楽屋でも好きなものについての話はまったくしないですね。

──ふたりでいるときはどんな話をしていることが多いですか。

 なんだろう(笑)。でも、普通だと思いますよ。日常的なこととか、あんまり意味のある話はしてないですね。

 基本的に自分が愛さんに話しかけてる感じで、愛さんは対応というか……。

 うるさいって思うときもありますけど。

 あまのじゃくなんで、嫌な顔をしててもしつこく話しかけちゃうんですよ。でも揉めるのは嫌いなので、怒られそうになったらやめるっていう感じでギリを攻めてます(笑)。

 やめれてないですけどね。

ヨネダ2000

──なかなかおふたりのオフの姿って想像がつかないんですけど、なんとなくイメージできました(笑)。

 本当ですか? けっこう素の部分も出してるつもりなんですけどね。でも、バラエティとかだとすぐ変なボケをしてしまうので、何を言っても嘘だと思われちゃうんですよ。わりと全部本当のことをしゃべってるんですけどね(笑)。

──確かに、バラエティでは常にボケてるイメージあります(笑)。

 自分の私生活にみんな興味あるのかな?って思っちゃうんですよ。だったらお仕事というか、ボケたほうがいいんじゃないかなって。でも、その影響でけっこう勘違いもされてます。「トガってるよね」とかよく言われるし、なぜか大阪よしもと所属だと思われてることも多いです。

 「大阪よしもとでしょ」は先輩とかにもめっちゃ言われます。最初、他事務だと思われて、そのあとよしもとなんだってわかると、じゃあ大阪なんだってなぜか思われて。関西弁でもないのにね。

 東京(誠)と神奈川(愛)出身なので、めちゃくちゃ関東なんですけどね。

──大阪感はわからないですが、東京と神奈川出身なのはちょっと意外な感じがします。

 実はシティガールなんですよ。でも、ニューヨークさんにも、っぽくないから今のうちにプロフィールを秋田(誠)、15歳までハワイにいた(愛)って変えたほうがいいよって言われました(笑)。

 いつか本当に変えてるかもしれないです(笑)。

 自分は東京出身なんですけど、渋谷とか新宿では遊んでこなかったんですよ。砧公園っていうデカ公園にひとりで行ってザリガニに話しかけるとかよくしてました。話しかけるっていっても、ガッツリじゃないですよ。「ザリガニ今日はいないんだね」とか(笑)。

 それも珍しいけどね(笑)。

 (笑)。だから東京のことはあんまり知らなかったですね。NSCのときに、田舎から出てきた同期に「新宿にゴジラがいる」とか教えてもらってました。それまで知らなかったんで。


カラオケでのハモリをきっかけに

ヨネダ2000

──おふたりのネタでは曲を使っていることが多い気がするのですが、ネタで曲を使用するときはどのように選んでいるんですか。

 コント中にBGM的な感じで流すものはだいたい誠が決めてますけど、それ以外は、どうしてるんだろう?

 決めるというか、一昨年の『M-1グランプリ』で使ったDef Techの「My Way」とかはカラオケで歌ってるときに、いいじゃん!みたいになった感じです。

 私が「My Way」好きで、誠も知ってるっていうから一緒に歌おうと思ったんですけど、いざ、歌い出したらなんかハモってきて(笑)。下なの?って。

 いや、上なの?って(笑)。

 でもいい感じだったので、ハモリを極めていこうってなりました(笑)。

──そんな経緯からあのネタができたんですね。昨年の『M-1』では、DA PUMPさんの「if…」を使用していましたが、この曲はどういう経緯だったんですか? 「My Way」もですが、おふたりの世代の曲ではないかなと思うんですが……。

 確かに「if…」は聴いたことあったけど、もともとDA PUMPさんの曲っていうのは知らなかったです。最初、あの部分は全然違うオリジナル曲でやってたんですよ。だけど、同期にネタを見てもらったときに「既存の曲のほうがいいんじゃない?」って言われて。じゃあ何が合うかなってなったときに、元からKENZOさんは出てきてたので「DA PUMPさんは?」ってアドバイスをもらって変えました。

──ちなみにオリジナル曲はどんな曲だったんですか。

 「♪桜散る 春の思い出 思い出す あなたのことを~」っていう歌詞の曲です(笑)。

 1フレーズだけの曲だったんですけど、同期に「なんでオリジナルソングでやってるの」って言われて。

 2回戦の前日だったんで当日の朝練で覚えてって感じだったんですけど、そこから順調にネタが改善されていったので同期には感謝してます。あれがなかったら、決勝に行けてたかわかんないです。

 いつか同期そろって決勝に行きたいですね。

 毎月、同期で『JORDAN』っていう新ネタライブやってるんですけど、『M-1』の決勝で「これ『JORDAN』じゃないか!」ってなるのが理想です。

憧れのせり上がり三八でできなかったネタ

ヨネダ2000

──6月には初めてなんばグランド花月とルミネtheよしもとで単独ライブを開催されますが、決まったときの心境はいかがでしたか。(会場チケットは両日共に完売)

 ちょうどNGKの夜出番があった日に開催が決まったらしくて、楽屋にいたら「開催できることになりました!」ってなって。偉い方とかもいらっしゃったので、「絶対いい公演にします!」とか言って、そのままネタ出番に向かったんですけど、めちゃくちゃスベって……(笑)。

 ビックリしたね。ここで単独できるんだ!って思って、めちゃくちゃ気合い入れて行ったのにね。

 なしになるんじゃないかと思いました(笑)。でも、今はいいものができそうなので楽しみです。ヨネダ2000にNGK、ルミネやらせてよかったなって思ってもらえるようにやりたいです。

──準備は進んでますか。(取材は5月中旬に実施)

 それはちょっと聞かないでください(笑)。でも、我々の単独はネタネタネタって感じより、パーティのような感じにしたいって思ってるので。ちょっとまだネタのことは……(笑)。

愛 なんとなくの流れは見えてるからね(笑)。

 もうすぐもんじゃです。今、土手から作ってるので。

 なんで、もんじゃ? もんじゃってあんまり完成って感じしないじゃん(笑)。

 いや、もうすぐもんじゃです。今、注ぎ込もうとしてるところです。

──順調ということですね(笑)。

 とにかく我々のわがままが多いので、マネージャーさんや劇場スタッフの方を困らせてる事実はあります(笑)。でも、皆さん本当に優しくて、なんとかかたちにできるよう一緒にがんばってくださってます。

──まわりが困るリクエストとは?

誠 普段のNGK出番では三八(マイク)のせり上がりを使えないんですけど、単独では使えるってなったので「三八の先端にソフトクリームをつけてペロって舐めるだけのネタをやりたいです」って言ったら、さすがにそれはダメでした(笑)。

 上げ下げするとかだったらいいけど、さすがに何かつけるのは歴史に傷がつくからって言われました。

 めっちゃおもしろいと思ったんですけどね。登場してソフトクリームを舐めて帰るだけのネタ。

 誠は「ダメです」って言われたのに、「絵とかもダメですか?」とかめっちゃ言うんですよ。ダメに決まってるのに。

誠 まあ、これはいつかできたらね。お金に余裕ができたら、自分たちでせり上がり三八を作って、若手の子でもペロペロってするだけのネタができるようにしてあげたいです(笑)。

──それこそ神保町に作れたらいいですね。

 確かに! 神保町にあったらいいですよね。

 そしたら人が出てくるやつとかも欲しいよ。アイドルの子とかがライブでやってるみたいに下からパーーンって飛び出すやつとか。

支配人 できたらかっこいいですけど、2000万とかでも足りないと思います(笑)。

 そうですよね~。じゃあなしで(笑)。でも、お世話になってる劇場なのでそれぐらいの恩返しはしたいですね。テレビとか新しいお仕事いただけるのも、もちろんうれしいし、楽しいんですけど、やっぱり劇場でお客さんの前でネタをやってるときが一番楽しいですから。

──夢が広がりますね。

誠 まだ若いんで、結局なんでもやっちゃえるんじゃないかなって思ってます。死ぬまで猶予はあるので。

 せり上がりでソフトクリーム舐めるのも、死ぬまでにできればいいね。


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    神保町よしもと漫才劇場
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    オンラインチケット:1,200円(税込)
    2023年6月8日(木)配信開始19:00/配信終了20:00
    ※見逃し視聴は6月10日(土)19:00まで
    ※販売は6月10日(土)12:00まで

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梅山織愛

(うめやま・おりちか)1997年生まれ。珍しい名前ってよく言われます。編集者・ライター。自他共に認めるミーハーなので、いろいろハマりますが、アイドル、お笑いが特に好きです。あと、チョコレートも詳しいです。

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