<シリーズ大宮セブン#7>囲碁将棋「サンドさんと営業回って、俺らもマヂラブも変わった、お客さんを見る芸人になった」



大宮セブン内で一番歳上なので

──ジェラードンさんにお話を伺うと、「大宮セブンのライブでは囲碁将棋さんがいろいろ仕掛けてくる」と。

文田 まあ、根建ですね。僕はわりと平和主義者というか、「変なことするなー」と思いながら制す、方向性を戻すほうだと思う。

根建 僕、文田、福井(俊太郎、GAG)が大宮セブン内で一番歳上なので、みんなをけしかけることもあるのかもしれないです。野田(クリスタル、マヂカルラブリー)くんのほうが芸歴はちょっと上ですけど、彼は年下なので。

みんなをけしかけることもあるのかもしれないです(根建)
けしかけるというより、率先して事を起こすタイプの根建

文田 でも根建よりも、やっぱり福井だよな。

根建 すべてを担ってるのが福井だと思いますけどね。心臓部。

文田 福井がリーダー。でも福井は「囲碁将棋さんがやってください」って言う。今年のセブンツアー(大宮セブン初の全国ツアー)で何をやるか話し合おうとなったとき、誰も意見を出さないもんだから、社員さんに頼まれて僕が意見をまとめる役になったんですよ。仕方ないから僕が直接福井に聞いて、野田くんに聞いて、って一人ひとりヒアリングしたやつを、みんなの意見だよって集まったときに出したんです。でも、そのときになるとみんな知らんぷりする。

根建 はははは!

文田 「あれ、これ福井と話したじゃん」とか言っても、急に照れたりして。大宮セブンはそういうユニットです。

東京に引っ越すとき、マネージャーにちょっと怒られました(文田)
「大宮セブンツアー」に際し、学級委員のような役を請け負っている文田

マヂラブ優勝直後の「ほうき-1グランプリ」

──大宮セブンのライブはちょっと特殊というか、他のライブとはテイストが違いますね。

根建 まあちょっと、実験的なライブは多いですよね。

文田 マヂカルラブリーが『M-1』優勝した直後の、初めてのお客さんで7、8割埋まっていた『大宮セブンライブ』で、たまたま僕らがコーナー担当で(注:大宮セブンライブは芸人が持ち回りでコーナーを担当する)。僕らそこで、「ほうき-1グランプリ」というのをやったんです。

──ほうき。

文田 「アントニオ猪木はほうきと戦っても客を盛り上げる」というエピソードにならってほうきと漫才をするコーナー。マヂカルラブリーの漫才観たくて来てるお客さんが大半の前でネタを一切やらずに……。で、終わってエゴサーチしたら「すごい変な企画だったけど、あれをやっちゃう磁石ってすごいな」って、まず僕ら、磁石さんと間違えられてたんですよ。

根建 はははは!

囲碁将棋(左/文田 右/根建)
僕ら、磁石さんと間違えられてたんですよ(文田)はははは!(根建)

──内容どうこう以前に(笑)。おふたりが加入したころはそれほど人気がなかった大宮セブンが今こうして注目されている現状について、どんなふうに感じていますか?

文田 いやもう、ラッキーでしかないです。去年すゑひろがりずがブレイクしたとき、すゑひろがりずってむちゃくちゃいい芸人だなと思ったんですよ。ふたりはYouTubeのゲーム配信で人気が出たこともあって、違うマーケットからお客さんを連れてきてくれた。そうやって新しく来た、普段お笑いを観ていなかった人たちが、ライブに出てる全組を観て笑ってくれるいいお客さんだったんですよ。もしもすゑひろがりずでしか笑わない、彼らの出番が終わったら帰る、そういう人だけが大量に増えていたら、大宮セブンは解体してたかもしれない。

囲碁将棋(文田)
「ほうき-1グランプリ」はライブ内では「H-1」と「M-1」を意識した表記で開催された

根建 たしかにな。

文田 そのいい雰囲気はマヂラブ優勝後もつづいてて。「ほうき-1グランプリ」でも、もちろん「何やってんの?」と思う人もいるけど、笑ってくれる人もいますし。

──新しいお客さんも、大宮の特殊性になじんでいる。

文田 大宮って良くも悪くも、あんまりお客さんに気を遣ってないんですよね。すぐ裸になるのも、そうじゃないですか。嫌っていう人はいるかもしれないけど、構わず裸になっちゃうっていう……。そこまで過激なことはやってないけど、でも好きにやってるのが特徴だなとは思います。

根建 最初のころはマヂカルラブリーですら人気がなかったから、お客さんがどう思うかとか、誰も気にしてなかったんですよ。だから全員「別に」という感覚が根底にあるんじゃないですかね。

文田 そういうニュアンスあるよね。初代大宮セブンのブロードキャスト!!さんとかサカイストさんのようにポップな人気のある人たちに対するアンチテーゼ的な存在というか。「今さら俺らがライブでカラオケやってお客さん呼んでどうすんの?」みたいな感覚が、いまだにみんなにあるんじゃないかなと思います。

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釣木文恵

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