BiSHハシヤスメ・アツコが描くこれからの人生「もうちょっと真っ白な自分でいたい」

2022.5.15
ハシヤスメ

文=西澤裕郎 撮影=オノツトム


2021年12月24日に開催した、中野heavy sick ZEROでの緊急ライブ『THiS is FOR BiSH』で2023年をもっての解散を発表したBiSH。2022年1月からは「12ヶ月連続リリース」をスタートし、5月は第5弾シングル『LiE LiE LiE』をリリースする。

彼女たちが表紙を飾った『クイック・ジャパン』vol.144(2019年6月発売)では、それぞれ単独インタビューの中で解散やBiSHの未来について語っていた。そこで「BiSHラストイヤー記念」として、6カ月連続でこの単独インタビューを掲載。

WACK所属グループのライブではおなじみのコントだが、その原点はハシヤスメ・アツコの殻を破るためにBiSHのライブで取り入れられたことにあった。今では強い個性を発揮し、ハシヤスメの代名詞となったコントやお笑いだが、本人はいったいどう思っているのか? 芸能人としてプライベートを見せないという彼女のオンとオフの考え方に迫った。


原点は『HEY!HEY!HEY!』『うたばん』

──今でこそコントはハシヤスメさんの代名詞となっています。もともとお笑いが好きだったり、コントをやりたいという気持ちはあったんですか?

ハシヤスメ・アツコ(以下、ハシヤスメ) お笑いはずっと好きでした。でもまさか自分がやるとは思っていなかったというのが率直なところです。2016年のハグ・ミィが抜けた後のツアーからコントをはじめたので、アユニが入るまでの一時的なものだと思っていたし、ここまで続くとは考えてもいなかったですね。

──もはやハシヤスメさんとコントは、切っても切り離せないものになりましたね。

ハシヤスメ もしコントを切り離したら、自分の何が売りなんだろうと考えてしまう面もあります(笑)。

──以前、芸能人であるからこそプライベートを見せないようにしているとおっしゃっていました。普段の雰囲気はだいぶ違うんですか?

ハシヤスメ と言われると、そんなに変わらないかも(笑)。コンビニに行くし、家でTVを観るし、特別派手なことをしているわけではないので。女の子と遊んだり、女子会がすごく好きだし。ポールダンスをやっている友だちのショーを観に行ったり、美容やファッションの話をしたりとか、本当に女子的なことばかりしているかな。

──ライブ会場がどんどん広くなって、TVに出演したりと、BiSHの存在が大きくなってきています。現状のBiSHに対して、ハシヤスメさんはどういう風に感じているんでしょう。

ハシヤスメ インタビューとかで「少しずつ売れてきていますね」って言われているけど、私の中で売れている人ってTVに頻繁に出ている人なんです。音楽番組にもよく出ていたり、CMでよく観るというのが、売れている人のイメージだった。なので、そういう私みたいな一般人の感覚の人に届いたら、売れたんじゃないかなと思うし、正直まだまだですね。まだ途中という感じ。

──活動当初、叶えたいリストが100個あると言っていましたけど、それはどれくらい達成したんでしょう。

ハシヤスメ まだ全然ですよ。小さいころからずっとやりたいなと思っていたのは『王様のブランチ』(TBS)に出たいとか、1日警察署長になりたいとか、そういうことなんですけど、まだですね。グループとしては音楽特番に出たいですし、ドームも叶っていないし……でも本当に少しずつ叶っています。けどまだまだです。やりたいことはいっぱいあります。

──ハシヤスメさんがBiSHとして達成感を得られる瞬間ってどんなときなんでしょうね。

ハシヤスメ それはCDを出すたびに音楽番組に出られることですね。そこはずっと変わっていないです。今でも変わらずTVっ子で、自分の原点はTVなので。

──TV番組のどういうところに影響を受けたんでしょう。

ハシヤスメ 『HEY!HEY!HEY!』(フジテレビ)と『うたばん』(TBS)の影響は大きいですね。音楽番組だけどお笑い要素もあったじゃないですか? バラエティ番組と、両方いいとこ取りみたいな感じ。アーティストなんだけど話したらめっちゃ面白いじゃん!という姿勢は、そこで全部吸収したと思っています。

──そういう意味では今のBiSHはかっこいい歌とダンス、コントで見せる面白さが共存していますよね。

ハシヤスメ ただ、お客さんがちゃんと面白いと思ってくれていたらいいですけど、つまらなかったらなって考えたりもします。滑り芸だけど、面白いのができていればいいなと思いながらコントをやっている部分はあるんです。

制限をかけたくない今は真っ白な自分でいたい

ハシヤスメ・アツコ

──今回のテーマは「BiSHとしての私、本当の私」です。これから結婚して家族を持つことも考えてもおかしくないのかなと思うんですけど、ハシヤスメさんは、BiSHの活動と、これからの自分の人生というところをどのように考えているんでしょう。

ハシヤスメ 正直、まだ結果を残せている感覚が自分の中ではないんです。個人としても結果を残せていない。だから、グループも、芸能もまだまだやりたいですね。私は芸能の世界に入りたくて、ずっと学生のころから頑張ってきたので。もちろん結婚もしたいし、いつか家庭を持ちたい。ただ、それを持ったことによって自分のやりたいことに制限がかかるのは嫌なので。もうちょっと真っ白な状態でいたいですね(笑)。

──そこは両立できると思わない?

ハシヤスメ できるのかなあ……。パートナーがいることによって頑張れることもあるだろうし、いい歌詞が生まれたりするのかもしれないけど、誰かが家にいると何をするにしても限られそうですよね。だから、もっとひとりで頑張りたいかな。まあいい人が見つかるまでですね。お金を持っている人だったり、好みのマッチョが見つかったら、ちょっと考え方が変わっちゃうかもしれない。そこは変わるかもしれないということでお願いします(笑)。

──(笑)。それこそほかのメンバーが結婚をする可能性もなくはないわけですよね。そうなったとしても、BiSHが続いていってほしいと思いますか。

ハシヤスメ BiSHは今この6人じゃなきゃダメだと思っているけど、もしかしたら世間はそう思っていないかもしれないし、渡辺さんもそうではないと思っているかもしれない。そこが怖いところですよね。仮にメンバーが結婚しても続けたいけど、誰かが辞めて5人になったり、新メンバーが入った状態でBiSHを続けていく可能性もあるわけで。

渡辺さんが第2期BiSを立ち上げるときに、モーニング娘。さんみたいにメンバーが変わっても何年もやっていくということを言っていて。そのとき、BiSHはどうなんだろうって考えたんです。BiSは次は3代目になっていくけど、BiSHどうなんでしょうね。

──ハシヤスメさん的には、続けられるなら続けたい?

ハシヤスメ 続けたいですね。グループとしての目標をまだ叶えていないし、歌も好きだし、音楽も、踊りも好きなので。できれば続けられるまで続けたいです。


夢のソロ活動笑いをどうやって作るか

BiSH

──BiSHは、それぞれが得意なことをソロ活動として活かしてもいます。ハシヤスメさんもソロが決まっていますけど、活かしたい自分の一番の良さはどういうところにあると思いますか。

ハシヤスメ 今だったら「コント」ってなるかもしれないですけど、まだ「コントのようなもの」でしかないと思っていて。自分はまだコントのことを語れるほど一人前ではないので。だから強く言いづらい部分もあるんですけど、一応コントってことにしておきます(笑)。

──これだけ活動を積み重ねてきているから、もうちょっと自信を持っていいんじゃないかなと思いますけど。それこそ、ウケるための話し方みたいな本を読んでいた時期もありましたよね。

ハシヤスメ 今も放送作家さんが書いた本を読んでいます。でも、放送作家さんの本って、芸能人だったらこうしたほうがいいけど、一般人のあなたはここまでしなくていいのよという内容が多いので、やっぱり会って話をしたいなと思って。放送作家の友だちがいないのでセミナーに行こうかと思っています。

──それこそ、QJの編集部の方にそういう機会を設けてもらったらいいんじゃないですか?

ハシヤスメ めちゃめちゃ会いたいです! 本当にお願いします。BiSHをもっと良くしたいし、もっと笑いのセンスを個人的に上げたいので。今は、完全にTVとそういう本を見てしか学べていなくて。自分に合ったスタイルを見つけたいので、お願いします!

──笑いを学ぶにあたって、芸人さんではなくて、放送作家さんというのは印象的な答えですね。

ハシヤスメ 人によって笑いのツボって当たり前に違うじゃないですか? 私の笑いを面白いと言う人もいれば、つまらないって言う人もいるのは当然で。メンバーで話していても、ここをこうしたほうが面白いんじゃないかと言う人もいれば、私はそれ面白くないと思うしってこともあって。そこが難しい。規模が大きくなれば、笑いのツボも、好きな音楽も違うし、それだけの人を納得させるのって難しいので、芸人さんというよりは放送作家さんとか、番組を束ねているような方とお話をしたいなって思ってます。

──BiSHとして老若男女に届くようなものを作りたい、と。

ハシヤスメ 小さい子も増えてきているので、子どもでもわかりやすいことがしたいです。私は子どもでも、誰が読んでもわかりやすい歌詞を書いていて。常にそう思ってやっていますね。

──その大元には、ハシヤスメさんが小さいときにTVで観て面白いと思えたことがあるのかもしれないですね。

ハシヤスメ 単純なことで笑っていたイメージが自分の中であるので、私も単純なことで笑わせたいんです。マニアック過ぎたりとか、知らない用語がババンと来たりとかじゃなくて、本当に簡単なことでみんなを笑わせたいです。

『クイック・ジャパン』vol.144には、まだまだ撮りおろし写真を掲載。さらにほかの5人のインタビューだけでなく、松隈ケンタによる『CARROTS and STiCKS』制作秘話も。購入はこちらから。

クイック・ジャパンvol.144
『クイック・ジャパン』vol.144

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西澤裕郎

Written by

西澤裕郎

(にしざわ・ひろお)ストリートを愛するカルチャー・マガジン『StoryWriter』記者・編集者。

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