片手間では太刀打ちできひん
──芸人・宮川大輔としてお笑いを軸にやっていく覚悟を決めた瞬間やタイミングは、いつごろだったのでしょうか。
宮川 自分が今やらせてもらってる番組は、けっこう長くつづいているものが多いんですけど、それが大きいかもしれないですね。そこにスタッフさんたちや大勢の人たちが関わってくれているので、みんなのためにも俺ががんばらな!というか。
38歳のときに息子が生まれたこともありますけど、責任感を持ってやったほうがおもしろいかなと。そう思うようになったんは、年齢やと思います。
──それと並行して役者業もつづけられていますが、今は映像が中心ですね。
宮川 舞台もやりたい思いはありますけど、たとえば1カ月半の公演だったら、稽古も含めて3カ月間のスケジュールに、テレビの仕事の合間を見つけて参加することになる。そういう感じではやっぱりできひんなあっていうか、おもしろみを感じないんですよね。ロケが終わってから本番にかけつけて、終演後の打ち上げも早々に引き上げて、次の日はまた別の収録をしてから劇場に戻って……そんなやり方をする体力も器用さもないし。
やるならひとつの演目に集中して、終わったあとはみんなで飲みに行って、翌朝はまた舞台の上でストレッチするところから始めたい。一回一回の公演にすべてをぶつけて戦うのが舞台のおもしろさだと思うし、僕はそこが好きなんで、片手間では太刀打ちできひんような気がするんです。それは挑み方としてちょっと違うんじゃないかなと。
不安だからこそ、常に自分を変えていく
──芸人としては、自分がやるべきことを、できているという感触はありますか?
宮川 自分がやらせてもらってる企画やレギュラーの番組に関してはあります。年を重ねるにつれて、体を張ることは難しくなってくるし、前よりは動かれへんかもしれんけど、それを笑いに変える力は昔よりあると思うんで。そのことを理解して、現場や編集でサポートしてくれるスタッフがおるという信頼感の中でやっているので、その期待は裏切りたくない。番組を盛り上げるための一個のギアとして、責任を持って役割をまっとうしたいんですよね。
たとえば『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)だったら、「宮川探検隊」や「お祭り男」の企画にベストを尽くすことで、お客さんを喜ばせたい。かといって、現状に満足しているわけではないので、常に自分を変えていかなあかん、新しくいろんなことをやってみたいなという思いはありますけど。
──何がそう思わせているのでしょうか。
宮川 少し先の自分、というものを考えたときに、たとえばテレビのレギュラー番組が全部終わったとして、急に「じゃあ舞台やるわ」ではさすがに無理やと思うんですね。本業としてそこで勝負してきた同年代の役者さんには絶対に敵わない。だからこそ、いざというときに少しでも動ける準備をしておくというか、自分を知るためですよね。
自分はどんだけいけるのか、試すって言い方はアレなんですけど、落ち込んだり緊張しながらも、不慣れな分野や新しいことには挑戦しつづけていかなあかんのじゃないかなと。なんでやと言われたら、不安なんですかね。いつ何があるかわからない世界なんで、毎回が命がけというか、真剣に取り組まな食っていけへんという思いはずっとありますから。
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『ヤウンペを探せ!』
売れない俳優のキンヤ(池内博之)、さえない中華レストラン店長のジュンペイ(宮川大輔)、教員試験を万年浪人中のタロウ(池田鉄洋)、ラブホオーナーのアッキー(松尾諭)は、かつて大学映研の仲間だった。さえない毎日を送っていた4人は、学生時代のいきつけの焼肉屋で、20年前に作った映画のヒロイン・ミサト(蓮佛美沙子)と再会。彼女が欲しがる「ヤウンペ」探しに、奔走することになるが……
出演:池内博之、宮川大輔、松尾諭、池田鉄洋、蓮佛美沙子
監督:宮脇亮
脚本:髙石明彦、渋谷未来
Ⓒ2019「ヤウンペを探せ!」製作委員会
シネリーブル池袋ほかにて全国順次公開中関連リンク
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