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元欅坂46・佐藤詩織がコロナ禍で“独立”した理由。相思相愛な人を「放っておけない」

2021.10.20
佐藤詩織

文=安里和哲 撮影=須田卓馬 編集=高橋千里


2010年代後半のアイドルシーンを席巻した「欅坂46」で“アート番長”として知られた佐藤詩織。グループ卒業後も、ディーン・フジオカのMV出演や、映像作品の完全セルフプロデュースなど、アーティスト・クリエイターとして活躍している。

コロナ禍にフリーランスとなって再出発した佐藤は、「なりたい自分になる、そんな出会いに」「クリエイターがファンとつながることで創作活動のための資金を継続的に得られるコミュニケーション」を掲げる「CAMPFIREコミュニティ」で『SHIOReal』を立ち上げ、ファンに向けてリアルな姿を発信している。現在の活動を始めた理由、そしてファンへの想いを聞いた。

佐藤詩織
佐藤詩織(さとうしおり) デザイナー/クリエイター/アーティスト/ダンサー。1996年生まれ、東京都出身。武蔵野美術大学在学中の2015年、1期生として「欅坂46」に加入。2020年10月グループ卒業後は、ディーン・フジオカ『Runaway』のMV出演や、映像作品『Be true to yourself』の制作、個展『SHIOResume』など、アーティストとして多方面で精力的に活動する
佐藤詩織

私ってハリケーンみたいな感じなんです(笑)

──昨年10月に欅坂46を卒業された佐藤さんですが、フリーランスのアーティスト・クリエイターとして映像作品を作ったり、個展を開いたり、精力的に活動されていますね。

佐藤 欅坂46を卒業するからには前向きに、すぐ次のステージに行かなくちゃと思って、卒業してわりとすぐに動き始めました。目標がないとダメな性格なので、映像制作と個展の開催を最初の目標にしましたね。

──2021年4月に発表された映像『Be true to yourself』は完全セルフプロデュースだったそうですが、制作は大変でしたか?

佐藤 意外とそうでもなくて、とにかく楽しかったです。欅坂46のときにMV撮影でスタッフの方々のお仕事を間近で見させてもらったおかげで、順調に進められた気がします。

自分で企画書を作ったり、イメージを共有するための絵コンテを描いたり、衣装デザインもしました。香盤表(撮影のスケジュール表)も自分で書きましたね。結果的に、イメージどおりの映像ができたのでよかったです。

──メイキング映像では、羽を飛ばすのに苦労される様子が映っていました。

佐藤 そうなんですよ! 羽を使った映像ってよく観るから、そんなに難しいと思ってなかったんですけど、思いどおりに羽を動かすのが意外と難しくて。

撮影直前に、準備した量じゃ羽毛が足りないってわかって焦りました。急いで枕を買いに行って、カバーを裂いて羽を出したんですけど、枕の羽って黒いのも混じってるじゃないですか。徹夜してひとりで1枚ずつ取り除きました(笑)。

佐藤詩織 「MAKING OF Be true to yourself」撮影日メイキング前編

佐藤 思い返すとアイドルのときは、MVやCM、『欅って、書けない?』(テレビ東京)でも、いつも現場ではスタッフさんが風を送ってくれたり、小道具の準備をしてくれたり、食べるものまで用意してくれていたんですよね。

当時からそういう苦労をされていることは知ってたけれど、実際に自分で経験してみて、想像の何十倍も大変だって実感しました。

──佐藤さんは武蔵野美術大学を卒業されていますが、絵画はもちろんのこと、写真も『二科展』で入賞される腕前です。フリーランスとして最初の作品に、なぜ映像を選ばれたんでしょうか。映像では佐藤さんご自身が踊っていますが。

佐藤 4歳から15歳までクラシックバレエをやっていたからか、自分の思っていることをダイレクトに表現できる一番の方法が、“踊り”なんです。だから自分の今の気持ちを表す“踊り”を記録するために、映像を選びました。

撮影のときは『glee/グリー』(Fox)で使用された「Defying Gravity」という曲に合わせて、即興で踊りました。日本語訳だと「自由に前向きに走り出す」っていう歌詞で。欅坂46を辞めて一歩踏み出す瞬間の私を残しておきたくて、この曲で踊りました。

佐藤詩織

──今はグループを辞めてフリーランスで活動されていますが、ひとりでやっていくことに不安は感じませんでしたか?

佐藤 大きな不安を感じることはなかったです。グループは離れましたけど、ひとりで活動しているかというとそんなこともないんですよ。

個展の制作は“ザキさん”っていう友達に手伝ってもらいましたし、映像の編集も大学時代の友達にお願いしました。映像で着ている衣装の制作も、高校時代の友達に頼んだらたまたまタイミングが合って手伝ってもらえたりして。

たぶん、私ってハリケーンみたいな感じなんです。みんな気づいたら私の活動に巻き込まれていた感覚だと思います(笑)。

コロナに翻弄された欅坂46時代

佐藤詩織

──欅坂46の卒業前、佐藤さんは留学のために活動休止することを発表されましたよね。しかし、コロナ禍で留学を一度諦めざるを得なかった。

佐藤 そうですね。昨年1月に一度グループを休ませていただいたときは、3月末に留学する予定だったんです。昔からずっとアートを学ぶためにイギリスに留学したかったんですよね。実際、そのために活動休止の1年くらい前から英会話にも通っていたし、荷造りも済んでいたんですが、直前にコロナで海外渡航がダメになってしまって。

でもありがたいことに、当時のスタッフさんが「病気で休んでるわけじゃないし、もしよかったら(欅坂46に)戻ってこない?」と言ってくれたので、一時的に復帰させてもらいました。

──欅坂46のライブも無観客のオンライン配信で行われました。

佐藤 私が復帰して10月に卒業するまで2回オンラインライブをしたんですけど……なんて言うんだろう……すごく寂しいというか、お客さんの前でライブしてた日々がどれだけ幸せだったんだろうって。

佐藤詩織

──しかし困難な状況にもかかわらず、オンラインならではの魅せ方も工夫されてて、観応えのあるライブでした。

佐藤 ありがとうございます。いつもお世話になっていた演出家さんが「この状況をマイナスに捉えるんじゃなくて、オンラインライブだからこそ観せられる欅坂46の強さを考えよう」って、かっこいい演出でライブをさせてもらえました。

メインステージだけじゃなくてアリーナも全部使ったり、大きな幕を下ろして映像を投影したり、いろんな観せ方にチャレンジしましたね。会場を広く使うぶん、遠くにいるメンバーと踊りを合わせるのが難しかったり、会場が暗いので立ち位置を覚えるのに苦労したり。

でも、毎回素晴らしい演出を考えてくださっていたので、いつも新鮮な気持ちのまま、最後までパフォーマンスさせてもらえたなと思っています。

佐藤詩織

──握手会も開催できない状況がつづいています。

佐藤 握手会はファンの方の声を直接聞けるとても大切な機会でした。曲やMVを公開しても、ネットだけだと誰に届いたのか、どんな感想を持ってくれたのかってなかなかわからないんですよ。もちろん数字では出てくるけど、実感しづらいというか。

でも、握手会ではファンの方が「こういうところが好きでファンになりました」とか「こういうきっかけで応援するようになりました」って直接伝えてくれるので、それがすごく励みになりました。

私は結局ファンに会えないまま卒業してしまったので、それがすごく心残りで……。フリーランスとしてやっていく上でも、昔からのファンが「佐藤詩織を応援してよかった」って思えるために何ができるかっていうところは、ずっと考えています。

「ファンってほんとすごいんですよ!」髭男ファン・佐藤詩織の実感

佐藤詩織

──卒業してもファンを大切に思っていることが、お話を伺っていてすごく伝わってきます。

佐藤 いやいやいや、全然足りないくらいです。ファンの方ってほんとに……ほんとにありがたい存在なんですよ! 本当なんです、これは。私、嘘は言ってないです。

──疑ってないですよ(笑)。

佐藤 みんな、汗水流して働いたお金を使ってくれているんです。欅坂46の握手会のときだって、一度握手するのにもすごいお金がかかるんですよ、こんなこと言っていいのかわからないですけど(笑)。

遠方からわざわざ来てくれる人は、交通費や宿泊費までかかるし。全部含めたらすごいお金になるわけじゃないですか。

握手会にお花を贈ってくれるファンの方もいて……。「しゅくか」って言うんですか? 未だに読み方がわからないんですけど……“祝う”に“花”って書くやつ。私、食べ物で一番カニが好きなんですけど、女の子のファンの方がカニをかたどった祝花をくれたりして、すごいですよね。

佐藤詩織

ペンライトカラーが青と紫だったから、その色のお花をくれる人もいました。青と紫って、染めなきゃいけないからオーダーも大変なんですよ。それほどの想いを持ってくださるファンって、とにかくありがたいんです。

私自身、誰かをガッツリ推す経験ってなかったんですけど、少し前から髭男さん(Official髭男dism)にハマって、ファンの方の気持ちがすごくわかるようになったんです。ファンってほんとすごいんですよ。

──佐藤さんとファンが想い合ってきたことがよく伝わります。

佐藤 ふふふ(笑)。相思相愛です!

佐藤詩織

「応援してくれる人たちを放っておけない」

──コロナ禍でファンとの関わり方も変化したと思うのですが、いかがですか?

佐藤 私の場合はコロナ禍というよりも、アイドルを辞めたことによる変化が大きいです。アイドル時代は禁止されてたSNSを、今年1月から始めたんですけど、それは映像作品を出す前に少しでも話題にしておきたかったからなんですよ。

そしたら欅坂46のときに握手会に来てくれていたファンの方が、フォローしてメッセージまでくれて、それがすごくうれしくて。私、当時会いに来てくれていた方の顔と名前は今でも覚えているので、「まだ私のこと好きでいてくれたんだ」って感動しちゃって。

佐藤詩織

コロナ禍で仕方のないことだったけれど、握手会はもちろんライブでも会えないまま卒業されたら、ファンを辞めてもおかしくないと思うんです。それでも応援してくれる人たちを放っておけないじゃないですか。

それで、ファンの方々に向けて発信するために、CAMPFIREコミュニティで『SHIOReal』を始めました。

──『SHIOReal』はその名のとおり、佐藤さんのリアルな姿が観られるコミュニティですよね。インスタグラムでは、会員限定の写真はもちろん、インスタライブも行われていて。素の表情を観られて、ファンはうれしいんじゃないかと想像します。

佐藤 顔を出して配信するのって苦手だったんですけど、ファンの方は動いている姿を観られたほうがうれしいのかなって思って始めました。私も、髭男さんが動いている姿を観ると、「現実にいらっしゃるんだなぁ……」ってうっとりするので(笑)。

──今後イギリス留学が実現しても、ファンの方々との交流がつづけられるのでいいですね。

佐藤 成長する姿をお見せできたらいいですね。

佐藤詩織

──欅坂46を卒業するころに掲げていたふたつの目標、映像作品の制作と個展の開催を実現できた佐藤さんの今後の目標はありますか?

佐藤 ゆくゆくは自分のブランドを持ちたいなっていう気持ちもあります。アートとファッションを融合するようなイメージなんですけど……。

自分が描いた絵を洋服に落とし込んでみたいんです。万人受けっていうよりはコアな感じになってしまうかもしれないですけど、毎日着るもの、お洋服だったら、アートをより身近にすることもできるのかなって。

でも、30歳になるまでは、とにかく自由に生きたいなと思っています。美術留学はもちろんですけど、ほかにも興味のあることやってみたいことを、ためらわずにやっていきたい。30代以降の長い人生を生きていくための、地盤を固める20代にしていきたいです。

佐藤詩織

「CAMPFIREコミュニティ」とは

CAMPFIREコミュニティは、月額制のオンラインコミュニティを誰でも作れるプラットフォーム。日本最大のクラウドファンディング「CAMPFIRE」で集まった仲間とつながりつづけたいという思いから生まれた。これまでに4500件ものコミュニティが作られ、ファンクラブをはじめレッスン、サロンや定期便など、さまざまなスタイルで運営されている。


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    【連載】クリエイターズChoice -変化と挑戦-<CAMPFIRE×QJWeb>

    最前線で活躍するクリエイターたちは、めまぐるしく変化する現代において、どのように“創作”に向き合い、どんな方法で数々の困難を打破しているのか。

    直面した課題と解決法、見据える未来を聞く、CAMPFIRE×QJWebインタビュー連載。変化を恐れず、時代に合わせて挑戦をつづける、表現者たちの今を追う。

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    2021年10月20日(水)〜2021年10月30日(土)
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