初主演ドラマ『ショート・プログラム』を監督して感じた、JO1の俳優としてのポテンシャル

2022.4.3
『メモリーオフ』で主演を務めた豆原一成、ヒロイン役の莉子と一緒に撮影現場にて

(c)あだち充・小学館/吉本興業
文=新 亜希子 編集=森田真規


2022年3月4日にデビュー2周年を迎え、2NDアルバム『KIZUNA』のリリースを5月25日に控える11人組のグローバルボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」。あだち充の同名短編集を原作に、彼らがそれぞれ1話ずつドラマ初主演を務めた『ショート・プログラム』がAmazon Prime Videoにて好評配信中だ。

QJWebでは、全12話(オリジナルストーリー1本を含む)のうち『プラス1』『ゆく春』『交差点前』『どこ吹く風』『メモリーオフ』『途中下車』の6作にて監督を、さらにその3作の脚本を担当した渡部亮平にインタビューを行った。

インタビュー後編では、担当作品に主演したメンバーそれぞれの印象や撮影エピソード、『ショート・プログラム』を通して感じたJO1の俳優としてのポテンシャルについて話を聞いた。


芝居とギターに正面から向き合った川西拓実

──『ショート・プログラム』撮影でのエピソードや、役者としてのJO1の印象について教えてください。

渡部 一番最初に撮ったのが『プラス1』、川西拓実君ですね。彼にはギターをやってほしいということで、僕のギターを貸して、練習してもらいました。川西君には、役者になることに加えてギターの練習まで求めてしまったので、彼としてはやらないといけないことが増えてしまったんですけど……それをすごく楽しんでやってくれたんです。

この芝居をきっかけにギターに興味を持ったらしく、「買って練習するようになった」と言っていました。そういう話を聞くと、すごくちゃんと向き合ってくれたんだなって思いましたね。あんなふうにギターを持って街中で歌うって、けっこう恥ずかしいことじゃないですか。でもしっかりやってくれて、うれしかったですね。

(左から)岡本夏美と川西拓実/『プラス1』より
川西拓実が主演を務めた『プラス1』

“抜けた三枚目”を演じられる逸材・河野純喜

──次に撮られたのは?

渡部 『途中下車』、河野純喜君でした。実のところ、彼があんなに素敵になるとは思ってなかった(笑)。最初は、本当に芝居が固かったんですよ。それが4日目に、めちゃくちゃうまくなった。最後に撮ったのが線香花火のシーンで、ふたりで向き合って「何をお祈りした?」みたいなことを話すシーンなんですけど、あのシーンの純喜、めちゃくちゃ芝居うまいなって思ってるんですよ、僕は。

言い方が難しいんですが、彼はお芝居がそんなにうまいわけではないんです。でも本人のキャラクターがとても素敵なので、ただそこに河野君が存在しているように撮っていけば、自然と素敵になるなと思っていました。お話も、彼が素敵になるように寄せていったというのもあるんですけど、すごく自然体でよかったですよね。

今の日本映画界って、ああいう“抜けた三枚目”というか、コメディができるキャラクターっていそうでいないんですよ。雰囲気があってかっこいい役者はいっぱいいるんですけど、ちょっと抜けた、とぼけた役、おっちょこちょいな役を魅力的にできる子ってあんまりいないので、すごく貴重だなって思いましたね。純喜君はバラエティのほうが向いてると思われているかもしれないですけど、実は貴重な役者だなって僕は思っています。

小西桜子と河野純喜/『途中下車』より
河野純喜が主演を務めた『途中下車』

自身も驚く、俳優・鶴房汐恩のポテンシャル

渡部 『途中下車』の次に撮ったのが『ゆく春』、鶴房汐恩君ですね。僕は、鶴房君の空気感、雰囲気が素晴らしいなと思っていたので、けっこう安心し切っていました。欲しいときに、欲しい表情をちゃんとくれる人だったなって感じです。ぱっと振り向いて見ている、「その“目”が欲しかった!」という目をしてくれるんです。勝負に負けて落ち込むシーンもそうですが、いつもいい表現をくれましたし、多くを求めなくてもちゃんと結果を出してくれた。期待どおりでしたね。

──鶴房さん自身は、泣く芝居に少し悔しさが残ったと話していましたが、あのシーンもよかったですよね。

渡部 それが、1回目のカメラリハのときに一番泣いちゃったんですよ。「うわー、今スイッチ入れちゃったか」って。本当、ああいうのって難しくて。リハは流しめでやってほしいんですけど、そこはやっぱり慣れてないので、カメラが回っていないのにがっつり泣いてしまって。これまでリハーサルスタジオで芝居をしていたのが、いざ病室になって、そこそこ暗い雰囲気になって……(芝居に)入っちゃったんだと思うんです。

でも鶴房君は、自分がそこまでの感情に行けたこと、自分のポテンシャルに自分で驚いていましたね。「ここまでできるんだ」みたいな。ただ、カメラが回るとどんどん泣けなくなってくるっていう(笑)。これはもう経験値ですよね、しょうがない。何回も何回も同じ芝居を求めるぶん、新鮮さは薄まっていっちゃいますから。でも、彼はやるほどにうまくなっていくと思います。しっかり感情を出せたってことが、彼にはひとつ、手応えになったんじゃないでしょうか。

坂本友見と鶴房汐恩/『ゆく春』より
鶴房汐恩が主演を務めた『ゆく春』

JO1随一の安定感ある芝居を見せた豆原一成


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新 亜希子

(しん・あきこ)エンタメ系ライター。音楽・アイドル・映画を中心に、インタビューやレポート、コラムやレビューを執筆。『シネマトゥデイ』『リアルサウンド』『日経エンタテインメント!』ほか。

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