モモコグミカンパニーが語るBiSHとしての自分と本当の自分「仕事漬けにならないよう、うまく生きていきたい」

2022.6.28
モモコグミカンパニー

文=西澤裕郎 撮影=オノツトム


2021年12月24日に開催した、中野heavy sick ZEROでの緊急ライブ『THiS is FOR BiSH』で2023年をもっての解散を発表したBiSH。2022年1月からは「12ヶ月連続リリース」をスタートし、6月は第6弾シングル『どんなに君が変わっても僕がどんなふうに変わっても明日が来る君に会うため』をリリースする。

彼女たちが表紙を飾った『クイック・ジャパン』vol.144(2019年6月発売)では、それぞれ単独インタビューの中で解散やBiSHの未来について語っていた。そこで「BiSHラストイヤー記念」として、6カ月連続でこの単独インタビューを掲載。

BiSH楽曲の作詞を最も多く手がけ、著書『目を合わせるということ』(シンコーミュージック)が発売1年わずかにして7刷を記録するなど、その文才が高い評価を得ているモモコグミカンパニー。BiSHを演じることに対して最も自覚的な彼女は、グループの中で一番普通の人間だと自分を語り、特に作家も目指していないという。モモコは未来をどう考えているのか?


BiSHがどんなに有名になっても本当の自分は消えない

──モモコさんはアイドルという存在への興味がきっかけでBiSHオーディションを受けたわけですけど、モモコグミカンパニーを演じていることに対して意識的だと発言していますよね。もう4年以上活動しているので、本当の自分とモモコグミカンパニーとのバランスはいい塩梅になってきたんじゃないですか?

モモコグミカンパニー(以下、モモコ) 活動初期のころは、自分がBiSHに削り取られている感覚があったんです。本当の自分がモモコグミカンパニーに削り取られていっているようなイメージ。でも自分が減ったというより、もう1人の自分が増えたと思ったらすごく充実しているのかなとも考えられるようになったんです。

──完全オフの日は、どうやって過ごしているんでしょう?

モモコ 次の仕事に響かない程度に休みますね。本当の自分がしっかりしておかないと、モモコグミカンパニーもふらふらしてしまう。

BiSHのメンバーはタフな人が多いけど、私はすぐ車酔いもするし、睡眠が足りていないと働けない。精神面も弱いし、体力もないので、BiSHの活動に響かないようにするためには、本当の自分が体調管理をして、いつでも頭が働くようにしておかないといけないんです。そこが自分の役目かなと思っています。

──モモコさんはBiSHの活動をテーマにして本も書かれていますよね。それこそ作家になりたいという気持ちはないんですか?

モモコ 本に関しては、BiSHがなかったら絶対に書かなかったものだと思っていて。最初はクソアイドルと言われていたBiSHが『Mステ』に出るのがすごいことだった。その中にいる私が伝えなくてどうするんだ、という想いもあって書いていただけなので、そこまで強く思ってはいないですね。

──でも、発売1年ちょっとで7刷ですよ!? モモコさんが書いたものが、世間的な評価を得ているということじゃないですか。

モモコ それはやっぱりBiSHのおかげなんですよね。一番普通で素人な自分が、BiSHの中でいろいろなことを感じて思ったことを書いただけ。だから、いくらBiSHが有名になっても、芸能人っぽくなろうとも、本当の自分は絶対に消えないと思っていますね。

私は別に芸能人になりたいわけでもないので、ちゃんと普通な自分はどこかにいます。そういう意味で素人部分は一番ある人なんじゃないかなと思っていますね。

──この先、BiSHのモモコグミカンパニーではないプライベートの自分の日々をどうしていきたいか考えたりしますか?

モモコ 最近、BiSHの20年後を考えていたんですけど、メンバー個々がやりたいこと、たとえばメンバーの誰かが結婚して公にしたとしても、それでもいいと思ったんですよ。それでファンが離れていくんだったら、BiSHのことをそんなに好きじゃなかったのかなという風に思うし、それで離れるとは私は到底思えないんですよね。

私はもともと生きるのがすごく苦手で、BiSHがあるから人としゃべったりすることに、ちょっとずつ慣れてきた。だからBiSHで学んだことだったり、BiSHの人生を無駄にはしたくないなって。私も含めて、メンバーそれぞれが、みんなやりたいようにやって進んでいきたいなって思います。一人ひとりの意思を大切にしていきたいなって。

変なところでシビア

BiSH

──最近6人で真剣な話をしなくなったとメンバーも話していました。これからさらに高みを目指すにあたって、この状況を変えていったほうがいいと思いますか。

モモコ 何かを変える必要はないと思います。私は自然が一番だと思っているので、何かの力に抑圧されるのはよくないというか。誰かがこうしようとか言って仕切りだしてルールを決めても息苦しいなと思うので。真剣な話を無理にする必要もないとは思うし、みんな言わなくても伝わることは伝わるんじゃないかなと思います。

──今それぞれがあるべき姿で共存できているような感覚だと。

モモコ うん。未来を予測するってすごく楽しいけど、結局はわからないじゃないですか? 私は人と真剣な話をすることが苦手で、6人だったらなおさら。普段の生活から本当のことを言えていたら本なんか出さないし、いちいちスマホにメモしない。なるべくそういう機会を避けていますね。

──今回のインタビューでは、普段思っていることを初めて話しましたという人が多いです。

モモコ 特に私はみんなに言いたいこととかがないというか。私がどうこう言える立場でもないし、人にこうしろああしろって言うのってすごく横暴なことな気がしていて。静かにしてほしいんだったら自分がどこかに行けばいいし、という派なので。一つひとつ話し合うグループってWACK(BiSHの所属する事務所)内でも多いと思うんですけど、裏側で話したってしょうがないのかなって思っちゃうんですよね。BiSHは自分たちのものだけではないし、そういう姿すらもファンの人と共有したいと思っちゃう。

──2018年の合宿オーディションでも、カメラが回っていたから言いたいことを言ったって、語っていましたよね。

モモコ そうですね。私はそういうタイプの人間かもしれない。BiSHって、もともと人に見られるために生まれてきたグループなのに、人が見えないところであーだこーだ言っても何の商品価値もないじゃんって。変なところですごいシビアなんです(笑)。

──職業としてBiSHに臨んでいる意識が強いんですかね。

モモコ 一番ないように見えて、その意識が一番強いと思います。仕事としてやっている面はすごく大きいから、気を抜くのにも気を入れているというか。BiSHに入って、周りには歌が上手い子だったり、人間性がおもしろい子、精神がすごく強いメンバーだったりがいて。そのままの自分でいたら、私は本当に何もないなと気づいて。だからこそ人一倍考えて行動しなきゃと思って4年間やってきたので、それが今も抜けてないのかもしれないですね。

──ストイックに活動してきてしんどくならなかったですか。

モモコ 本には書きましたが、きっぱりと1回辞めますということを渡辺さんに言っています。結局辞めてないんですけど、いるならいるでお荷物にならないように、BiSHのために少しでも力になりたいという気持ちはすごくありますね。自分がBiSHの顔に泥を塗るようなことは絶対にしたくない。それは常日頃からすごく思っていますね。


モモコ、幸せへの道はどこにある?

モモコグミカンパニー

──モモコさんは、どうしたら自分自身が幸せになれるんでしょうね。

モモコ 私は「こうしたい、ああしたい」という強い野望がなくて。毎日生きるのに必死だし、今も結構幸せだと思っているんです。すごく嫌なのは、自分の思っていないところで、商品価値を発することというか。たとえば、私がすごくかわいかったとして、モデルさんとかやりたくないのにやらされて、それが売れていくというのは嫌なんですよ。

だから今、Twitterの言葉とか、自分の外見や髪色、髪型を、自分の自由にできているのはすごく幸せですね。自分のやりたいようにできることが、私にとってBiSHの活動においては幸せなこと。歌詞にしても、自分の心がないと書けないし。そういったものをBiSHの活動を通して世間に出せるというのはすごく幸せなことだなと思っています。

──もし仮にBiSHがなくなったら、モモコさんはどんな生活をするんでしょうね。

モモコ うーん…… 私、友だちがすごく好きなんですよね。多いわけではないんですけど昔からの親友がいて。その子とも全然会えていないので会いたいなとか思っちゃいます。

──すぐ達成しちゃいますよ(笑)。

モモコ そうですね(笑)。もっと柔らかくて、素直にいろいろな人の意見を受け入れられるような人間になりたいと思うんですよ。でも、いろいろな人の言葉を聞いたら圧倒されちゃうんですよね。

──そういう意味では、今のBiSHの中にいる自分は心地いいのかもしれないですね。

モモコ 言ってもモモコグミカンパニーは私そのものでもあるので、今ぐらいが自分の生きていける立ち位置なのかもしれない。それは私だけではなくて、みんなそういう感じなんだと思います。その人相応のものが、その人の周りに集まってきているというか。

私は早く30代になりたいと思っていて。BiSHのオーディションを受けたころの渡辺さんが30歳ぐらいだったんですけど、こんな自分の好きなことをしている大人見たことないと思って、すごく憧れたんですよね。自分の理想像なんです。自分が30過ぎてそういう大人になりたいんだったら、今頑張らないと、その余裕はできないと思っているし、頑張りどきだと思って毎日生きています。

──余裕ができたら、家族を作ることだったり、もっと自分のことを考えていくようになるのかもしれないですね。

モモコ そこはそう思いますね。プライベートは私にとってすごく大切なので。仕事人間でいてはいけないと思っているし、プライベートも充実させるのが上手い子がBiSHにはそろっている。そういう意味で、私も上手く生きていきたいですね。仕事漬けにならないように。

『クイック・ジャパン』vol.144には、まだまだ撮りおろし写真を掲載。さらにほかの5人のインタビューだけでなく、松隈ケンタによる『CARROTS and STiCKS』制作秘話も。購入はこちらから。

クイック・ジャパンvol.144
『クイック・ジャパン』vol.144

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    『どんなに君が変わっても僕がどんなふうに変わっても明日が来る君に会うため』

    発売日:2022年6月29日
    価格:¥11,000(税込)

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    公開日:2022年6月10日(金)

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西澤裕郎

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西澤裕郎

(にしざわ・ひろお)ストリートを愛するカルチャー・マガジン『StoryWriter』記者・編集者。