今の人気は地球全体からイジられてるだけ
徹底して探し、一度は捨てた「個」。それを8年ぶりに再び拾い上げたとき、『M-1グランプリ2019』決勝進出という、本人たちの想像以上の展開が訪れた。小鼓の響きと共に登場した異端の(実は漫才の発祥に忠実な)ふたりは大会で末広がりの8位という結果と共に大きな爪あとを残し、それが年明けのYouTubeでの爆発へとつながっていく。
——最近はテレビ番組からのオファーも増えているかと思いますが。
南條 昔はロケなんて「どうやったらいいんやろ、絶対に無理や」と思ってたんです。でも「バイオハザード実況」の「進んだ先で遭遇したモノについてなんか言う、説明する」感じって、ちょっとロケやってる感覚に似てるんですよ。だから以前ほどは悩まなくなりました。知らん間に鍛えられてるなとは思います。
三島 YouTubeが練習の場になってんのはありますねえ。僕はもう、テレビで顔を知っていただいて、お正月にたくさん営業に呼ばれたら、全員に喜んでもらえる芸人になれたらって。それが夢です。
南條 僕らふたりとも器用じゃないんで、いろんなことを同時にはできないですけど。劇場、営業、テレビ、YouTube。この4つをきっちりできたら。
——今年もM-1に出場を?
南條 もちろん。
三島 恥だけはかかんように。今やっと、賞レースのネタと、劇場や営業でやるネタが一緒になってきたんです。
南條 それ、一番いいな。
三島 トレンディエンジェルさんとか観てると、M-1のネタも劇場のネタも同じで、どこでも笑い取れる。やっと今、僕らもそれっぽくなりつつあるかなっていう。
南條 まだ全然ですけど、ちょっとずつやり方が定まってきたんかなという感じはします。
——今の状況であれば、かつては集客に悩んだ単独ライブも大盛況なのでは?
南條 まさに今、やりたいんですけどねえ。でもできたら満席の状態でやりたくて。
三島 まだ客席も間隔空けなダメですし、舞台上で近寄ることもできなくて(取材はアクリル板を挟んで漫才をしていた時期)。どうせなら近くでちゃんと漫才したいし。だから、世界が元どおりになったらやりたいですねえ。
南條 世界が元に戻るのが先か、俺らが消えるのが先か。コロナとの違う戦い方してるんです。
——おふたりは今の人気に対してずっと懐疑的ですね。
南條 それはもう、すごい思ってます。
三島 こんなんうそです。幻、幻。こんなわけないですもん。
南條 ずっとなんか、ひろーい地域からイジられてるみたいな。
三島 はははは!
南條 地球全体からイジられてるんちゃうか、って思ってる。喜ばしといて、「ああ、喜んでる喜んでる」って。
三島 うん、「かつぎ上げて落としたろ」って感じですよ。たぶんずっと信じれないです。泥すすってきた期間が長過ぎたんで。
南條 14年分飲んできた泥が体内に残留しちゃって、たぶんそれは一生消えない。
——とはいえ、一方的にイジられていたという大宮の劇場での立ち位置には、変化があるんじゃないですか?
三島 大宮のメンバーには「お前ら、どうイジっていいかわからへん」って言われますね。
南條 こっからはもう、復讐劇が始まりますね。思いっきりイジってやりたい。
三島 はははははは! 牙を剥いてやろうと?
南條 1回は仕かける側に回ってみたい。今までさんざんイジられてきたGAGの福井さんとかを、僕らのホームの状態で思いっきりイジりたいなあ。
三島 倍返しや。
南條 どうせそこでもアラが出て、結局イジり返されるんでしょうけど(笑)。
すゑひろがりず
小鼓担当の南條庄助と扇子担当の三島達矢によるコンビ。NSC大阪28期の同期として出会う。2008年よりトリオでの活動を経て2011年春、コンビとなる。2012年から「伝統芸能風」ネタをやるようになり、2014年に東京進出。2019年、『M-1グランプリ』決勝に進出。南條は『R-1ぐらんぷり2020』決勝で3位に。
関連記事
-
-
天才コント師、最強ツッコミ…芸人たちが“究極の問い”に答える「理想の相方とは?」<『最強新コンビ決定戦 THE ゴールデンコンビ』特集>
Amazon Original『最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ』:PR -
「みんなで歌うとは?」大西亜玖璃と林鼓子が考える『ニジガク』のテーマと、『完結編 第1章』を観て感じたこと
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会『どこにいても君は君』:PR -
「まさか自分がその一員になるなんて」鬼頭明里と田中ちえ美が明かす『ラブライブ!シリーズ』への憧れと、ニジガク『完結編』への今の想い
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会『どこにいても君は君』:PR -
歌い手・吉乃が“否定”したかった言葉、「主導権は私にある」と語る理由
吉乃「ODD NUMBER」「なに笑ろとんねん」:PR