「自分を否定しちゃだめだよ」の言葉を胸に
──お披露目のステージを終えたときの心境を教えてください。
きくた 本当はオーディションをした2019年の8月の予定だったんですけど、延期になって10月に、それもダメになって翌年3月を目標にがんばって、でもコロナでまたできなくなってしまって。この歌劇団は20歳までしか在籍できないので、私は19歳になって焦りというか「あと1年しかないのにここにおって意味あるんかな」と悩んだ時期もあるんですけど、1年半一緒にがんばってきた仲間たちと舞台に立てて、やっとスタートラインに立てたことに、ほっとした気持ちです。
──ほかのメンバーは感極まっていましたが、きくたさんは少し違いますね。
きくた それもあるんですけど、本公演でまだぜんぜん詰められていない部分もあるので、気を抜いちゃダメだなと思っていて。
──最年長メンバーだからしっかりしているんでしょうか。
きくた もともとは学級委員長とかやるタイプでもなく、教室のうしろのほうで言われたことだけやるタイプなんです。広井(王子)さんに初めて会ったときに、軽い感じで「あ、リーダーね」と言われたのがここまでつづいてる感じですね。最初は「どうやってまとめたらいいの〜」って不安だったんですけど、「まこちゃん、まこちゃん」って自然とみんなが頼ってくれるので、自分も成長できたし、孤独感はないですね。
──この少女歌劇団に挑戦しようと思ったきっかけは?
きくた もともと子役としてずっとミュージカルの舞台に立たせてもらっていて、つづけたい気持ちはあったんですが、学業との両立だったり、オーディションを受るために交通費を使って東京に行かなければいけないので、自分の夢のためにそんなにやってていいのかな、弟もいるのに……と思っていたときに、この少女歌劇団が大阪で立ち上がるという話を知りました。ちょっと生々しい話ですが、レッスン料もかからないというので、金銭的にうしろめたい気持ちならずに活動に専念できることに魅力を感じて受けてみようと思いました。
──その段階で「歌劇団」というもののイメージは持っていましたか?
きくた 宝塚歌劇団や松竹歌劇団のイメージしかなかったんですけど、“少女”とつくから、全然想像がつかなくて。どんなことをやるのかわからないまま入ったんですけど、広井さんやスタッフさんが、メンバーの個性を取り入れて演目を作ってくださってるので、私もみんなも楽しんでできています。
──1年半かけて今の形が作られていったと思いますが、準備期間はどのような気持ちでしたか。
きくた 最初は「やるぞ!」って気持ちでがんばってたんですけど、自粛期間中は、自分ひとりの戦いでつらかったですね。それまでは、仲間でありライバルがまわりにいる状態で稽古ができていたので、ほかの子のいいところを見て取り入れたりできたんですけど、自主練ではそれができないので。でも、メンバーが「ひとりで練習するのつらいから、Zoomで繋いで練習せえへん?」と誘ってくれたりして、メンバーとの絆も強くなったし、自分の心も成長したと思うので、振り返ればすごくいい期間だったなと思います。
──心の成長について具体的に教えてください。
きくた 自主性が身につきましたね。学校の授業もそうですが、基本的に受け身なことが多いじゃないですか。やりなさいと言われたから、やりましたっていう。でも、ここでは、具体的にどこがダメだったかは先生から言われなくて、メンバー同士で「ここがダメだったから、こうしていこう」と話し合うんです。自分で考えるクセがつきました。
──全体のクオリティも1年半前に比べると違いますか?
きくた 全然違いますね。もしすぐにお披露目できていたとしても、最初はよくても、のちのち潰れちゃってたかもって思うんですよ。1年半をみんなで過ごしたから、もしまた何かつらいことがきても乗り越えられる気がします。
──今年の4月からは2期生が加入しました。後輩にアドバイスをすることもありますか?
きくた そうですね。技術的なこともですが、挨拶や礼儀などは、私たちも最初はわからないことばっかりだったのでアドバイスしてます。私の場合はミュージカルをやっていときに先輩からいろいろと教えてもらったので、それを自分より下の子たちにまた教えたりして。
──広井王子さんから言われた言葉で、印象に残っているものはありますか?
きくた ニュアンスは少し違うかもしれないですけど「自分を否定しちゃだめだよ」と言われたことは意識しています。「これを聞いたら怒られるかもしれへんからやめとこう」みたいなのってあるじゃないですか。広井さんは、自分で壁を作ってしまったら誰も壊すことができへんから、それはダメ、なんでも聞きなさいと言っています。
それって、表現力にもつながってるなと思うんです。ここまでやりすぎたらアカンとか、変に自分で壁を作ってしまうのはよくないなと。だから、今は変に思われてもいいからまずはやってみて、やりすぎと言われたら抑えようという風にみんなでやってます。
──ミモザーヌをこれからどんな存在にしていきたいと思いますか?
きくた 20歳で活動終了という制限つきなんですが、そこが今までにない新しい劇団だと思うんです。年を重ねていくのは当たり前だけど、若い時間は限られていて戻れない。だから尊い。同世代や年下の子たちが、私たちの活動を観て「ああなりたい」「自分も入りたい」と思えるような、憧れの存在になりたいです。
──現メンバーの中では、きくたさんがもっとも早く20歳を迎えます。そのときが来るまでにやっておきたいことはありますか?
きくた 全然実感はわかないんですけど、さっきもみんなと話していて「あと1年もないわ〜」って言ったら、みんなが泣き出しちゃって(笑)。いやいや、まだおるから〜って。今はまだ始まったばかりということもあって、ミモザーヌという名前は全然知られてないですけど、これからいろんな人に観てもらって、幸せな気持ちになってもらいたいですね。
──退団まであと1年ありませんが、その後のことも考えていますか?
きくた 小さいころからずっと『レ・ミゼラブル』に出ることが夢なんです。今も少女歌劇団の活動をがんばりながら、自分で声楽のレッスンにも行っているので、いつかは立ちたいというのを具体的な目標にしています。特に、初演でエポニーヌ役をやられていた島田歌穂さんが憧れなんです。
きれいに歌う人はたくさんいらっしゃると思うんですけど、歌穂さんは表現力がすごくて、本能のままに歌っているのがすごく伝わってくる。CDだけで何回も泣いちゃうくらい素晴らしい歌声なので、そういう方になりたいんですよね。
そういった表現力だったり、個の力をこれから少女歌劇団で磨いていけたらいいなと思っています。そのためにも、まずは12月30日の第1回本公演ですよね。全員でがんばりますのでよろしくお願いします!
【少女歌劇団Mimosane. 第一回公演「Begin~始まりの歌~」】
・配信日時:12月30日(水)16:00〜17:30
※見逃し視聴は1月6日(水)16:00まで
・価格:2000円(税込)
・視聴チケット販売ページ:オンラインチケットよしもと
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