LiSA、DISH//ら出演『THE FIRST TAKE』 一発撮りが生む「事件性」とは

2020.7.2

文=岡本尚之


2019年11月にスタートしたYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』。真っ白なスタジオの中にアーティストだけが佇み、その場で歌唱する様子が一発撮りされている。歌唱前の何気ないひと言、視線の動き、アーティストの息づかいまでが数分の動画の中で濃密にドキュメントされている。あっという間にチャンネル登録者100万人を超えたYouTube時代の音楽番組はどのようにデザインされたのか。クリエイティブディレクターの清水恵介と番組スタッフに話を聞いた。

( ※本記事は、2020年6月26日に発売された『クイック・ジャパン』vol.150掲載のインタビューを転載したものです)


事件性を生む、一発撮りというコンセプト

――まず『THE FIRST TAKE』(以降TFT)をスタートした経緯を教えてください。

スタッフ さまざまなWEB上のプラットフォームの中で今のYouTubeはとてもアクティブな状況です。「地上波にはない、YouTube独自の音楽・映像コンテンツを制作したい」という思いから、今後音楽分野でストリーミングが主流になっていく中で、自分たちがいいと思う楽曲やアーティストを直接届けることのできるチャンネルを作りたいと考えていました。

清水 TVの音楽番組や、サブミッションメディアにまだない価値を作るにはどうすればいいか、本当にいろいろな方向性を探りました。たとえば銭湯やスナックを回ってライブをするというような案も含めて(笑)、膨大な数の企画を出しましたね。

スタッフ どのような画を撮るか、現在の演出を決めるまでに大変な時間を要していたんですが、「ファッションショーのような緊張感」というキーワードが出てきた。シンプルなセットの中で、ライブだけでなく、登場するシーンから演奏後のトークまで含まれている、それがとてもかっこいいなと思いました。ならばセットは白バックで極限までミニマルにしよう、というように固まっていきました。

――「一発撮り」というコンセプトはどのタイミングで決まったのでしょうか。

清水 ミニマルな白バック撮影に、さらに価値を付与できるのはどこなのかと考えました。「生きることと表現することが一致する舞台としてYouTubeがある」という今回の特集(編集部注:『クイック・ジャパン』vol.150「特集YouTube」)に通ずると思うのですが、僕らの人生は修正が効かないからこそ楽しい。それと同じように、一発撮りのリアリティを視聴者は面白がってくれると思ったんです。

スタッフ 生放送の歌番組もまた一発撮りですが、そうしたことをオンライン上でやるにあたって緊張感を大切にしようという話はしましたよね。

清水 YouTubeは場所にも時間にも左右されないという特性があります。ライブでしか体験できない「再現性のない音楽の楽しみ方」を視聴者は求めていると考えたんです。予定調和の外側、その現場ならではの「事件性のある意外な出来事」に、リアリティを感じる人は多いはず。ワンテイクだからこその、美しさ、純粋性。そういったものを届ける最適な手段として、みんなで一発撮りのアイデアに辿り着いたんです。

――荒々しさが魅力となる一発撮りもあるわけですが、TFTの一発撮りは高音質・高画質という特徴があると思います。

清水 そこは特に意識した点です。高音質と高画質でプロのパフォーマンスが繰り広げられ、それを一発撮りで流すことが、既存のYouTube チャンネルとも差別化を図れるのかと思いました。

スタッフ TFTでDISH//の北村匠海さんが歌った「猫」は収録時点からこちらも手応えがあったんですが、予想通り反響が大きく、2017年に発売された楽曲だったにもかかわらず、チャンネルで録音した音源がそのまま4月に配信されることになりました。こうした流れは『MTVアンプラグド』(編註:89年にMTVでスタートしたアコースティックライブ音楽番組)に近いです。

DISH// (北村匠海) - 猫 / THE FIRST TAKE

TFTでは出演が決まったアーティストのチームとどのような企画にするか綿密に打ち合わせしています。その結果として、特別なアレンジでパフォーマンスするアーティストが多くいます。オケに価値ができ、録音している様子をドキュメント映像として流している。そこに音楽ファンが魅了されているのではと感じています。最後まで迷った部分でもあるのですが、録音をきっちりと行ったことが、今の状況につながっていると思っています。

音楽番組やMVでは映せない姿


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