『R-1グランプリ2022』で準優勝に輝き、一躍有名になったZAZY。
テレビ出演も増大し仕事の幅が広まる一方で、彼は静かに葛藤していた。
とあるジレンマを抱えながら、今度ZAZYはどう活動していくのか。
ZAZY（ざずぃー）
1988年6月27日生まれ、大阪府出身。NSC大阪33期生のピン芸人。
『R-1』が終わった今、一番羽を伸ばせている
──今年3月の『R-1グランプリ2022』でラストイヤーを終えてから、変化はありますか？
ZAZY ネタの自由度が増した感がありますね。賞レースって、やっぱりみんなに笑ってもらわないといけないじゃないですか。もちろん自分の好きなことはやってたんですけど、ある程度加点方式があるし、そういう賞レース向きの制約がなくなってすごく楽しいですね。単独ライブでいうと、ZAZY好きの皆さんを喜ばせるだけでいいから、今一番、羽を伸ばせています。文字どおり（笑）。
──12月26日に開催されるライブ『大祭鳥』は“大単独”と銘を打っていますが、“単独”との違いはなんでしょう？
ZAZY 気合いですね。もちろん今までの単独も気合いありましたけど、今まで以上に。最近テレビに出させてもらったりで環境も変わって、僕の中で転機だったんで、ここらでいっちょ、ライブも気合い入れたものを。
それと、こんなにネタを作らなかった期間が初めてなんですよね。テレビで“初出し”としてやらせてもらってるネタも過去ネタをリメイクしたものですし、ここ半年ぐらい新ネタ下ろせてないんです。単純にテレビのお仕事が増えてあんまり時間なかったのもありますし、意欲はあるけど、必要性がないからどうしてもサボっちゃうというか……。そういう意味でも、ちょっと気合いを入れようと。
──賞レースの戦いを終えたあと、劇場を中心にされたり、テレビに力を入れたり、どこを拠点にするかは人それぞれですよね。ZAZYさんは、今後どこを軸に活動していきたいですか？
ZAZY とりあえず、ZAZYがブレないようにZAZYを続けていければ、場所はどこでもいいです。でも、変なことをしても「好き～！」ってなってくれるから、ライブのほうが楽しいは楽しいですね。
──ブレそうになったことはあるんですか？
ZAZY それこそ、『R-1』でずっと決勝に行けなかったときは「これでいいんかな……」って。それと、パンのネタ（絹江お婆ちゃん）でちょっと世に出たとき、テレビでもライブでもリズムネタを求められたんですよ。リズムネタ以外を提案してもなかなか通らなくて、そのときは「うおぉ……」って思いましたけど、スタッフさんの意向も、視聴者が「リズムネタを観たい」ってなってるのもわかるし。
──代表ネタが、悩みの種にもなっていたんですね。
ZAZY でも、結果よかったことしかないです。パンである程度は知ってもらえましたし、逆にあのとき「自由にやっていいですよ」って言われてたら、今の僕はないと思いますから。
ネタをエンタメとして楽しめない
──ここ1年でさらに多忙を極めていますが、どれくらいの割合で仕事のことを考えていますか？
ZAZY 家で（お見送り芸人）しんいちさんのドッキリを観てるときも含めます？
──プライベートな気持ちで観ているかによりますよね。
ZAZY これって、プライベートなのかなんなのかわかんないんですよね。ドッキリ系はまだ仕事のスイッチを入れずに観れるんですけど、ネタだけは無理なんですよ。「ここでこう振った」とか「うわ、これ先にやられた」とか、そういう目線が入っちゃうんです。だから、同居人がご飯食べながら『M-1（グランプリ）』の3回戦を観てて、頭おかしいんちゃうかと（笑）。みんな普通に笑って観てるから、それがうらやましいんです。僕はもう、ネタをエンタメとして楽しめないんですよね。
──舞台袖で別の芸人さんのネタを観る方もいますが、ZAZYさんはどうですか？
ZAZY 観るときもあるんですけど、「どういう技使ってんやろ？」とか……完全に調査です（笑）。芸人やる前はおもろいボケとか見てめちゃくちゃ笑ってたんですけど、最近は悔しさとかが勝って笑えないんですよ。本当に職業病です。こんなこといったらあれですけど、『M-1』の決勝とかも、全然笑って見てないかもしれないです。
──そんな中でも、これは笑わされた！というのはありますか？
ZAZY 『伝説の一日』のダウンタウンさんの漫才は、久々にワクワクしながら単純にエンタメとして楽しめた気がします。あとは、くだらないのは笑っちゃいますね。
──たとえば？
ZAZY 最近でいうと、ムラムラタムラで大爆笑しました。あと、ずっと「チョフチョフ」言ってるだけのバチョフって芸人とか。それと、営業でムーディ勝山さんとご一緒させてもらったときですね。8分尺ぐらいの「右から来たものを左へ受け流すの歌」を聞いたときに、途中からめちゃくちゃおもろくなってきて……何回も転調とかするんですよ（笑）。
──バラエティ番組はどうでしょう？
ZAZY 作り込まれたのは悔しい目線で見ちゃうんで、笑えるのは『水曜日のダウンタウン』（TBS）のドッキリ企画とか、『相席食堂』（朝日放送）のハプニングとか、アクシデント系になっちゃいますね。
──ちなみに、必ずチェックしてる番組は？
ZAZY ご飯系は全部観てるかもしれないです。ご飯見て「おいしそう～」って思いながらご飯食べるのが好きなんですよ（笑）。芸人の大食い企画とかじゃなくて、『満点☆青空レストラン』（日本テレビ）とか、『バナナマンのせっかくグルメ！！』（TBS）、『ベスコングルメ』（TBS）とかの、ザ・グルメ番組です。『人生最高レストラン』（TBS）は、申し訳ないですけど、ゲストの生い立ちとか飛ばして店だけ観てます。
──珍しい観方です（笑）。出演したい番組はありますか？
ZAZY そのへんの飯系は全部出たいです。あと、僕はずっとZAZYだから、コントやってみたいと思ってます。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで！』（日本テレビ）の「七変化」に出たいですね。7つおもしろいことを考えたら、最後は下ネタに行くのかな？とか、自分がどうなるかも気になるし、どれぐらい通用するのか知りたいです。今は、緊張感のある現場に行きたいですね。まだ出させてもらったことのない『人志松本のすべらない話』（フジテレビ）とかも。そういう意味でも『M-1』の決勝は出てみたいんですけど、優勝を目指している人に対して失礼な話でもありますし……まあ、ないと思うんですけど。
──わからないですよ。
ZAZY いい相方がいればね。
──もう、しんいちさんとは組まないですか？
ZAZY ないです、ないです（笑）。
──今一番尊敬してる芸人さんはどなたですか？
ZAZY 今一番って言われたら難しいですね。ダウンタウンさんかな……？ あ、ここ1年しんいちさんと一緒に仕事してて、すごいなと思いました。あの人、とりあえず目立つことが最優先で、おもしろいと思われるのをそんなに大事と思ってないというか（笑）。僕は多少、ウケたいとかスベりたくないとか考えちゃって、思いついてもパッと言えないことがあるんですよ。でも、あの人は思いついたらすぐ言えるし、スベったらスベったで「なんなんすか！」とか言えて、そういうところは尊敬……いや、尊敬ではないかもしれない。自分にはないからすごいなって思います。
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