落ち込みやすい盛山は、クールなリリーに助けられる。天下を目指す見取り図の足並み【魅惑の相方 ANSWER vol.5】

文・編集=佐々木 笑 撮影=TOWA


お笑いコンビに、相方の魅力を語ってもらう連載「魅惑の相方」。 

先手のリリーは、ひょうひょうと取材を受けるように見えつつ、相方・盛山を完璧主義者だと冷静に分析した。

性格もビジュアルも真逆なのは確かなようだが、盛山に答え合わせをしていくと、コンビとしての大事な足並みはしっかりとそろっているようだ。

「天下を取りたい」という目標を掲げて奮励する見取り図は、今後どう進んでいくのか。


リリーの「ひとりが好き」は、100%カッコつけ?

──リリーさんが思う盛山さんの愛されポイントは、寂しがり屋な部分にあるとのことでした。フレンドリーというか、人が好きというか、寂しがり屋なだけ、と。

盛山 それは合ってるかもしれないけど……なんか嫌な言い方してますねぇ?(笑) 確かに、昔から人見知りはしないです。小2くらいのとき、知らんおっさんの車とか乗ってましたから。

──え?

盛山 「知らない人に声かけられても着いて行ったらダメ」ってよく言われてるけど、知らんおっさんに「乗るか?」って言われて「おっちゃん、ええの!?」って、4、50分いろんなところに連れてってもらってましたね。だから、そのときからそういう性格かもしれないです。

──誘拐じゃないですか……。

盛山 合意の上なんで(笑)。僕、ひとりっ子の鍵っ子だったんで、寂しがり屋はそこからきてるかもしれないですね。で、そんなん言うてるあいつはあいつで、ひとりが好きって言ってるでしょ? あれはね、100%カッコつけてます。“ひとりで楽しんでる俺”をアピールしたがってますね。ホンマは人とおるの好きなのに、『スラムダンク』の流川(楓)的なキャラをカッコいいと思ってるのかもしれないですね。

見取り図盛山
盛山晋太郎(もりやま・しんたろう)。36歳。寂しがり屋なひとりっ子

──そうだったんですね?(笑)  盛山さんのビジュアルと性格のギャップも魅力のひとつに挙がりました。

盛山 ただ、損もめっちゃ多いですけどね。怖い見た目で勘違いされたままとかもあるし、初めましてで遊びに誘ってもらうことはほとんどないです。今でも覚えてるのが、NSCを卒業するときに、先生から「お前は皆が45度で挨拶するところを、90度で折りたたむぐらいしなさい」って言われました。

──90度……。イカついビジュアルに反して涙もろいところも魅力的なギャップです。10年ほど前に同期芸人でライブをした際、初めて会った人たちとの別れ際に号泣していた話をリリーさんからお聞きしました。

盛山 あぁ~、ありました(笑)。 この間の『アメトーーク!』(テレビ朝日)「見取り図同期芸人」でその動画を探し回ったんですけど、結局見つからなかったんです。僕、その動画の中で、「このメンバーで『アメトーーク!』出たぁ~い!」 って泣きながら言ってたのを覚えてるんですよ。

──すごい、夢が叶っているじゃないですか! その動画にいたメンバーはどなただったんですか?

盛山 あの放送にはひと組もいないんですよね。御茶ノ水男子、ガスマスクガール、コマンダンテ、キューティーブロンズ……解散したコンビもいますけど、今もみんなどこかで多岐にわたって頑張ってると思います。

見取り図盛山
かわいい笑顔も、魅力的なギャップのひとつ

スベった回数は1兆を超えた

──リリーさんは、盛山さんは後輩よりも先輩付き合いのほうが向いてると思うと仰っていました。

盛山 えぇ? それはなんでですかね?

──上下関係も礼儀もしっかりしているし、いい意味で隙もあるし、「俺が先輩だったらかわいいと思う」と。

盛山 おぉ~、キモいっすねぇ(笑)。東京来てからは、後輩よりも先輩と飯行ってますね。千鳥の大悟さん、小籔(千豊)さん、アインシュタイン河井(ゆずる)さんとか、大阪の人が多いですね。 木村拓哉さんがゲストで来た『ノブナカなんなん?』(テレビ朝日)の収録終わりに、千鳥のノブさんの家に行かせてもらったこともありました。その日はずっとふたりで、キムタクのラジオ聴きながら「俺ら今日、この人と仕事したんやな……(ハイボール、ゴクッ)」って飲んでましたね。どんな飲み方や(笑)。

──今、ご自身のポジションなども考えた上で、特に勉強になっているのはどなたですか?

盛山 もちろん皆さんですけど、ノブさん、(麒麟)川島(明)さんは番組で一緒になるのでめちゃくちゃ勉強させてもらってますね。『ラヴィット!』(TBS)の川島さんみたいな立ち回りなんて僕は絶対できないですけど、絶対に腐さない、スベらせない感じがホンマにスゴいなって……そういう先輩になりたいですね。愛がすごいですよ、愛が。尊敬する先輩方はもれなく愛がすごくて、吉本でよかったなと本当に思います。

──リリーさんは、盛山さんはお笑いに関して完璧主義だと思うと。

盛山 完璧主義なんやったら、スベり過ぎです(笑)。自信ないから数打ってるだけというか、ギャーギャー言ってるのが好きなだけで。全打席ホームラン打ちたいですけど、そんなの不可能じゃないですか。言えば言うほどスベるし、スベった回数は1兆を超えました。

見取り図盛山
盛山「1兆個目のスベリは『ラヴィット!』でした」

──盛山さんは落ち込みやすい性格とのことですが、それも完璧主義ゆえなのかなと。

盛山 僕は落ち込みますね。自分でもどうしたらいいかわかんないです。落ち込んだら寝るか酒飲むかしかないんですけど、それって回復してるというよりいったん蓋してるだけで、目覚めたらまた思い出しますし、回復しないのが厄介なんですよねぇ……。

──どんなことで落ち込みやすいですか?

盛山 「何々ってイジられたな」とか「すぐに正しいたとえ出てこなかったな」とか、昔から気にしてまいます。マジメってわけじゃないんすけどね……。

──落ち込んだとき、リリーさんに相談はしますか?

盛山 相談というか、同じ空間にいるときにずっと言ってます。ただ、この間「こうすればよかった~」とか楽屋でいろいろ言ってて、パッとあいつのほうを見たら、カバン持って楽屋から出て行っててむっちゃ恥ずかしかったです。あいつからしたら、「また落ち込んでるわ、なんか言うてるわ~」って感じなんだと思います(笑)。

見取り図盛山
リリー帰宅後、「あくまで独り言ですよ~」の感じでそのまま言い続けたとのこと

生粋の大阪っ子が関西弁を自制する理由

──盛山さんの瞬発力のあるツッコミやボケなどのお笑い力についてお話ししていた際に、「努力では到達できない、生まれながらのものがある」と仰っていました。いわゆる“努力と才能”みたいなお話だと思うのですが。

盛山 なんやねん、アスリートみたいに(笑)。才能なんてないですよ。それはちょっと、よく言い過ぎです。マジでただのクラスの調子乗りだったんでね。

──生粋のお笑い芸人のような。

盛山 いやいや、カッコよ過ぎます。人を笑かすのは好きでしたけど、生粋の調子乗り、生粋の大阪の子です(笑)。そういう人って大体は“地元のおもろい奴”止まりですけど、勘違いしてこの業界入って、ここまで続けられてるのはホンマにありがたいですね。

──生粋の大阪っ子とのことですが、リリーさんから見ると、上京後に盛山さんのしゃべり方が若干変わっているとのことでした。これは無意識で?

盛山 大阪の現場って99%が大阪の人なんですけど、東京って、タレントさん、モデルさん、俳優さんとかいろんな人がいるじゃないですか。僕は関西弁が特に濃いんで、自制してるかもしれないですね。 怖いって勘違いされてしまうのが嫌で。それでいうと、リリーもめっちゃ変わってますよ?

──そうなんですか? リリーさんはもともと大阪の人間ではないから変わってないと仰っていましたが……。

盛山 めっちゃ変わってます。「~~だ」とかめっちゃ言ってます。でも、「~~だ」ってさんまさんとかもよく言いますよね。だから、標準語っていうよりも関西のニュアンスですね。でも、関西弁を使い過ぎると、テロップでめっちゃ標準語に直されるじゃないですか。あれを見てたら、関西弁ってキツ過ぎたら殺されてまうんやって思いますね。そんなあかんのやって。

見取り図盛山
テレビのテロップで「しばき回すぞ、アホンダラ」が「殴るぞ、バカ」になっていたことが決め手

上京後の気づき「俺ってこんなに大阪好きやったんや」

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佐々木 笑

(ささき・えみ)1996年生まれ。宝島社ムック局編集部のち、フリーランスの編集者・ライター。笑と書いてエミ読みます。本名通りお笑い大好き人間に育ちました。『フワちゃん完全攻略本』『#麒麟川島のタグ大喜利』『KOUGU維新 公式本で、イザ参ラン!』(すべて宝島社)など。アイコンは川島さんに描いていただ..

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