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音楽プロデューサー・松隈ケンタが福岡で乗り越えた“音楽業界の荒波”「成長したい人を相手にするだけ」

松隈ケンタ

文=安里和哲 撮影=須田卓馬 編集=高橋千里


昨年の『NHK紅白歌合戦』に初出場したBiSHをはじめ、WACK所属グループの楽曲を数多く手がける音楽プロデューサー・松隈ケンタ。

苦しい下積み時代を乗り越え、BiSHの人気が高まっていくタイミングで、地元福岡に拠点を移した松隈は、コロナ禍の荒波をリモートワークで乗り越えたという。

そんな彼は、2020年4月にオンラインサロン『松隈ケンタのスクランブルミュージックサロン!!』を立ち上げた。

音楽業界のフロントラインで活躍し、コロナ時代のクリエティブを模索する松隈が今、オンラインサロンに思うこととは。

コロナ禍前から始めていた「オンラインレコーディング」

──2019年、松隈さんは東京から地元・福岡に拠点を移されました。音楽プロデューサーとして活躍する今、なぜ福岡に移住したのでしょうか。

松隈ケンタ(以下:松隈) 地元を離れても「いつか地元に帰りたい」と思う九州人ってめちゃめちゃ多いんですけど、僕もそのひとりだったんです。そもそも売れないころのモチベーションのひとつが、音楽で成功して、全盛期で地元に帰ることでしたから。

2005年、25歳で上京し、Buzz72+としてメジャーデビューしたものの、バンドは3年で解散。ひとりぼっちでゼロから再出発して、音楽制作集団「スクランブルズ」を立ち上げました。自分のプロデュースするアーティストが売れるまで10年は下積みでしたが、BiSHが売れてきたタイミングで、ようやく(地元に)帰れるなと。

松隈ケンタ
松隈ケンタ/音楽プロデューサー。音楽制作集団「スクランブルズ」代表。日本経済大学特命教授。1979年生まれ、福岡県出身。BiSH、BiS、EMPiRE、豆柴の大群など、音楽プロダクション「WACK」所属のアーティストや、中川翔子、柴咲コウ、Kis-My-Ft2らのサウンドプロデュースを手がける。ロックバンド「Buzz72+」としても活動中

そもそもエンタメ業界って「東京が中心」っていうイメージが強いですよね。でも福岡に目を移すと、ゲーム会社の「レベルファイブ」や「サイバーコネクトツー」の本社がありますし、映像制作会社も次々と移転してる。だったら音楽業界もできるんじゃないの?ってことは常々思ってました。

──福岡で音楽制作は難しくないですか?

松隈 東京にいたころと、変わらないクオリティでやれてます。それができるのも、福岡に移るタイミングで構築したオンラインレコーディングシステムのおかげですね。

下積み時代は、音楽制作は福岡で行い、レコーディングのときだけ東京に来るスタイルでいいと思ってたんです。でも、実際に移住するころにはオンラインレコーディングの知識も深まって、リモートでもじゅうぶん対応できることがわかったんですよ。

──コロナ禍より前に、リモートでの制作環境を整えていた。

松隈 たまたまそうなりましたね。でも、日本ではコロナ禍以降「リモート」が注目されてますけど、遠隔でのレコーディングって技術的にはずっと前から可能だったんですよ。

たとえばアメリカなんて、西海岸と東海岸に住んでるミュージシャン同士がオンラインレコーディングするなんて当たり前だし、大西洋を隔てたミュージシャンとだって平気でやってる。日本ではミュージシャンが東京に集中してるから、必要に迫られなかったというだけですよね。

松隈ケンタ

──実際にリモートでレコーディングしてみて、手応えはいかがですか。

松隈 ほとんど問題ないですね。実際、WACKメンバーに聞くと、僕が現場のコントロール・ルームにいるのと、福岡のスタジオにいるのとでは、何も変わらないって言うんですよ。同じスタジオにいても、レコーディングのときは結局違う部屋にいるから当然ですよね。ヘッドフォンでディレクションは聞けるし、表情もZoomでわかる。

楽器のレコーディングも、福岡のスタジオでじゅうぶん対応できてます。「スネアもうちょっと高くして」「8小節目の叩き方を変えて」なんて指示もリモートでガンガンやってますね。

上京しないとレコーディングできないっていう制約がないぶん、レコーディングに関してはむしろラクになったかもしれないです。

オンラインサロンは、若手クリエイターの糧になる

──制作現場でオンラインを活用される松隈さんは、2020年4月にオンラインサロン『松隈ケンタのスクランブルミュージックサロン!!』をスタートさせました。

松隈 もともと準備はしてたんですけど、新型コロナの波が来て、いよいよやらなきゃなと思いましたね。

今話したように、僕はオンラインで仕事ができたので影響は小さかったんですが、音楽業界全体としては、ライブができなくなって、いよいよ生活すらヤバいっていう危機感があった。とにかく盛り上げなきゃなと。

──松隈さんは音楽制作集団「スクランブルズ」の代表を務められて、音楽スクール「スクランブルズミュージックカレッジ」を運営しています。さらにサロンでも音楽レッスンも始めました。それぞれどのような位置づけなんでしょうか。

松隈 スクールは、生徒のニーズがあるからやってるというのは当然ですが、音楽だけで食えてない若手ミュージシャンの生活のためでもあって。先生として教えることで、自分のスキルも上がるし、お給料も稼げる。コンビニバイトよりも、音楽レッスンで生活の糧を得られたほうがいいですから。

一方で、サロンでの音楽レッスンは、若手クリエイターの顔と名前を覚えてもらうためだったりしますね。スクランブルズには20人弱ミュージシャンがいますが、アーティストとは違って裏方に回る彼らも、これからは積極的に発信してほしいので。

松隈ケンタ

──レッスン動画をアップする上で、YouTubeとオンラインサロンではどう違いますか。

松隈 相互性に尽きますね。YouTubeだと、どうしても発信が一方的で一過性のものになりがちです。でも、オンラインサロンだと講師とメンバーの交流が継続的なので、関係性が作れます。

──実際にオンラインサロンでレッスンを行って実感したメリットはありますか?

松隈 まず、地方の人たちが気軽に学べるようになった点ですね。スクールは東京と福岡にしかないので、ほかの地域の人たちへもオンラインを通じて門戸を開けたのはよかったです。

始める前は、外出自粛で退屈してる人たちが、自宅で音楽を習えたらいいだろうなくらいに思ってたんです。でも、もっと熱量高く「スクランブルズから学びたい」と思ってくれてる人が全国各地にいた。これはうれしかったですね。

松隈ケンタ

あと、音楽やりたい人ってどっちかっていうと引きこもりがちなんで、家にいながら学べるのはよかったっぽいです(笑)。楽器や機材を背負って電車に乗ってリアルなスクールに行くのって物理的にハードルが高いじゃないですか。ギタリストとかならまだいいですけど、DTMを専門とするヤツらはもっとインドアだし、オンラインのほうが性に合ってる。

とはいえ、リアルな学びに敵うものはないとも思います。うちのスクールに来たら、プロの機材がゴロゴロ転がってて使い放題。講師の話を聞くにしても、オンラインと対面ではやっぱり違う。なので、オンラインもリアルも生徒の性格や状況に合わせて使い分けてもらえたらいいなと思いますね。

“ミュージックサロン”なのに、PayPayドームで草野球大会をするワケ

第二回スクランブルズベースボールリーグ 地区対抗トーナメント in 福岡PayPayドーム
「第二回スクランブルズベースボールリーグ 地区対抗トーナメント in 福岡 PayPayドーム」(本人提供写真)

──松隈さんのサロンは、部活動も豊富です。ゴルフ、フットサル、サバゲーなどいろいろありますが、中でも野球部は先日、福岡 PayPayドームを貸し切って草野球大会をしていました。

松隈 あれヤバいでしょ?(笑) サロン立ち上げ時にテーマがふたつあったんですよ。ひとつは「音楽の灯火を消さないぞ」。もうひとつが「PayPayドームで草野球の全国大会やるぞ」でした。

──プロ野球中継さながらの映像も配信してましたね。

松隈 プロのスタッフに撮ってもらって、選手テロップも出して、でも、プレイは素人。観たことない映像でしたね(笑)。電光掲示板に名前が載り、ウグイス嬢に名前を読んでもらう。参加メンバーもみんな感動してましたねぇ。

第二回スクランブルズベースボールリーグ 地区対抗トーナメント in 福岡PayPayドーム
「第二回スクランブルズベースボールリーグ 地区対抗トーナメント in 福岡 PayPayドーム」(本人提供写真)

──野球好きの人にとってはひとつの夢ですね。

松隈 そうですね。「音楽サロンなのに、なんでスポーツやるねん」ってよくツッコまれるんですけど、僕は音楽とスポーツって似てると思うんです。どっちの愛好家も一度はプロプレイヤーに憧れたはずで。一度は武道館で演奏してみたかったり、プロの球場でプレイしてみたかったりするじゃないですか。

そういう夢ってひとりでは叶えられないんだけど、サロンというかたちで人がたくさん集まれば、意外と実現できちゃうんですよね。

第二回スクランブルズベースボールリーグ 地区対抗トーナメント in 福岡PayPayドーム
「第二回スクランブルズベースボールリーグ 地区対抗トーナメント in 福岡 PayPayドーム」(本人提供写真)

ウチのサロンでは今のところ野球が一番盛り上がってるんですが(笑)、2022年は「音楽を盛り上げる」という最大の目的に向かって本格的に動きたいです。「『松隈ケンタのスクランブルミュージックサロン!!』全国ツアー」とかやりたいんですよ。スクランブルズももちろん演奏しますし、サロンメンバーもコピーバンドとかで出てもらいたい。

そしたら地方のメンバーとも遊べますし。ライブが終わったあとは飲み会やったり、翌日はまた草野球したりね(笑)。

サロンってどこか文化祭みたいな感じがしてます。ずっとみんなで遊んでる感じです。

裏方クリエイターも発信できるオンラインサロン

──クリエイター自身にとって、オンラインサロンの魅力とはなんでしょうか?

松隈 僕は裏方なのでそこに限った話をすると、普段表に出ないクリエイターもファンと接したり、自分の想いを発信できたりする場ということですね。

僕はもともとロックバンドをやってた人間なので、やっぱり音楽を通して、自分の思いをお客さんにぶつけたいタイプなんです。言いたいことがいっぱいある(笑)。ひと昔前だったら、そういう言いたいことはブログとかツイッターに書くしかなかったんですよね。実際、クリエイターの人ってブログの文章がめちゃめちゃ長いし、インタビューでもしゃべり過ぎちゃう(笑)。

でもオンラインサロンだったら、裏方クリエイターもファンと交流できて、自分の哲学やスキルを伝えられる。語弊があるかもしれないけど、今までだったら提供した楽曲を歌ってくれるアーティストを通して間接的にしか、自分の音楽や哲学は伝わらなかった。でもこれからは、もっとダイレクトに伝えていくことができるんです。自分の思ってることや、活動の裏側も見せられる。

松隈ケンタ

──なるほど。ところで、オンラインサロンに対して懐疑的な人たちって多いですよね。そういう層に対して、松隈さんはどうやってサロンをアピールしたいですか。

松隈 サロンをうさんくさいと思う人は、このインタビューをここまで読まないでしょ(笑)。

ただ、言うとすれば、そもそも人類のほとんどは感度が高くない。だからオンラインサロンカルチャーが盛り上がっても、中で何が起きてるのか全然理解できないんだと思います。それでも「成長したい」と強く思う人は、サロンに飛び込んでくれる。僕はそういう主体性のある人たちを迎え入れるだけですね。

松隈ケンタ、大学生を叱る

松隈 あと、僕は大学生にオンラインサロンを勧めたいんですよ。

──なぜですか?

松隈 最近の若い人が先輩の背中に学べる機会が圧倒的に減ってるからです。昔だったら半強制的に先輩や上司から、いろんな常識やスキルを教わる場があった。でも最近は時代的にそういう場が減ってますよね。

僕は先輩たちの「小言」で成長した実感がすごくある。だから、自分の音楽を好きだって言ってくれる後輩たちには、こういうことも伝えていきたいんです。

松隈ケンタ

そういえばこの間、社内の忘年会をしたんですけど、平気で刺身を残してた大学生を叱ったんですよ。「この飲み会は松隈さんのおごりだろうな」って察してたら、普通残さないでしょ? 皿の上で干からびた刺身を見て悲しくなりましたよ(笑)。

──確かにそれはちょっと寂しいですね(笑)。

松隈 先輩におごってもらえる飲み会では、食事はもちろん平らげるし、事前にヘパリーゼ飲んで、酔い潰れるつもりで来る。それが若い子のかわいげだったりするじゃないですか。

小さいことだけど、こういった“いい意味で非常識なマナー”って僕はあると思うんです。飲み会での振る舞いひとつにも、相手の気持ちが汲み取れるとか、場の状況が見られるとか、そういう人間性が表れる。そういうところに気をつけるだけで、全然違うよって知っておいたほうが得じゃないですか。

松隈ケンタ

オンラインサロンって憧れのクリエイターだったり、人生の先輩と交流ができる場所だから、若い人こそ利用して、いろいろ学んでほしいんですよね。サロンに入ったはいいけど、「松隈ケンタ、やっぱり合わねぇな」と思ったんなら、去ってもいいんですよ。ただ、少しでも興味を持ったサロンには、一度は飛び込んでみてもいいんじゃないかな、と思います。

松隈ケンタオンラインサロン

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CAMPFIREコミュニティは、月額制のオンラインコミュニティを誰でも作れるプラットフォーム。日本最大のクラウドファンディング「CAMPFIRE」で集まった仲間とつながりつづけたいという思いから生まれた。これまでに4500件ものコミュニティが作られ、ファンクラブをはじめレッスン、サロンや定期便など、さまざまなスタイルで運営されている。

今回のインタビューの様子を動画でもお届けします!

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安里和哲

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安里和哲

(あさと・かずあき)ライター。1990年、沖縄県生まれ。ブログ『ひとつ恋でもしてみようか』(https://massarassa.hatenablog.com/)に日記や感想文を書く。趣味範囲は、映画、音楽、寄席演芸、お笑い、ラジオなど。執筆経験『クイック・ジャパン』『週刊SPA!』『Maybe!』..