佐久間宣行、パンサー向井、ぺこぱ──2022年印象に残ったラジオを奥森皐月と振り返る

2023.3.26


『爆笑問題カーボーイ』の温かさ、『三四郎ANN0』で感じる歴史

──今年も賞レース関連で月間賞に輝いた番組だと、やっぱり『爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)ウエストランドさんの『M-1グランプリ2022』優勝報告回ですね。

奥森 太田(光)さんがあんなにうれしそうに話すの、珍しいですよね。ゲストのウエストランドさんがブースに入る前のトークがすごくよくて。

爆笑問題のおふたりは番組収録中だったから決勝を観られなくて、フワちゃんがスマホで結果を見て教えてくれたときのこととか、まわりの人たちが一緒になって喜んでくれたこととかを話す太田さんが素敵で。喜びに満ちあふれた放送回だったと思います。

奥森皐月

──普段の傍若無人な振る舞いとのギャップがあって。

奥森 そうなんですよね(笑)。あと、賞レース明けで注目されるラジオといえば、出場した本人がパーソナリティを務めるラジオですけど、『カーボーイ』は違いますからね。

タイタンという事務所だからこそ、太田さんだからこそ自分のことのように喜んでくれる。ウエストランドさんとの関係性もあってこそだと思いますけど。

──その関係性が感じられる様子も含めて、温かみを感じる放送回でした。

奥森 パーソナリティの思いをリスナーと共有するかたちもいいですけど、爆笑問題さんとウエストランドさんが一緒に喜んで、リスナーはその様子も含めて改めて喜べる感じが、本当によかったですね。

──ちなみに、『三四郎ANN0』は2022年の月間賞にふたつ選ばれていました。

奥森 小宮さんの結婚報告と、もうひとつは……相田(周二)さんの家からの生放送? またこれも……すごく失礼ですけど、よく入りましたね(笑)。絶妙に全員がくつろいでしまっている感じの回。

──いつもどおりといえばいつもどおりですが。

奥森 相田さんの家からの放送となると、なんか三四郎のおふたりの同級生感が増しますね。やっぱりブースでの収録や生放送はスイッチが入るところがあると思うんですけど、家からの放送となると気が抜けるんですかね。

──ブース以外の場所からの放送自体、そもそも深夜番組では珍しいことですから。

奥森 いろんな番組でやってほしいですけどね。星野源さんがコロナ禍が始まったころにご自宅から放送されていたことがありましたけど、あれはロケというか緊急事態感がありましたから、ちょっと違う。

──相田さんのご自宅からの放送は、お引っ越しのタイミングで。

奥森 考えてみたら、『三四郎ANN0』が始まったころはまだご実家で暮らされていましたよね?

──番組開始当初は、小宮さんもまだご実家だったか、その近くでひとり暮らしを始められたとか、そういう時期でしたね。

奥森皐月

奥森 今や小宮さんはご結婚されて。そう考えると、番組の歴史を感じる……。『空気階段の踊り場』(TBSラジオ)は空気階段のおふたりの人生を感じられるとよく言われますけど、『三四郎ANN0』もよくよく考えてみれば人生を感じますよね。

最初のころの相田さんなんて、なんもしてないとか言っていて。実家にいて暇過ぎて、みたいな。そこから売れていって、引っ越して、引っ越し先もいい家になっていって……。

ラジオ自体の雰囲気やクオリティはそこまで大きく変わってはいませんけど、本人たちのレベルやランクは着実に上がりつづけているから、ライフステージの変化は感じられる番組ですよね。

──ライフイベントの発表として、今年はプラネット賞・話題賞の1位に輝いたのが『ぺこぱのオールナイトニッポン0(ZERO)』で松陰寺(松井)さんが第一子誕生をご報告された回でした。

『ぺこぱのオールナイトニッポン0(ZERO)』プラネット賞2022話題賞受賞記念イラスト(サンノ(Sanno Creations))

奥森 あの回もよかったですね。シュウペイさんが号泣されて……いい人なんでしょうけど、シュウペイさんってなんだか変わった人ですよね。不思議な人というか。私、まだイマイチ、シュウペイさんのキャラクターが掴めていなくて。

──天然、という括りもちょっと違いますよね。

奥森 すごく素直で、しっかりした、まじめな人なんですよね。そんなシュウペイさんの様子を、松陰寺さんが「盛り上がりに欠けるんじゃないか」って心配するっていう(笑)。子供の名前をメールで決めるとかいえば、「そんなのやっちゃダメだよ!」とシュウペイさんがまじめに怒って。

──その様子が逆におもしろくなるという。

奥森 そうなんですよ。結果的にめちゃくちゃおもしろい状態になる。そもそもライフイベントを発表する放送回って、ある程度フリートークをしたあととか、番組終盤とかに発表することが多いと思うんですけど、『ぺこぱANN0』は番組冒頭に発表したんですよね。

──あまりないパターンかもしれません。

奥森 それがあの番組にとってはいい方向に作用した感じがあるというか。シュウペイさんが、まだ松陰寺さんのお子さんに会ってもいないのに、情が湧いてしまうんですよね。

それで愛と熱が強くなり過ぎてしまっている様子が、いき過ぎているというか。異常なほどではあるんですけど、おもしろがって聴けるくらいではあるのが、「やばい」という言葉では片づけられない魅力がありますね。ちゃんと笑いに昇華される感じが。

──あんばいが難しいところですからね。

奥森 笑えるラインって難しいですよね。今年もラジオでのライフイベントの発表はいくつかありましたけど、振り返ってみるとその中でも『ぺこぱANN0』が一番おもしろかったと思います。ぺこぱのおふたりだからこそ成立した、ライフイベント発表放送としてのおもしろさがありました。今月で番組は終わってしまうわけですけど……。

──残念ですが、終わる番組にプラネット賞のトロフィーが届きます。2023年も、どんな奇跡のラジオ放送回に出会えるのか、楽しみですね。

奥森 今年はニッポン放送で『オールナイトニッポン55周年記念 オールナイトニッポン55時間スペシャル』があって、TBSラジオは『JUNK20周年特番』があって、現時点で大盛り上がりですからね。

もうすでに今年も、どのラジオ番組、放送回が選ばれるのかまったく予想がつきませんが、それくらい魅力的なラジオがたくさんあって、幸せだなと思います!


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鈴木 梢

(すずき・こずえ)1989年、千葉県市川市生まれ。出版社や編集プロダクション勤務を経て2019年からフリーランスに。主に日本のエンタメ/カルチャー分野の企画・執筆・編集を行う。もちもちしたものが好き。

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