すべてのことに“まじめに”はいられないけど
かつてはオーディションに幾度となく落選した。門前払いされる年齢になっても、諦めることなく、自ら決めたキャッチフレーズに背かないように、“まじめに”アイドル活動をつづけてきた。そんな経験があるからこそ、「好きなことを始めるのは、いつだっていい」と断言する。
「憧れていたアイドルグループに初めて入れたのは、年齢制限で受けられるオーディションがほとんどなくなったから、シンガーになろうという不純な動機でした。悩んだ末にグループを離れたら、大人のアイドルも受け入れてくれる時代が訪れつつあった。ほかにも今の世の中で、まだ広く認知されていないジャンルだとしても、やってみたら意外となんとかなることは多いはず。そう思えたら、一歩踏み出せるかもしれません」
「どんな動機であれ、目の前のことをまじめにやりつづけていけば、きっと誰かに、私にとっての加茂さん(加茂啓太郎/プロデューサー)や、レコード会社のみなさんやヲタクのみんなのような存在に見つけてもらえるんじゃないかって、今なら思います」
自称する“まじめ”という言葉の呪縛に囚われることはなかったのだろうか。
「自分で言うほど、まじめなのかどうか……。まじめで困ったことはないし、もっとおもしろい“まじめ“エピソードがあればいいのにって思うんですけど、ないんですよね(笑)。自分にとっては当たり前のことなので。強いて言うなら、『まじめな人は損をしがちだよね』って言われることが多くて、でも、真剣に取り組む人が報われる世界になったらいいなと思います」
「まじめに納税していたら給付金で助けてもらえるし、まじめに活動していたら助けてくださる方々に出会えた。そういうラッキーな出会いがあると信じて、まじめに生きていくしかないなって思うんです」
つらいことには無理に立ち向かわず、逃げることも認められる世の中になってきた。もし逃げたいほどの現実があったとしたら、どう向き合うだろうか。
「もちろん、逃げてもいいと思います。私も、体調が悪くて一番つらいときはライブにも出られなかったです。でも、チケットを買ってくれた人がいるなら最後までやり遂げたいとも思ったんですよね。だから、何かを辞める、何かから逃げるとしても、応援してくれる人や協力してくれた人に対してうしろめたいことがない状態にしたいんです。自分では“あほ律儀”って言ってるんですけど(笑)」
「すべてのことに“まじめに”はいられないけど、本当に大切なことは譲りたくない。何に対して“まじめに”いるのか、が大切かもしれないですね。だから逃げるときも、私はまじめに逃げると思います」
そんな彼女が見据える未来とは。
「こういう話をすると、『自分の信じる道を進んでいるから規模が小さくても満足している』って思われがちなんですが……。もっとたくさんの人に曲を聴いてもらいたいし、もっと大きなステージに立ちたいと、強く思っています。モーニング娘。になるのは諦めたけど、同じような規模で活動することを諦めたわけではないんです。それはぜひみなさんにも知っておいていただきたいですし、これからも応援していただけたらうれしいです」
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