石井玄×小御門優一郎 対談『あの夜を覚えてる』はこれで終わるのか?振り返りと後日談【前編】

2022.8.1


総合演出・佐久間宣行は「みんなの精神安定剤」

──『あの夜』には総合演出として佐久間さんが参加されていましたが、どんな関わり方をされていたのでしょうか?

石井 企画や脚本を作る最初のほうの過程で意見をいただいて、稽古も見に来ていただきました。現場がなんとなく不穏な空気になっても、佐久間さんが何も言わないから大丈夫だろうみたいなところがあって。みんなの精神安定剤のような存在だったと思います。

もちろん何か気になったときはアドバイスをくれましたし、最終的に上演中は視聴者になってうしろで「おもしろい」ってずっと言ってくれていて。そういうところも含め、精神安定剤でした。

小御門優一郎

小御門 最後のシーンで視聴者の方々から実際に届いたメールを読み上げましたが、そのるシステムが生まれるきっかけになったのは佐久間さんの言葉でした。現場的にリスナー役を入れるのが難しいこともあり、元々のプロットはラジオの作り手側の話に終始してしまっていたんです。でもそれを読んだ佐久間さんが「観ている側に疎外感が生まれてしまう」と強く言っていたんですね。

結果、みんなからのメールを終盤で物語に介入させることで、リスナーの存在感も担保できるだろうって認識になったんですよね。僕は何かを大きく変えるのがつい怖くなってしまうんですけど、佐久間さんは出すアイデアも変え方も大胆だった印象があります。

石井 カメラアングルの話だと、ラジオスタッフ側の人間からするとサブ(ブースの外)側から撮る目線が多くなるけど、「ミクチャだと普段こっちからも撮ってるから」と中からも撮るようにと、リスナー目線に立った意見をくれて。

あとは最後にメールを読むシーンも、演者のみんなが泣いてる様子も撮ったほうがいいとか。思いついたことを大胆に言えるのはテレビプロデューサーだからこそなのかなと思った。佐久間さんがいてくれたからよくなったことは多かったよね。

小御門 そうですね。佐久間さんに大胆なご意見をいただいたからこそ成立したんだろうなと思う場面は多々ありましたね。

石井 なにせ、佐久間さんは“船長”の器ですから。忙しい中で時間を作って現場に来て、人を動かして仕事が回っていくところに、器の大きさを感じたよね。

つづいていく『あの夜』

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鈴木 梢

(すずき・こずえ)1989年、千葉県市川市生まれ。出版社や編集プロダクション勤務を経て2019年からフリーランスに。主に日本のエンタメ/カルチャー分野の企画・執筆・編集を行う。もちもちしたものが好き。

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