オレだけは大好きなゲーム
──『テクテクライフ』のクローズドベータテストに参加してどうでしたか?
米光 僕は前作のころから、もっとストイックなゲームになればいいじゃんって思ってたからバッチリだった。反面、大丈夫だろうかと思ったり(笑)。「オレだけが好き」って思われるタイプのゲームになりそう。
でも、もともと麻野さんってそういうゲームばっかり作ってたからね。『弟切草』も「オレ以外はやらなそうだけどオレは大好き」って思ったもん。
麻野 『トルネコの大冒険』を出したときにも、「死んだらレベル0になるのはあり得ない。ただし僕はおもしろいと思った」ってさんざん言われた(笑)。
米光 おもしろいと思ったんだったら、それでいいじゃん(笑)。そこはゲーム作る上で難しいところだよね。
麻野 「最初は何がおもしろいかわからなかったけど、ある日、狂ったように自転車で駆けずり回ってた」みたいな話をよく聞くので、そこに気づいてくれる人が増えてくれれば……。
米光 やる前に「何がおもしろいんだろう」って困惑する感じはすごくわかるけど、「地図を塗る」ってすごい普遍的なおもしろさがあるから、わーっと広まって3年くらい経ったら、「おもしろいのが当たり前」ってことになりそうだよね。
麻野 新しいジャンルになってくれるとうれしいな。『ドラクエ』でRPGをで初めてやったとき、Bボタンでダッシュもできないしジャンプもできないし、なんじゃこりゃって思ってたけど、今となってはRPGのない世界なんて信じられないし。
田村 『弟切草』も「いつゲームが始まるんですか?」って言われてましたからね。
麻野 もう始まってるんですけど……って(笑)。『テクテクライフ』もSNSを見ると「バトルがないんですか?」「本当に塗るだけなんですか?」「それの何がおもしろいんですか?」って言われてたけど、ある種の人にとってはものすごくおもしろいゲームになってると思う。
目指すはインフラ!
米光 おもしろさがわかるきっかけって些細なことだから、友達がやり始めたらすぐにわかるんじゃない?
麻野 そこでソーシャル要素があったらちょっと広がるかなとは思っていて。ウチの息子とかも「Zenly」(自分の位置情報を共有し合うSNS)ばっかり使ってるんだよ。
田村 ソーシャル要素を入れちゃうと位置がバレちゃうからマズイかも……なんて心配してたのに、「Zenly」は全部公開しちゃってますからね。
麻野 今回「看板」(任意の場所に立ててメモや写真を残せる)という要素を新たに作ったんだけど、この「看板」をユーザー同士で共有できたら、旅に行って「あいつ、ここに来てたんだ」と思ったり、「ここに行けばいい」ってオススメのお店を教え合ったり。関心を持った場所や物を「看板」で共有するSNSみたいな感覚で長く遊べるんじゃないかな。
米光 謎解きゲームとかもできそうだよね。
麻野 オリエンテーリングみたいなものや、地図を使った軽いSNSみたいなものもできると思う。僕の趣味で、あばら屋の写真をとにかく撮って記録してるんですよ。撮っておかないとすぐ消えちゃうから。それを「看板」で場所のデータと一緒に記録できたらいいなと。
田村 実はさっそく、とても有名なIPと箱根の第3新東京市で(笑)スタンプラリー的なコラボをやる予定です。
麻野 コラボ企画もそうだけど、前回、課金が回らなくて約半年でサービスが終了してしまったという反省を活かして、「課金をしなくても楽しめるけど、課金すれば“塗り”がはかどって楽しいですよ」っていう方向で調整しています。
長く楽しんでもらえる作りにしているだけに、1〜2年で終了しなくちゃならないという状況は考えたくもない。できれば何十年単位でつづけてインフラにしたいんですよ!
位置情報ゲーム『テクテクライフ』 iOS/Androidにて2020年10.1リリース予定。
追記(10.1)
日本をぬりながら、エヴァゆかりの地をめぐる「テクテクエヴァめぐり」発動!
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