サンドウィッチマン、グレープカンパニーの10年を経て思う「休み休み行こう」

2020.2.1
サンドウィッチマン_bn_2019

文=浅野智哉 撮影=木村心保


2010年7月に設立されたグレープカンパニー。その創立メンバーにして、不動のトップであるサンドウィッチマン。彼らの存在感と活躍が事務所のパワーの源であることに間違いはない。屋台骨を支えつづけ、カミナリなど若手の成長を見届けてきたふたりは、設立10年が近づいてきた今、何を思うのだろう?

事務所立ち上げ時の思い出や後輩たちへのエールを交え、グレープカンパニーのこれまでとこれからを、初めて語った。そんな2019年のインタビューをお届けします。

※本記事は、2019年2月22日に発売された『クイック・ジャパン』vol.142掲載のインタビューを転載したものです。


本気になるのは周りが辞めるか売れるとき

――事務所の創立当初はサンドウィッチマンのほかに芸人はいたのですか?

伊達 育成に近いかたちで若手が何組かいました。でも、ちゃんと所属して仕事があるのは僕らだけ、みたいな感じでしたね。

富澤 実質的には個人事務所っぽい構えだったと思います。

伊達 将来の展開とかまったく考えていませんでした。拡大路線でいこう!とか言われても拡大の仕方を知りません。とりあえずいつもどおりやっていこうと。集まってきた若手芸人も以前からの仲間ばかりで、新しい事務所とはいっても気持ちのうえではほとんど変化はなかったです。

富澤 だけど、まともに仕事しているのがサンドウィッチマンひと組だけというのは少々、不安ではありました。もし僕らになにかあったらグレープカンパニーは終わっちゃうなと。早く若手で誰か世に出てくれるといいなと願っていました。

伊達 僕らがTVや舞台で頑張っている間、事務所はネタ見せオーディションで、着々と新しい芸人を採っていきました。いろんなのがいたけどね……。

富澤 最初は掃きだめ感がすごかった。見渡してもまともなやつがいねぇな、みたいな。

伊達 ははは!

富澤 当時はほかのところで売れなかった芸人がグレープカンパニーに来るっていう雰囲気がありましたね。芸人の層が薄いので、事務所ライブとか、すぐに舞台に出られるチャンスがあると思われていたんでしょう。

伊達 そんな甘いもんじゃないよね。

――やがてサンドウィッチマン以外の所属芸人がぽつぽつ人気者になっていきます。

伊達 まずトミドコロが『めちゃ×2イケてるッ!』のレギュラーオーディションで世に知られるようになったんですね。続いて永野くんもブレイクしました。そして2016年はM-1グランプリをきっかけにカミナリが売れました。ほかには八幡カオル、田中光、シオマリアッチが活躍するようになり、わらふぢなるお、あぁ~しらき、東京ホテイソンなど、賞レースで準決勝以上へ行く芸人が続いています。いい具合に活気づいてきてますね。

富澤 事務所をつくったころグレープカンパニーの社名の由来をスタッフに聞いたら、ひと粒ひと粒は小さいけど集まったら立派な果実になる、グレープのような組織をイメージしていると聞きました。10年近く経って、なんとかその状態に近づいてきたのかなと思います。

伊達 最近は、うちの後輩たちもTVに呼んでもらえる機会がぐっと増えました。事務所の冠番組をやらせていただいたり、こうして特集を組んでもらえるなんて数十年前は想像もしてなかった。本当にありがたいです。

――現在は大手にも並ぶ、お笑い芸能事務所へと成長しています。

伊達 みんなでやってきた結果ですね。でもここ何年かの成果は、たまたま。単純に奇跡が続いているだけだと思っています。

富澤 事務所側は売れっ子をいっぱい出したい思いは当然あったと思うんですけど、それは意識してどうにかできるものでもないし、難しいですよね。僕たち芸人は仕事を必死に頑張って、ネタをつくりつづけるだけでした。そうしているうちに自然と今の結果がついてきた、という感じじゃないでしょうか。高橋英樹さん・真麻さん親娘がウチに所属されるなんて、考えてもみなかったね。

伊達 本当だよな。英樹さんは芸歴57年! 僕の父親と同い年の、大先輩ですよ。

富澤 うちらより上がずーっといなかったのに、いきなりものすごい上の人が来ちゃった。でも事務所では後輩だから。英樹さん、グレープライブに出てくれるかな?

伊達 出てくれるわけないだろ! 何番手で出てもらうんだ。

富澤 もしご本人が出たいと言われたら、遠慮なくお願いしたいですね。

伊達 めちゃくちゃウケそうだなぁ。

――今や無名の芸人には、グレープカンパニーは大手に匹敵する憧れの事務所になっていると思います。

伊達 全然、そんなことないですけど。ただ、ネタ見せオーディションに来る芸人は格段に増えましたね。多すぎて今はストップしているみたいです。

富澤 きっかけはやっぱり、カミナリ(編注:2011年所属)の出現でしょう。

伊達 グレープカンパニーの生え抜きの若手で売れたのはあいつらが最初になります。急成長でしたね。売れる直前まで、僕らの単独ライブの手伝いをしていました。

富澤 カミナリがTVに出まくるようになって、ウチの若手がみんな刺激されたのか、競争し合ういい空気になりましたね。

伊達 そうそう。カミナリの芸歴は、グレープカンパニーのなかでは若いほうなんですよ。後輩に抜かれたヤツらが、大勢います。それまでアットホームな感じでやっていたけれど、触発されて「カミナリに負けてられるか!」と、今まで以上に全員ネタづくりに向き合うようになりました。

富澤 僕らが世に出られたころと同じです。仕事のない若手芸人が笑いの本気のスイッチが入るときって、関係の近い仲間が辞めるか、売れたとき。すると「やばい!」と危機感があおられて、必死になるんです。

伊達 僕たちのきっかけは、他事務所ですけどU字工事でしたね。ずっと同じライブに出ていて、よく遊んでいた仲のいい後輩があっという間に全国区の人気者になりました。東京ダイナマイトさんが初めてM-1の決勝に上がったときも、誇らしかったのと同時に俺たちもやらなきゃ!と焦りました。

富澤 身近な人たちがすごい結果出しているのに、自分らはどうするんだと。やるか辞めるかで悩んで、結局やる。

伊達 そういう本気のスイッチが入って、グレープカンパニーの下のほうがいい意味でライバル心をぶつけ合うようになってきました。事務所内で切磋琢磨が始まったのはとてもうれしい変化です。

「“いい先輩”ってどういうの?」という模索


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浅野智哉

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