無意味を浮かせて、世界をひっくり返す
川田 今回の作品は、僕とワクサカくんで一緒に考えた台本があって、それを男性ブランコに演じてもらったわけだけど、もともと男性ブランコのふたりが作る世界や雰囲気と、AR三兄弟は隣り合っているところがあって。AR三兄弟とは、前にも『数学泥棒』というコントを拡張した試みがあったでしょ。
平井 あれは画期的でした。
浦井 すごいことになったぞ、と思いましたよ。
川田 筋書きを僕が書いても、平井くんが書いたものでも、AR三兄弟と男性ブランコは、お互いに交換できる感覚があるんですよ。
平井 それは僕も思います。おこがましいかもしれませんが、合ってるなって。
川田 合ってるよね。作品についても話が通じ合うし、接しやすい。
ワクサカ 両方の作品作りに関わっている僕から見ても、相性いいと思います。
川田 そう、相性がいいんですよ、僕たち。
平井 会うべくして会った感じはしますよね。
川田 2021年の12月にやった男性ブランコのコントライブ『てんどん記』を観たときに、ツイッターに感想を書いたんです。
平井 ありがたい感想です。
川田 『てんどん記』は、無意味を浮かせて、世界をひっくり返しているように感じたんだけど、こういうコンセプチュアルな構成というのは、どういう順番で作っているんですか? ネタをひとつずつ作っていくと、ああいうことになってくるの?
平井 毎回そのときでやり方は変わってくるんですけど、この『てんどん記』に関しては、全体のだいたいの感じを思い浮かべて、ラストシーンはこんなことになったらいいなぁ、みたいなイメージがあって。タイトルを先に決めるっていう感じですね。
川田 そっか。そのときによっても違うんだね。あとさ、平井くんは妖怪が好きなの?
平井 妖怪とか好きです。知識としては『ゲゲゲの鬼太郎』くらいのもので、ぜんぜん詳しくはないんですけど、シンプルに妖怪というものが好きですね。
川田 日本人の中には、いろんなものに神様が宿っているという考え方があるでしょ。
平井 八百万の神ですね。
川田 妖怪好きもネタに関係あると思うんだよな。
平井 ですかね。
川田 男性ブランコのネタを見ていると、『てんどん記』に限らず、普段は見過ごしている言葉のあやというか、そこに潜んでいる、無意味なんだけど、その無意味が浮いてくる感じがするんですよ。ワクサカくんは近くにいて、そういうの感じない?
ワクサカ あ、え、感じます。
川田 うろ覚えの顔してるよ。
ワクサカ すみません、油断してました。いや、でも僕はそこまで深くはわかりませんが、さっき川田さんが言っていたように、男性ブランコはふたり共、接しやすいから一緒にやっているんです。
川田 接しやすいから一緒にやってるって、なんかいいね。
ワクサカ 僕も妖怪とか好きですし。
川田 生き物も好きだしね。
ワクサカ 平井さんも僕も生き物が好きです。ただ、これだけは強調して言っておきたいのが、浦井さんは生き物が苦手です。
浦井 え! 急に? 今それ言う必要あります?
AR三兄弟と男性ブランコは気が合う
川田 まぁでも、男性ブランコの世界観が『キングオブコント2021』で日本全国に流通して、めちゃめちゃうれしかったな。
ワクサカ うれしいですし、ワクワクしますね。
川田 急に朝の番組とかにも出てるし。
平井 それは本当にありがたいことです。
川田 僕もプログラミングの世界では発明をしてるけど、お笑いの世界はニュアンスも含めて発明の連続じゃないですか。だから、お笑いのことは好きっていうだけじゃなく、憧れがあるんですよ。『テクノコント』のときに、第一線でやっている人たちとお笑いやネタの話をしていると、やっぱりすごいなって思うんです。それぞれがお互いに、まだ誰も笑いにしていないものを持ち寄っているような感覚がある。
平井 『テクノコント』はこれからも大事にしたいですよね。
川田 では、そろそろお時間なので。今後もこういった試みを一緒につづけていきましょう。
ワクサカ 改めて、AR三兄弟と男性ブランコは気が合うってことがわかりましたからね。
平井 いや、本当に。出会うべくして、出会いました。
ワクサカ きっと行きたいお店も一緒でしょうから、週1くらいで会いましょう。
川田 テクノロジーの話をするはずが、気が合うってことで締めていいのかな。
浦井 あの着物が、立川談志師匠の着物だっていうことだけ、もう一度言っておきましょう。
ワクサカ そこ大事だね。そして、これが川田十夢の代表作です、ということも。
川田 ありがとうございます。
平井 最高でした。
浦井 参加できて光栄です。
川田 気が合う会も開催して、同じこたつに入りましょう。
ワクサカ 足とか触れ合っちゃったりしてね。
平井 それでも気にしないからね。
川田 なにせ気が合うから。
浦井 どういう締めですか。
川田 それでは、男性ブランコの浦井くんと平井くん、作家のワクサカソウヘイくんでした。どうもありがとう。
一同 ありがとうございました〜。
【関連】男性ブランコ「コントライブを突き詰めることをいったん諦めた」ふたりが歩むコントで生きるための道のり
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『バーチャル身体の祭典 VIRTUAL NIPPON COLOSSEUM』
日本の身体を世界に発信するデジタル・パフォーマンスと、人体データのアーカイブ実践プロジェクトが始動!川田十夢(AR三兄弟)が、世界中どこからでも鑑賞できる舞台モデルを提示し、経験を宿した身体の価値を未来に伝える。
芸能・芸術・スポーツが一つのトラックに集結。舞踏家、気鋭のダンサー、義足のパラ陸上選手、10代のプロスケートボーダー、日本の奇祭、和太鼓のリズムなどが、落語の口上に合わせて次々に登場する。AR技術を活用した特設アプリや、THEATRE for ALLで独占配信される。
また、人体データの視点から文化を記録・記憶するアーカイブ実践プロジェクトと、一大リレー式カンファレンスも開催。3Dデータやモーションキャプチャーなどの技術で生まれる新たなアートやパフォーマンスの可能性を探る。関連リンク
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