安藤政信“仕事の流儀”
「MIRRORLIAR FILMS」の企画には、「だれでも映画を撮れる時代の幕が開く」というコピーが掲げられている。今回の『MIRRORLIAR FILMS Season1』にも、メジャー・インディーズを問わないばかりか、職種も異なる人々が参加。安藤は自身の信条を胸に、この企画を、ひいては今の時代を、冷静に見つめている。
*
──「だれでも映画を撮れる時代」をどう捉えていますか?
安藤 実際に撮ってみるというのは、今の時代のトレンドですよね。たとえば写真の話になりますが、誰かがインスタグラムに写真を投稿したとする。その方は一般的には無名だけど、それを目にした誰かの中では特別な人になることがあると思うんです。気軽にアップした写真が誰かの中では美しい景色に、アート作品になっていることがある。
──発信しなければ始まらない、ということでもありますよね。
安藤 そう。でもこんなふうに、「だれでも映画を撮れる時代」だからこそ、どう撮るかが重要だと思うんですよね。写真は生活の中で誰にでも撮れる間口の広いもの。でもだからこそ、透徹した美意識を持ったプロがいるのだし、そこには「表現」として成り立つものが確実に存在すると思うんです。映画も同じで、誰にでも撮れるからこそ、間口が広くなったからこそ、センスや才能、伝える力が求められていて、誰にでもはできないものがあるんじゃないかな。
そこで僕は、誰かが持っていないものを自分は持っているんだと信じて、俳優としても、写真家としても、映像作家としても自信を持って発信するべきだと強く思っています。これに関しては、謙遜しないほうがいいなと。自信を失くしたり、「いや、自分は大したことないですよ」と言ったりするのは、受け取ってくれる人々に対してすごく失礼なことなんです。だからこそ、自信を持っていようと思っています。
──安藤さんは現在、フリーで活動をされていますよね。コロナ禍の今、何を考えていますか?
安藤 「この先どうなっていくんだろう」と僕が思ったのは、一度目の自粛のときくらいかな。あのときは確かに不安がありました。でも今は、もう元には戻らないと思うし、仕事の取り組み方は全体的に変わったけれども、ある種、今までどおりにやりつづけるしかないなと思います。仕事のこともクリエイティブのことも、もっともっと貪欲になっていかなきゃいけないな、と考えるようになりました。そうしないと、心が負けてしまうと思うんです。もちろん、立ち上がれない人だっている。全員が全員、立ち上がれるわけではないと思いますけど。
──安藤さん自身は、ポジティブな心持ちでいたいと?
安藤 そうですね。フリーになったことに関しては、これまで以上に自由に動くことができるようになったと感じています。これまでお世話になってきた事務所の人たちとも交流はつづいているし、むしろ辞めてからのほうがいい関係性を築けていると思っています。確かに、フリーという立場は不安なことが絶対にある。クリエイティブの世界は無限ではないし、競争もある。しかも、イスがひとつしかないことも多い。でも僕は、そのイスに座れる自信があるというか、イスさえあれば必ず座れるはずだと考えているんです。そこは図々しいかもしれないけど(笑)。でもプラス思考だからか、「座れないかも……」とはどうしても思えないんですよね。やればやるだけ、イスが増える気がしています(笑)。
──安藤さんの“仕事の流儀”ですね。
安藤 一緒に仕事をした人に対しては、絶対に感謝と尊敬の念と愛情を忘れません。これはすごくシンプルなことで、仕事の内容どうこうよりも、まず相手を思うこと、相手のアクションに対して、どうアンサーするかが大切。感謝と尊敬の念と愛情を持ちつづけていたら、必ずイスを空けてくれるというか、イスに招いてもらっているような感じがあります。敬意を持って仕事に臨めば、絶対につづけていける。そう思っています。フリーだろうがなんだろうが、まずは人を愛すことです。
安藤政信
(あんどう・まさのぶ)1975年生まれ、神奈川県出身。1996年、北野武監督の映画『キッズ・リターン』で主演を務め俳優デビュー。主な映画出演作に『バトル・ロワイアル』(2000年)、『69 sixty nine』(2004年)、『花の生涯 梅蘭芳』(2008年)、『スティルライフオブメモリーズ』(2018年)など。近年のドラマ出演作に『あなたの番です』(日本テレビ/2019年)、『麒麟がくる』(NHK/2020〜2021年)、『ボイス 110緊急指令室』(日本テレビ/2021年)など。
■衣装
カットソー¥17,600、パンツ¥50,600、ベルト¥22,000
YOHJI YAMAMOTO/ヨウジヤマモト
お問い合わせ先:ヨウジヤマモト プレスルーム
TEL:03-5463-1500
シューズ¥35,200
ASICS RUNWALK
お問い合わせ先:アシックスジャパン株式会社 お客様相談室
TEL:0120-068-806
-
映画『MIRRORLIAR FILMS Season1』
2021年9月17日(金)より全国順次公開
監督:安藤政信、枝優花、武正晴、⻄遼太郎、花田陵、針生悠伺、藤原知之、三吉彩花、山下敦弘(五十音順)
出演:安藤政信、飯島望未、宇野祥平、奥村心結、春日潤也、河井⻘葉、木村多江、友近、永井理子、仁村紗和、本田響矢、水澤紳吾、森川葵、山口まゆ、山田孝之、山中蓮名、山本浩司、山本剛史、横田真悠、吉田美月喜、渡辺大知、渡辺哲(五十音順)
配給:イオンエンターテイメント
(c)2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT関連リンク
関連記事
-
-
天才コント師、最強ツッコミ…芸人たちが“究極の問い”に答える「理想の相方とは?」<『最強新コンビ決定戦 THE ゴールデンコンビ』特集>
Amazon Original『最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ』:PR -
「みんなで歌うとは?」大西亜玖璃と林鼓子が考える『ニジガク』のテーマと、『完結編 第1章』を観て感じたこと
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会『どこにいても君は君』:PR -
「まさか自分がその一員になるなんて」鬼頭明里と田中ちえ美が明かす『ラブライブ!シリーズ』への憧れと、ニジガク『完結編』への今の想い
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会『どこにいても君は君』:PR -
歌い手・吉乃が“否定”したかった言葉、「主導権は私にある」と語る理由
吉乃「ODD NUMBER」「なに笑ろとんねん」:PR