『ゴッドタン』(テレビ東京)や『トークサバイバー!』(Netflix)など、お笑いをフックに数々のヒットコンテンツを手がけ、劇団ひとりやおぎやはぎ、東京03などをフックアップしたことでも知られるテレビプロデューサーの佐久間宣行。
佐久間が注目した人やコンテンツがヒットする現象も珍しくはなくなってきたが、ここ数年彼に注目されながらも、今一歩現状の活躍に満足できていない人がいる。コントユニット・テニスコートの神谷圭介だ。
2002年、武蔵野美術大学在学中に吉田正幸、小出圭祐と共にテニスコートを結成した神谷。現在では小劇場だけでなく誌面やテレビまで活躍の場を広げ、俳優としての活動はもちろんのこと、テレビドラマなどの演出・脚本を手がけ、最近では「画餅(えもち)」というソロプロジェクトを立ち上げるなど、マルチに活躍している。
今回は、同じくコントユニットを主宰する蓮見翔(ダウ90000)も迎え、3人で「演劇やコントで売れるには」をテーマに語ってもらった。前編では、配信や劇場公演のチケットを買ってくれるファンを増やすことの難しさなどについて触れる。
佐久間宣行のエンタメ包囲網
──佐久間さんがテニスコートを知ったきっかけはなんだったんですか?
佐久間 テニスコートは、たぶん『テアトロコント(渋谷ユーロライブのコント公演企画)』のキュレーターをしてる小西(朝子)さんから、「おもしろい人たちがいるよ」って教えてもらったんだと思う。
神谷 僕も蓮見くんも、小西さんに見つけてもらってから、いろんな人に観てもらえる機会に恵まれたんですよね。そこまでは一緒なんですけど、そこからどうすればいいのかなあというのを今悩んでいます。
──今回は、神谷さんのご指名で佐久間さんと蓮見さんに集まってもらいました。なぜ、このおふたりだったんでしょうか?
神谷 ソロプロジェクトとして画餅を進めていく上で、どうすればもっとたくさんの人に知ってもらい、観てもらえるかを考えていて。そこで誰に相談しようかと思ったら、やっぱり「覇王」のような存在感がある佐久間さんに。
佐久間 いやいや、それは伊集院光さんのことでしょ?(笑)。俺が伊集院さんのことを「ラジオ界の覇王」って呼んでるから。
神谷 でも、佐久間さんも「覇王」、ちらついてませんか?
佐久間 ちらついてないよ(笑)。俺は本当に、変わった仕事をたくさんやってるおじさんなだけだから。でも、画餅の第一回公演『サムバディ』は観たけど、めちゃくちゃおもしろかったから、話題になるだろうって思うけどな。おもしろいだけじゃなくてエモさもあるし、「これを映画化したい」って人が出てきてもおかしくない気がする。
蓮見 本当、すご過ぎましたね。ずっと聞いていたくて、途中で声を出して笑いたくないなと思うくらいおもしろい会話劇でした。
神谷 ありがとうございます! でも、今までの経験からすると、こういうのってなかなか広まっていかないんですよね。そういう意味でも、若手ながら「おもしろさ」で一気に話題となり、時代ともしっかりハマっているダウ90000蓮見くんにも話を聞きたいなと。
佐久間 そういえば、蓮見くんってあれだよね、前は「はりねずみのパジャマ(※)」だったよね?
※蓮見が結成した日本大学芸術学部の演劇企画団体(現在はサークル化)
蓮見 えっ! そうです……!
神谷 一番最初にその名前が出てくるの、すごくないですか?
佐久間 話題になってたときは観れなかったんだけど、そのあと同じメンバーで新しく始めたって聞いて、ダウ90000の第一回本公演『フローリングならでは』は配信で観たよ。
蓮見 あのときは、いきなりツイートが飛んできて、めちゃくちゃびっくりしました。
佐久間 俺さ、別に招待されてなくても普通にいろんな公演のチケット買って観てるから、けっこう驚かれるんだよね(笑)。だから、ダウ90000も勝手にチケットを買って、感想をつぶやいただけ。