ExWHYZ・mikinaが降りたことのない地を訪れ、散歩をしながら自分と向き合う連載「未開拓駅さんぽ~初めての街で考える~」。今回はホームタウン「渋谷」で下車。
アーティストとして活動しているなかで、ぐちゃぐちゃになってしまった感情を整理するためにぶらり旅。いつもの街で、自分の中に絡まった思いを一つひとつ言葉にしていく。
毎日いる街で
渋谷のファミレスでこれを書いている。
事務所が渋谷にあるもんで。毎日渋谷にいるもんで。渋谷のファミレスは常連です。
こんなに毎日渋谷にいるもんですから、渋谷のご飯屋さん開拓しようと思ったことが何回もある。渋谷ご飯屋開拓ブックを買ったこともある……。
んだけど、よさげなお店に入る勢いがある日はあんまりない。
どうしても個人経営のお店にサラッと入れない。いつのタイミングで、サラッと入れるような心になるんだろう。緊張する。
お店側の人の気持ちになってみたら、お客さんを待つだけで、なんもないのにね。
まあでも別にそのタイミングに急ぎたいわけじゃないし、渋谷のファミレスはいいものです。
回転早くて賑やかで出会ったことのない人種の人がいて。盗み聞きなんて悪くてごめんけど、いろんな話が飛んできて、人を知って、人を知ると自分の中で話が生まれて、それがいいのよね。
でもってぶらりの日も渋谷にいて、考え事してたら家に帰りたくなくて。家に帰ると寝ちゃうから。笑
渋谷から代々木公園駅まで、ぶらりだよ。
私は人より渋谷にいるけど。渋谷は広いし常に新しい建物が生まれてるからちょっと奥に行けばもう知らない景色が見える。
センター街奥の地理は苦手で、わたしの得意分野は宮益坂方面奥まで。センター街の交番奥まで進んでいくと喧騒が少し収まってやんちゃレベルが収まり、オシャレ店が並んでく。
『千と千尋』だ。異世界感。
そこからはわりと都会みあふれる道。
ここらへんに住みたくて家賃を調べて、、、薄ら笑いを浮かべながら歩きました。
ぐちゃぐちゃの心を噛み砕く
歩いていくうちによさげ焼き鳥屋を見つけた。
最近ハマってるソロ焼き鳥屋、ここ1年の話。
盛り合わせ・しいたけ・ナスの揚げ浸し・梅茶漬け・梅酒を1杯だけ。
そう、この日の前夜が、仕事のことを考え始めたら止まらなくてムチャクチャでもいいから言葉にしまくったぐちゃぐちゃの夜だったのね。
それを整理したくて歩いてたのだった。
最近ずっと引っかかってたことがあって、それを噛み砕いてて。
今の音楽シーンは、SNSで流行ってバズった曲がハイスピードで広まっていく時代だよね、1曲単位で聴かれてく。でも誰が歌ってるかが知られるのは少し時間が経ったあとだったりするじゃんか。
でも私はライブをしてるから、サブスクリプションで曲は世界に発信されているけど、それとは別に、ライブで来てくれた人との時間の中で自分たちの曲はいろんなかたちに変化していくのだよ。
それがすごくいいなぁ、ライブをする人でよかったなぁと思うの。
それって、曲の中にわたしたちとファンの人の間に、「人と人」の関係が存在してるでしょう。
だから私は音楽をする仕事だけど、主に「人と人」の仕事をしてるんだと思うんだよ。
でも、音楽はいろんなものを伝えるでしょう。
正直、特典会というものがなければ、語り合うことができないし。
ファンの人と語らえるツールが音楽で、ライブで。
だから私たちが作るライブが、音楽が、ファンの人にもしハマらなかったとき、いくら人と人、そこがつながっていても、けっこう簡単に崩れてしまうというか。
私たちの作る音楽は、ライブは、私たちの世界で、私たち自身で、ファンでいてくれてる人がそこを信頼できなければ離れていかれるのは、当たり前なのか。
悲観的にネガティブになってるわけじゃないよ。おー、納得した。
何か新しいものを提示したときに、すべての人にすんなりと受け入れてもらえたり、賞賛されたりすることなんて当たり前ではないことで、じゅうぶん理解してる。
と思ってても、これは本当に幸せなことなんだけど、ライブでファンの人と関係性を紡いでいったことは事実だと思っていて。
「人と人」、一つひとつ丁寧に紡いでいきたいと思い続けても、どうしてもそういうことが起こるのはなんでだろうかずっと考えていた。
そうか、そうだよね。生まれたときから音楽とともにあるんだから。私たちのことを伝えるのは音楽だ。
全部、曲に、ライブに出るんだもんね。
スッキリです。
あとはさ、今、マルチに何かすることが受け入れてもらえる世だと思います。
自分がイッチバン得意なことだけを伸ばすのではなくてあらゆる挑戦をさせてもらえて、それが表に出せるそんな世で、自分が身の中に入れ込んだものが、ライブにあらゆるかたちで作用するよね。
でも私たちは楽器がないから、技術というよりか、アウトプットをわかりやすい何かではなくて、もっと受ける側の人の生きてきた環境や心、人柄によって変化する抽象的な。
でも、多くの人に伝わる、たしかなレベルの。
人の琴線に 引っかかる 何か
名前のない 何かを
産む
それが自分も知らなかったようなびっくりするかたちだったら、自分でさえびっくりするんだからそりゃみんなもびっくりさせられるよね。
いいね、それ。
期待してくれた人に返せることと、リアルタイムで同時に何かを感じてそれがお互いの記憶に残ることはすごくいい。
私たちとExWHYZとファンの人とを固くつなぐ。
だからすべてが出るライブのもとにある自分をちゃんとさせたいよね。
たまにそのスピードに体と心のバランスが崩されそうになるときは、悔しいし、まあつらい。かも泣きたいかもー。
でも「何が」じゃなくて「誰が」を大事にしたいからちゃんとしたいね。
甘ちゃんなことを言うことは非常に恥ずかしいんだけど。こないだだってやばいときは止まるなんて言ったけど。
ExWHYZある限りは脳みそは止まれないよね、だからちゃんと、大人ぶらないで、主観的にはなりすぎないようにするけど、ぐちゃぐちゃ言葉にして、整理する時間も大事にします。
みなさんもご自愛くださいな。 長くなってすまん! じゃまたねー。