人気芸人たちはなぜ深夜ラジオのパーソナリティに?TBSラジオの名物Pが探る“ラジオじゃないと届かない”こと
2022年に放送20周年を迎えた、TBSラジオの深夜生放送枠『JUNK』。その大部分にスタッフとして関わってきて、現在は『JUNK』統括プロデューサーを務めているのが宮嵜守史だ。
そんな彼の初の書き下ろしエッセイ『ラジオじゃないと届かない』(ポプラ社)が3月22日に刊行された。本書に収録された宮嵜と極楽とんぼ、おぎやはぎ、バナナマンら人気芸人との対談パートの原稿を担当したライターの村上謙三久は、宮嵜守史は「深夜ラジオの歴史を紐解く上で欠くことのできない証言者」だという。
“ラジオじゃないと届かない”とは──。
深夜ラジオの歴史上、希有な存在の『JUNK』
TBSラジオの深夜生放送枠『JUNK』は2022年で放送20周年を迎えた。今年2月にはLINE CUBE SHIBUYAで3日連続のイベントを開催。パーソナリティの伊集院光、爆笑問題、山里亮太、おぎやはぎ、バナナマンが勢ぞろいする特番が放送されたのも記憶に新しい。
歴史に興味がない方は、20周年と聞くと「深夜ラジオは“安定した枠”なんだ」と感じるかもしれない。しかし、実際は真逆。AMキー局にとってこの深夜1時は“安定しない枠”だった。
TBSラジオは深夜ラジオ黎明期の『パックインミュージック』こそ15年間つづいたが、その後は安定せず、1年ごとに名前と枠組が変わったときもあった。文化放送は生放送を行っていない期間があり、今年の春から再び収録番組中心となる。ニッポン放送の『オールナイトニッポン』こそ名称を変えずにその歴史は55年を誇るが、パーソナリティもスタッフも常に変化していき、新しさを追求していくのがこの番組のあり方。枠の組み方やパーソナリティの方向性は何度もリニューアルしていて、いい意味で“安定しない枠”だといえる。
そう考えると、初期を除きパーソナリティはすべてお笑い芸人で、2010年以降はその顔ぶれも変えていない『JUNK』は、深夜ラジオの歴史においてとても希有な存在である。
深夜ラジオの歴史を紐解く上で欠くことのできない証言者
20年間の大部分において、立場を変えながら、スタッフとして最前線で『JUNK』に関わってきたのが、現在統括プロデューサーを務める宮嵜守史だ。
この期間はインターネットの一般化、メールでの投稿、radikoでの配信などラジオ界にさまざまな変化が起きた時期と重なる。同時に、東日本大震災やここ数年のコロナ禍など世の中を揺るがす出来事も多々あった。その禍中で裏方としてパーソナリティを支え、番組を放送しつづけてきたのだから、ご本人は恐縮されるだろうが、深夜ラジオの歴史を紐解く上で欠くことのできない証言者なのは間違いない。
そんな宮嵜が初めて刊行した著書が『ラジオじゃないと届かない』である。ラジオのブース内にいるパーソナリティや構成作家の証言に触れる機会は多い一方、外側にいるディレクターやプロデューサーが取り上げられることは少なく、リスナー側からするとその仕事内容すらよくわからないというのが正直なところ。それだけに本書にはたくさんの発見が詰まっている。
僭越ながら、私はパーソナリティとの対談パートの原稿を担当させていただいた。極楽とんぼ、おぎやはぎ、バナナマン、アルコ&ピース、ハライチ、向井慧(パンサー)、ヒコロヒー……そうそうたる芸人たちとの対談(とchelmico・鈴木真海子とのアフタートーク)、そして宮嵜本人が執筆したエッセイ部分を読んでいくと、浮かび上がってくるものがある。
宮嵜はアルバイトとしてTBSラジオに関わるようになり、AD、ディレクター、プロデューサーと立場を変えながら、ラジオ番組と向き合っていく。その過程だけで興味津々なのだが、個人の物語と並行して浮かび上がってくるのがTBSラジオ……特に芸人ラジオの歴史だ。
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