蛙亭・中野「僕がなにをすればネタをもっと面白く見せられるか」

2021.10.12


『SLAM DUNK』の流川楓になりたいんですよ

——『キングオブコント』のYouTubeチャンネルに上がっている密着動画には、遅刻中のイワクラさんとLINEでネタ合わせする様子が映っていて新鮮でした。

中野 あのときは、かけるネタは事前に決めてたんで、当日会って微調整するはずだった部分をLINEでやり取りしてました。「ここ削ろう」とか「こことここ、くっつけるわ」っていうのを伝えて、イワクラには道中でイメトレしておいてもらえたらなぁ、と。ネタという“作品”を見てもらう場では、しっかり作り込んでおかないといけないですよ。普段のネタを“作品”と思ってるわけではないですけど、やっぱり賞レースは品評会といった雰囲気がどこかあるんですよね。

——ラジオで、イワクラさんに「いっしょにネタを作ってる自覚がない」「自覚があるなら、前日にネタを聞くのは遅い」と怒られてましたが、あれから中野さんの心境に変化はありましたか?

中野 結構……はい。ぐいっと関与するようになりましたよ。もともと喫茶店で「なにする?」と話し合うコンビではないんですけど、タイミングを見計らってネタの話をしてみたりしてます。でもクールなほうがカッコいいんで、相変わらずネタには消極的ってことにしておいてください。

——中野さんはクールキャラになりたい。

中野 『SLAM DUNK』の流川楓みたいに、ちょっとクールに構えてたいというか。イワクラは桜木花道で「俺がバスケットマンだ!」ってタイプですけど、僕は「あっそ……」って言いながら、内側で滾らせてるタイプでいたいです。

——なるほど。『キングオブコント』優勝のために、中野さんが力を入れてるポイントも聞きたいです。

中野 結成から10年経って僕も自分の色とかアイデアを足せるようになったんで、そこを続けることですかね。昔はイワクラの作ったコントの世界観を壊さずに、どうやって伝えるか考えるので精一杯だったんですよ。でも、ある時期から僕がなにをすればネタをもっと面白く見せられるかという視点に切り替わりました。

——なぜ変化したんでしょうか?

中野 イワクラが僕にキャラを当て書きするようになって、自信がついたからですね。ここ1~2年のことなんですけど、設定とキャラだけあって、アドリブでやるコントが増えて、そこでウケてきたのが自信につながった。それでようやくコントで自分を出せるようになりました。

——中野さんへの当て書きが増えたのってどうしてなんでしょう。

中野 初めてそういう作り方をした「マッチングアプリ」のコントがハマったのがデカいと思います。あのネタはとにかく僕の見た目が強烈なんですけど、そのインパクトに負けないくらいしゃべれたんですよ。昔は「このセリフ思いついたけど、言っていいんかなぁ」と迷ってたんですけど、「言っちゃうぞぉ!」と前のめりになりましたから。もともと、スベるとかあんまり気にするタイプではないんですけど、最近はますます気にならないです。

貫禄が出てきたタイミングで賞レースの審査員になりたい

蛙亭・中野周平

——中野さんって本当に動じないと聞いたのですが。

中野 動じてもしょうがないですからね。逆に動じることを求められると困るんですよ。たとえば、初対面の大御所が来ると若手は緊張してアタフタするんですけど、僕は平常心なんです。だから、みんなに合わせて動じたフリをするのが、めっちゃめんどくさかったりしますねぇ。

——中野さん演じる「無敵のヤツ」も、動じなさが凄まじいなと思うんですが、あえて言語化するとどういうキャラクターになりますか?

中野 誰かと比べたりしない、自分が絶対的にある人ですかね。「マッチングアプリ」だったら、素敵な女性と出会いたいっていう目的以外はなにも考えない人。相手にとって自分が外れだとも思わないし、相手と自分のランクが上とか下とかも考えない。だから「変な人ですね」って言われても平気ですし、かといって「かっこいいね」と言われても無意識に受け流しちゃうんです。イワクラとは昔から「無敵の感じでお願い」って言えば、お互いニュアンスは伝わってきたので、改めて言葉にするのは難しいですけど。

——あれも中野さんと共通する部分が大きいのかなと。

中野 どうですかね。「無敵のヤツ」の動じなさと、僕の動じなさってちょっと違うような気もするんですけど……。でも、人はみんな「無敵のヤツ」になるべきだと思います。僕もやっててめちゃくちゃ楽しいんですよ。こういうヤツになりたいです。

——ほかにご自分に近いなって思うキャラクターはいますか?

中野 いないですねぇ。素の僕はまったく面白くないんですよ。普段そんなしゃべんないですし。「素でやってください」が一番困るかもしれないです。

——映画出演やナレーション仕事など、活躍の場が広がってる中野さんですが、今後の野望ってありますか?

中野 映画もナレーションも楽しいんで、引き続きやらせていただきたいですけど、やっぱり今は『キングオブコント』で優勝したいのが一番ですね。優勝したら全国ツアーやりたいです。そしたら、40歳頃かなぁ。貫禄が出てきたタイミングで賞レースの審査員になりたい。責任重大なんで、敬遠される方多いですけどね。でも「中野なら納得」って言われるポジションかっこいいじゃないですか。レジェンドしか座れないあのポジション、目指してますよ。

——「中野さん、審査員お願いします」とオファーされたら……。

中野 「めんどくせぇなぁ。審査員やっても損しかねぇからなぁ……。しょうがない、ひと肌脱ぎますかぁ」って感じで引き受けたいです。

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安里和哲

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安里和哲

(あさと・かずあき)ライター。1990年、沖縄県生まれ。ブログ『ひとつ恋でもしてみようか』(https://massarassa.hatenablog.com/)に日記や感想文を書く。趣味範囲は、映画、音楽、寄席演芸、お笑い、ラジオなど。執筆経験『クイック・ジャパン』『週刊SPA!』『Maybe!』..

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