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涙が止まらなかった手術までの4カ月間。管だらけなのに顔芸を見せる“芸人魂”
──この件で「コンビ解散」や「芸人を辞める」という話にはなりましたか?
久保田 「解散話」はないですけど、手術のリスク……たとえば、もしかしたら右足動かなくなりますとか、過去の事例を全部説明されるんです。そうすると「ひょっとしたらそういう可能性もあるのかな」とかは思いましたね。
2016年3月に、7月に手術することが決まりました。その4カ月間は、普通に仕事していたんです。けど、仕事帰りの電車の中で涙出てくるんですよ、不思議と。本当ボロッボロ出てくるんで、ホームに1回降りて涙拭いて、また乗って。で、2駅くらい進むとまたボロッボロと涙が。最寄駅の1個前で降りて歩いて帰ってもその途中で泣いてるし……。
親とか相方もそうですし、今の奥さんである当時の彼女のこととかよぎるんです。たとえば相方が「お前の身体のことなんだから、こっちは心配しないで手術行ってこいよ」って言ってくれたこととか、うちの母親の電話でもらった言葉とか。考えないようにするんですけど、やっぱりよぎるんです。
秋本 なかなかその若さで生死に関わることってぶつからないですからね。1回お見舞い行ったときに、彼が管だらけで。その姿見て、本当は心の中で「大丈夫かな?」と思ったんですけど、まぁ病人にそういう感じ見せるわけにもいかないから。で、相方も顔芸とかやり出すんですよ。
──久保田さんの気遣い、ですね。
秋本 その写真撮って芸人仲間に見せたらもうみんな感動しちゃって。「こんな状態でも久保田は超芸人だな。すごいな」って。がんばってほしい、本当に帰ってきてほしいってみんな言ってましたね。

芸人仲間からの愛のあるお見舞い、そして相方からのお守り

秋本 でもやっぱり、芸人の見舞い話聞いたらおもしろいんですよ。そんな状況なのにめちゃくちゃエログッズ持っていったり(笑)。
久保田 しずるのふたりですね。もらったエロ本とかアダルトグッズを自分の個人ロッカーにしまうんです。でも集中治療室に移動するとき「荷物全部移動させますね」って看護婦さんに言われて、「あっ、ちょ、大丈夫です」とか言って無理やり彼女にやってもらって。何が悲しくてこれから手術する彼氏のエログッズを移動させる彼女がいるんだっていう(笑)。
秋本 本当は笑ったら痛いらしいんですよ、管だらけだったから(笑)。
久保田 痛かったですね。けど、笑って楽しかったです。
──先ほどお話にも出た、秋本さんからの“お守り”について詳しく聞かせてください。
秋本 僕『いろはに千鳥』放送内での、そのみちゃん(久保田の妻)の手紙で、相方がそのお守りをカバンにずっとつけてくれてることを初めて知ったんです。
──それまで気づかずに?
秋本 あげたお守りを手術のときに持ってくれていたのは聞いていたんですけど、いまだにつけているのは知らなかったです。
久保田 僕もその手紙を読みながら気づいたんですけど、今思えば、お守りをつけていることを嫁に見せてないし、「これつけてんだ~」とも言ってないんです。だから、勝手にそういうところも見てくれてるんですよ。それもうれしかったですね。
実は僕の手術と同時進行で、嫁のお母さんが乳がんの末期だったんです。だから嫁は、東京で僕がいる病院に来て、福島のお母さんとこ行ってって、連日往復してて。だいぶ迷惑かけました。だから、収録中の涙は、相方と嫁への「ありがとうございます! いろいろ面倒かけてます!」っていう涙でした。
秋本 びっくりしましたもん(笑)。でもなんか、本当こいつらしいっていうか、物をすごく大事にする人なんです。1年目に衣装で買ったハーフパンツを、20年目の今も履いてるくらい。
久保田 今そのお守りをつけているカバンも、嫁が初めて僕に誕生日プレゼントで買ってくれたものなんです。かなり年月経ってるんで、取手とかもボロボロ。でもなんか捨てられないし、そういうのは大事にしたいですねぇ。


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