画面を整理するのは“引き算”のデザイン
──ゲーム作品からの影響も大きいと聞きました。
岩田 メンバーがみんなゲーム好きなので、かなり影響を受けていると思います。ゲーム作品って、プレイヤーが状況を把握しやすいように情報の見せ方とかデザインがすごく凝ってるんですよね。
西尾 「1週間逃亡生活inアメリカ」の途中で入れている状況整理のアニメーションは、『グランド・セフト・オート』シリーズ(※8)とか『アサシン クリード』(※9)あたりの影響だよね。
※8:クライム・アクションゲームの草分け的存在。暴力や窃盗などの描写の過激さとプレイヤーの自由度の高さが話題を呼び、1997年に第1作が発売されて以来、長年にわたってゲームファンに愛されている
※9:シリーズ累計7600万本の売り上げを誇る潜入アクションゲーム。「パルクール」の動作に重点が置かれており、臨場感あふれる戦闘シーンが特徴的
土井谷 「心霊スポット生活」の第3弾も、『OUTLAST』(※10)、『バイオハザード』シリーズ(※11)あたりのホラーゲームをイメージしています。
※10:ジャーナリストの主人公が閉鎖病棟に潜入し、敵から逃げ回りながら施設内を探索するサバイバルホラーゲーム
※11:ゾンビに追われる絶望的な状況からあらゆる手段を使って生還を目指すサバイバルホラーゲームの代表的作品。1996年にPlayStationで発売されて以降、実写映画などさまざまな形で商品展開されている
──「樹海の奥地にある、少し不思議な村で1週間生活してみた。」シリーズはどうですか?
岩田 昔、フジテレビの深夜にやってた『放送禁止』(※12)っていうフェイクドキュメンタリーの作品があるんですけど、その作風とかカメラワーク、編集はかなり意識しています。
※12:2003年からフジテレビ系列で不定期放送されている深夜番組。「ある事情で放送禁止となったVTR」という設定のフェイク・ドキュメンタリーで、一部の視聴者にカルト的人気を誇る
土井谷 中学生のころ、みんなで誰かの家に集まって観るくらいハマってたよね。「しじんの村」っていうエピソードが特に好きで、それは今回の動画制作にあたってまた観直しました。
飯野 「樹海村」は、音楽でいうと『ひぐらしのなく頃に』(※13)をイメージしています。ちょっと儚さがある感じの、ピアノ調の音楽。Netflixの『世界の“現実”旅行』(※14)とか『ワイルド・ワイルド・カントリー』(※15)というドキュメンタリーもBGMの参考にしました。
※13:過疎の村・雛見沢村で起こる連続怪死・失踪事件を描いたゲーム作品。さまざまな伏線が隠されたミステリーとして注目を集め、漫画やアニメ、実写映画などメディアミックスも盛んに行われている
※14:Netflixのドキュメンタリー番組。ジャーナリストのデヴィッド・ファリアーが核爆弾投下により出来上がった湖や呪われた樹海など、世界各地の一風変わった不気味な観光地をめぐるシリーズ
※15:およそ30年前、オレゴンの荒野に建設されたカルト集団の「理想郷」をめぐる地元住民との摩擦やスキャンダルを描いたNetflixのドキュメンタリー番組
岩田 画面作りに関しても、テレビよりもNetflixを参考にすることは多いよね。テレビ番組はテロップをたくさん入れたり情報がギッシリ詰まってる印象だけど、Netflixのドラマやドキュメンタリーの編集は画面に余計な情報を入れない“引き算のデザイン”で、そっちを参考にするほうが僕たちが目指している「没入感のある動画」にもマッチすると思っています。
──今後、挑戦してみたいジャンルや企画はありますか?
岩田 加藤はなんかやりたいことある?
加藤 旅系、やってみたいね。『旅猿』(※16)みたいな。
※16:日本テレビ系列で放送されている旅番組。プライベートでも仲のいい東野幸治と岡村隆史が日本各地の都道府県を旅するユルい雰囲気が魅力
土井谷 それ、ただ加藤が旅行に行きたいだけじゃないの(笑)?
飯野 「樹海村」企画をもっと大きくしたような、『トゥルーマン・ショー』(※17)みたいな規模のドッキリもやってみたいよね。
※17:1998年のアメリカ映画。TVのリアリティー・ショーの巨大なセットのなかで生まれた主人公は、いくつかのきっかけから自分の住む世界が虚構であることに気づいていく
須藤 いいなー、やりたい。あと、ちょっと危険な国とかに行ってみて、1週間生活する模様をドキュメンタリーとして撮ったりもしてみたいよね。
岩田 僕は結構、『Dude Perfect』(※18)というアメリカの人気YouTuberを意識してて。投稿頻度は低いけど動画のクオリティはすごく高くて、すべての動画がタイアップなんですよね。僕たちも日本でそういうポジションを築いていけたらいいなと思っています。
※18:アメリカの5人組YouTuber。「トリック・ショット」と呼ばれる難易度の高いスポーツ系企画を武器に多数のギネス記録を更新し、チャンネル登録者数は5260万人と世界的な人気を誇る
『クイック・ジャパン』vol.151では、「演出」「サンプリング」「企画」の3つの視点からだいにぐるーぷの魅力に迫る特集を掲載。人気動画の解説や、水溜りボンド・トミーとの対談も行っている。
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