JO1が集結した最終話『Dreamer』。この11人だからこそ表現できた夢追う者の物語【JO1初主演ドラマ『ショート・プログラム』レビュー】

2022.3.20
『ショート・プログラム』第12話『Dreamer』

(c)あだち充・小学館/吉本興業
文=新 亜希子 編集=森田真規


2022年3月4日にデビュー2周年を迎えた、11人組のグローバルボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」。あだち充の同名短編集を原作に、彼らがそれぞれ1話ずつドラマ初主演を務めた『ショート・プログラム』が3月1日よりAmazon Prime Videoにて配信されている。

3月14日には、最終話となる『Dreamer』が公開された。なお、本話はあだち充原作ではなく、完全オリジナルストーリーである。

JO1主演『ショート・プログラム』30秒|Amazonプライムビデオ

11話までの登場人物が集結した最終話

『ショート・プログラム』各話の主人公である新庄公平(大平祥生)、今井一郎(川西拓実)、片岡圭一(木全翔也)、田原正平(佐藤景瑚)、戸田星也(白岩瑠姫)、上原健司(鶴房汐恩)、戸志野はじめ(豆原一成)、竹地春彦(與那城奨)は、ボーイズグループオーディション『Project 101』の控室にいた。背中を押された者、夢を託された者、自分を変えたい者……志望の理由はさまざまだが、若者たちは夢への想いを分かち合う。

しかし、志願者である松村渡(河野純喜)、田所岬(金城碧海)の到着が遅れていることに加え、現場では機材トラブルが発生。オーディションを中止しようとする製作陣と、夢を叶えるべく集まった彼らの間で、スタッフの美帆は板挟みの状態に。だが、社長の鶴のひと声でオーディションは続行、さらにはスタイリスト見習いの杉井和彦(川尻蓮)も参加することになる。若者たちは音楽を楽しみながら、松村と田所の到着を信じて待つ。

第12話『Dreamer』でスタッフの美帆役に扮した伊藤万理華
第12話『Dreamer』でスタッフの美帆役に扮した伊藤万理華

オーディション続行を訴える美帆役には伊藤万理華。確かなスキルと豊かな表現力で、乃木坂46初期の活動を支えた存在だ。卒業後は女優として映画『サマーフィルムにのって』やドラマ『お耳に合いましたら。』(テレビ東京)などに主演。監督は『ショート・プログラム』プロデューサーの森谷雄が担当した。

第12話『Dreamer』で社長役に扮した梶原善
第12話『Dreamer』で社長役に扮した梶原善

JO1だからこそ表現できた“Dreamer”

「JO1」としてではなく「11人の役者」として集まった最終話。準備期間を含め、長期にわたって芝居と向き合い、主演を経験し、ひと回り大きくなったメンバーたち。それぞれが得てきたものを持ち寄り、完成した作品には、JO1だからこそ伝えられるメッセージが描かれていた。

夢が叶う瞬間は、ゴールではなくスタートだ。ひとつ夢が叶えば、また新たな夢が生まれる。まさにJO1がそうだろう。JO1になったその瞬間、夢は叶ったのではなく始まった。生きている限り、夢はつづく。人生を終えるそのときまで、人はみな“Dreamer”(夢追い人)だ。

一方で、描いた夢や憧れが叶わなくとも、人生はつづいていく。それをポジティブに思える日もあれば、ネガティブに思う日もあるだろう。大切なのは、夢に向かってたった一度でも、本気で挑んだか否か。挑まなかった夢ほど、心に残るしこりはない。挑むことは怖いけれど、必ず何かを得るだろう。それは、諦めない覚悟かもしれないし、新たな道に進む勇気かもしれない。

本作では「夢の向こう」、11人の人生が、それぞれのかたちできちんとつづいていくことが、日々のささやかな希望と共に描かれていた。現実はそう甘くない。けれど、捨てたものじゃない。それもまた、本作から得たメッセージだ。

印象的だったのは、あるメンバーが本人役として出演するシーン。『ショート・プログラム』全体を通して想像した、11人の「JO1じゃなかったかもしれない人生」。その象徴たるシーンであったように思う。2019年、誰かひとりでも挑戦しなければ、少しのことでも何かが違ったら、JO1はなかった。『Dreamer』は、そんなJO1だからこそ表現し得る、夢追う者の背中を押す物語だった。

『ショート・プログラム』きゅんきゅんまとめ<水も滴るJO1ver>|Amazonプライムビデオ

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  • JO1初主演ドラマ『ショート・プログラム』 (c)あだち充・小学館/吉本興業

    JO1初主演ドラマ『ショート・プログラム』

    配信開始日:2022年3月1日(火)よりAmazon Prime Videoにて独占配信中!
    作品ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B09PQRYF97
    出演:大平祥生、川尻蓮、川西拓実、木全翔也、金城碧海、河野純喜、佐藤景瑚、白岩瑠姫、鶴房汐恩、豆原一成、與那城奨ほか
    原作:あだち充
    脚本:山浦雅大、守口悠介ほか
    監督:渡部亮平、菊地健雄、上村奈帆、土屋哲彦、益山貴司、森谷雄
    プロデューサー:北橋悠佑、森谷雄、斎木綾乃
    制作:アットムービー
    製作:吉本興業
    (c)あだち充・小学館/吉本興業

    1話読切の短編集。あだち充ならではの青春感や切なさがふんだんに注ぎ込まれた作品集を、JO1メンバー全員が主演を務め、世代を超えて、現代に生きる視聴者にも共感・共鳴できるドラマに仕上がった。
    さらに、メンバー11人全員が出演する最終話「Dreamer」も3月14日(月)よりサプライズ配信がスタートした。


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新 亜希子

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新 亜希子

(しん・あきこ)エンタメ系ライター。音楽・アイドル・映画を中心に、インタビューやレポート、コラムやレビューを執筆。『シネマトゥデイ』『リアルサウンド』『日経エンタテインメント!』ほか。

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